イタリアの独占禁止当局は24日、米アップルと韓国のサムスン電子に対し、スマートフォンの稼働速度を意図的に遅くする「計画的陳腐化」について、罰金を科すことを発表した。罰金額は各社500万ユーロ(約6.4億円)だが、アップルに対しては、電池交換などにつき適切な情報を提供しなかったとして、さらに500万ユーロの罰金を上乗せした。
製造業者が新製品や高性能機種への買い替えを促進するため、製品の寿命を意図的に短縮する仕組みを入れ込んだり、製品がすぐに旧式となるように計画したりする商習慣を「計画的陳腐化」と呼ぶが、こうした行為は、消費者グループなどから広く批判されている。
アップルとサムスンは、旧機種の基本ソフト(OS)の更新を推奨し、これによって端末の稼働速度を遅くさせて新機種への買い替えを促しているとして、各国で批判を受けてきたが、両社に対する罰金の決定は、これが初めてのものとみられる。...
全部読む
製造業者が新製品や高性能機種への買い替えを促進するため、製品の寿命を意図的に短縮する仕組みを入れ込んだり、製品がすぐに旧式となるように計画したりする商習慣を「計画的陳腐化」と呼ぶが、こうした行為は、消費者グループなどから広く批判されている。
アップルとサムスンは、旧機種の基本ソフト(OS)の更新を推奨し、これによって端末の稼働速度を遅くさせて新機種への買い替えを促しているとして、各国で批判を受けてきたが、両社に対する罰金の決定は、これが初めてのものとみられる。
イタリア当局の声明によれば、調査によって「アップルとサムスンが不正な商慣行を導入した」と判断したという。声明は、OSの更新が「重大な機能障害をもたらし、稼働速度を著しく低下させて、新型機種への買い替えを加速した」とするとともに、両社がOS更新の影響や、元の機能の回復手段などについての適切な情報を与えなかったと指摘した。
サムスンの問題はこれまで余り表面化していなかったが、「ギャラクシー・ノート4(GALAXY Note 4)」の所有者に対し、より新しいモデルである「ノート7」用のアンドロイドOSの新版をインストールするよう求め、これによって旧機種の稼働速度や機能性が劣化したとされている。サムスンは当局の判断に失望したとして、争う姿勢を示した。
アップルは「アイフォーン6(iPhone 6)」の所有者に対し、「アイフォーン7」向けのOSのインストールをしきりに勧め、同様の問題を生じさせたが、そうした可能性があることを消費者に警告しなかった。アップルはまた、顧客にリチウム電池の寿命などの重要な特徴や、その交換などについての情報提供を怠ったとして、追加の罰金を科せられた。
イタリア当局は1月、消費者からの苦情を受けて調査を開始した。当時米国やフランスでも問題が発生して調査が行われ、アップルは米国で集団訴訟を提起された。昨年、同社は米国で、旧機種の稼働速度を意図的に遅くしたことは認めたが、製品寿命を故意に短くする計画的陳腐化については否定した。同社は、リチウム電池の劣化による予期せぬ端末のシャットダウン防止のため、稼働速度を制限し電源の使用を少なくしていると説明した。
閉じる