競売会社大手クリスティーズが25日に米ニューヨークで開催したオークションで、人口知能(AI)によって描かれた肖像画が43万2,500ドル(約4,850万円)で落札された。コンピューターのアルゴリズムで制作された絵画が、大手オークションで落札されたのは初めてであり、ニューヨーク・タイムズ、BBC、AFP通信など多くのメディアが報じた。
今回落札されたAIによる作品は、「エドモンド・ド・ベラミー(Edmond de Belamy)」と題された黒い服を着た紳士の肖像画で、金色の額縁に収められており、一見すると18世紀から19世紀に制作された普通の肖像画のようだが、細かく見るとモデルの顔がぼんやりしているなど、作品自体が未完成のようにも見える。右下には画家の署名ではなく、数式が入れられている。
この肖像画を生み出したのは、仏パリを拠点とする芸術家や研究者らのグループ「オブビアス(Obvious)」だ。...
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今回落札されたAIによる作品は、「エドモンド・ド・ベラミー(Edmond de Belamy)」と題された黒い服を着た紳士の肖像画で、金色の額縁に収められており、一見すると18世紀から19世紀に制作された普通の肖像画のようだが、細かく見るとモデルの顔がぼんやりしているなど、作品自体が未完成のようにも見える。右下には画家の署名ではなく、数式が入れられている。
この肖像画を生み出したのは、仏パリを拠点とする芸術家や研究者らのグループ「オブビアス(Obvious)」だ。本作品を制作するため、同グループの芸術家ピエール・フォートレル氏は、14~20世紀に描かれた1万5,000作の肖像画のデータをコンピュータソフトに読み込ませたという。
フォートレル氏は制作過程について、ソフトウエアは、米グーグルの研究者であるイアン・グッドフェロー氏が開発した新たなアルゴリズムを使用し、肖像画を描く技法の規則性を一旦理解すると、一連の新たな画像を自身で描いていったと説明した。
AIが描いたそれらの作品は芸術作品と言えるのか、疑問のある人もいるだろう。25歳のフォートレル氏は、芸術作品であると主張し、「アルゴリズムが絵画イメージを創作しているが、制作を決定し、キャンバス上に描くこと、署名の代わりに数式を入れること、金色の額縁に収めることなどを決めたのは我々人間だ。」と述べている。
オブビアスはその中から11作品を選び、「ベラミー家」と名付けた。今回その内の1枚がクリスティーズのニューヨークでのオークションにかけられ、事前の予想の7,000~1万ドル(約79万~112万円)の40倍を超える43万2,500ドルで落札されたものである。
クリスティーズは、高額の落札価格について、電話で入札した匿名の買い手が最終的に落札したが、電話やインターネット、会場内で入札に参加した5者が競り合い、値がつり上がったと説明した。
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