中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の初めての海上共同演習が22日、中国・広東省の海軍基地周辺で開始された。南シナ海を巡って米中の対立が深まる中、中国はASEAN各国と連携することで、米国をけん制する狙いがあるものとみられる。一方、米国は22日、同国の艦艇2隻が台湾海峡を通過したことを発表した。中国の反発が予想される。
中国海軍とASEANの加盟10カ国は、係争中の南シナ海の安定と緊張緩和を推進するための取り組みの一環として、初の海上での共同演習を実施することで合意した。各国は8月にシンガポールで机上訓練を実施し、準備を進めてきた。
中国国営放送局の中国中央テレビなどによると、共同演習は22日に始まり、広東省・湛江の軍港で式典が行われた。演習は28日までの7日間にわたって行われ、中国・ASEAN双方から8隻の艦船、1,200人の軍人が参加する。...
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中国海軍とASEANの加盟10カ国は、係争中の南シナ海の安定と緊張緩和を推進するための取り組みの一環として、初の海上での共同演習を実施することで合意した。各国は8月にシンガポールで机上訓練を実施し、準備を進めてきた。
中国国営放送局の中国中央テレビなどによると、共同演習は22日に始まり、広東省・湛江の軍港で式典が行われた。演習は28日までの7日間にわたって行われ、中国・ASEAN双方から8隻の艦船、1,200人の軍人が参加する。中国国防部の21日の声明によれば、共同の捜索・救難活動、偶発的な衝突回避のための情報連絡の訓練などが行われるという。
ASEAN各国の演習への参加状況については、シンガポールが共同主催国となり、ブルネイ、タイ、ベトナム、フィリピンの各国は艦船などを、ラオスは軍人を送り演習に参加する。カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマーはオブザーバーを派遣した。
中国国防部は演習開始前日の21日、共同演習は「相互の信頼を深め、中国とASEAN諸国間の軍事上の関係を推進し、海上の安全保障に関する協力関係を強化し、共同で安全保障上の脅威に対応する能力を高めることに寄与する。」とその意義を強調した。
中国には、ASEANを軍事面での連携を通じて取り込むことで、一部の加盟国と領有権を争う南シナ海で米国の影響力を排除したい考えがあるものとみられる。一方、ASEANは来年、米国とも海上での共同演習を行うこととしている。中国への警戒感は根強く、米中両国と関係を構築することにより、緊張の緩和を図る狙いがあるとみられている。
米国は、中国が南シナ海全域で領有権を主張し、人工島を造成し軍事拠点化を進めていることに対する懸念を表明している。米海軍は定期的に「航行の自由作戦」を実施し、これに対抗しており、両国間の対立が深まっている。米国防総省は22日、横須賀が母港の米海軍のミサイル巡洋艦アンティータムとミサイル駆逐艦カーティス・ウィルバーの2隻が同日、台湾海峡を通過したことを発表した。2隻の艦艇の航行については、台湾国防部が先に発表済みで、米国がこれを追認した。中国の強い反発が予想される。
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