身長が高い人のがんの発症リスクが高くなる傾向は、既に医学界で知られているが、その一因として、体内の細胞の数が多いため、異常細胞が増殖する可能性も高くなるとの米国の研究結果が24日、英学術専門誌「英国王立協会紀要」に公開された。
米カリフォルニア大学リバーサイド校で生物学の教授を務めるレナード・ナニー氏らの研究によれば、米国、欧州、韓国の1万件以上の症例を分析した調査結果によって、平均身長を10センチ上回る毎に、男女ともがんを発症するリスクが10%高くなることが判明した。同研究での平均身長は、男性が175センチ、女性が162センチとされている。
がんは人体の細胞の増殖を正常にコントロールする機能が働かなくなり、異常な細胞が無秩序に増殖し、悪性の腫瘍を形成する病気だ。...
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米カリフォルニア大学リバーサイド校で生物学の教授を務めるレナード・ナニー氏らの研究によれば、米国、欧州、韓国の1万件以上の症例を分析した調査結果によって、平均身長を10センチ上回る毎に、男女ともがんを発症するリスクが10%高くなることが判明した。同研究での平均身長は、男性が175センチ、女性が162センチとされている。
がんは人体の細胞の増殖を正常にコントロールする機能が働かなくなり、異常な細胞が無秩序に増殖し、悪性の腫瘍を形成する病気だ。医学界では、背が高いとガンの発症リスクが高まる傾向があることは以前から知られていた。
ナニー教授らの研究では、高身長の人は細胞の数が多いために、それだけ細胞ががん化する可能性も高くなり、数種類のがんの発症リスクが高くなる傾向があるとしている。全体として女性の方がその傾向が強く、背の高い女性は12%リスクが高くなり、男性では9%高くなった。ナニー教授は、「この余分なリスクは遺伝子に組み込まれたものなので、明確な方法によって軽減することはできない。」と指摘している。
ゾウやキリンなどの一部の大型哺乳類は、小型の生物より遥かに多くの細胞を体内に持っているが、がんに対する追加の保護機能が進化したと考えられている。しかしヒトのような単一種内の個体に、同様の保護機能が備わっているとする証拠はないという。
高身長の人は平均的な身長の人と比較すると、細胞の分裂量が多く、皮膚の面積も大きいため、悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ばれる皮膚がんを発症するリスクが高まる。しかし、女性の胃ガン、口腔ガン、子宮頸ガンの発症リスクは身長に影響されないようだ。
ナニー教授は、高身長であるほどがんの発症リスクが高まることが分かったが、それは決してリスクの唯一或は主要な要因ではないため、背が高い人は決してパニックに陥る必要はないと指摘した。教授は、「過度の対策は必要なく、高身長による影響は統計的なもの」であり、余りにも背が高い一部の人を除けば、「殆どの人にとってリスクは比較的小さい」と説明している。
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