12人の専門家から成る国防戦略委員会は、2018年の国防戦略について、法律に従い、独立の立場で、超党派の検証作業を実施した。検証結果をまとめた報告書は、国防戦略が中東などでの対テロ対策よりも、ロシアや中国に焦点を移していることについては評価したが、一方でその戦略目標をどのように達成するかが説明されていないと批判している。
同報告書は、新戦略を補強するための投資や組織の改編などが欠如していると述べており、「国防戦略は、疑問のある想定や不十分な分析に基づいていることが多く、米国が世界で高まる危険という課題にどう対応するかに関し、重大な問題に対する答えを出していない。...
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12人の専門家から成る国防戦略委員会は、2018年の国防戦略について、法律に従い、独立の立場で、超党派の検証作業を実施した。検証結果をまとめた報告書は、国防戦略が中東などでの対テロ対策よりも、ロシアや中国に焦点を移していることについては評価したが、一方でその戦略目標をどのように達成するかが説明されていないと批判している。
同報告書は、新戦略を補強するための投資や組織の改編などが欠如していると述べており、「国防戦略は、疑問のある想定や不十分な分析に基づいていることが多く、米国が世界で高まる危険という課題にどう対応するかに関し、重大な問題に対する答えを出していない。」と指摘した。
また、「新国防戦略は、適切なリソースを得られていない。」として、「国防総省が敵対する大国を破るとともに、他の敵を同時に阻止するなど、戦略の野心的な目標を達成するためには、入手可能なリソースが明らかに不十分だ。」とさらに批判した。
トランプ政権は、財政赤字を削減する取り組みの一環として、2018~19会計年度に大幅に増額した国防費の削減を検討している。2019年度の国防予算は約7,160億ドル(約81兆円)を見込んでいるが、国防当局者がメディアに語った情報によれば、翌年度にはこれを7,000億ドルに減額することを検討しているという。中ロの国防費の合計より遥かに多い額であるが、報告書は年間3~5%の国防費増額を推奨している。
報告書は、ロシアや中国の軍事力増強など、現在の情勢に鑑みると、「米軍は容認しがたいほど多くの犠牲者が出る可能性がある。」「中ロとの戦争で苦戦したり、敗北したりするかも知れない。」と警告した。そして、「特に米軍が2カ所以上の戦線で同時に戦うことを強いられれば、米国は圧倒されるリスクがある。」と続けた。
国防総省は、報告書は「国防戦略が示した戦略の方向性や主要な優先事項を支持している。」として、「委員会による報告書の公表を歓迎する。」との声明を発表した。同声明は、報告書の戦略への批判については言及しなかったが、国防総省は、「わが国の国防力強化のための継続的な取り組みの一環として、委員会が提唱した各々の推奨事項を注意深く検討するが、委員会や議会とも協力して進めていきたい。」とコメントしている。
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