NASAは、9月15日に地球温暖化による氷山の融解の程度を観測するため、精密なレーザー光センサーを備えた観測衛星、ICESat-2をカリフォルニア州のバンデンベルグ空軍基地から打ち上げた。
この観測衛星は、0.5トンの重量であるが、10億ドル(=1100億円)の費用を投じられており、地球温暖化の極地での氷山の融解に及ぼす影響をつぶさに観測するという重要な任務を担っている。
NASAの担当者によれば、この衛星は、グリーンランドと南極での各所の氷層の厚さの年間の変化を観測し、これらの精密データを蓄積することにある。なお、場所によっては、1年での氷層厚さの変化が4mmに過ぎない場合もあるという。...
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この観測衛星は、0.5トンの重量であるが、10億ドル(=1100億円)の費用を投じられており、地球温暖化の極地での氷山の融解に及ぼす影響をつぶさに観測するという重要な任務を担っている。
NASAの担当者によれば、この衛星は、グリーンランドと南極での各所の氷層の厚さの年間の変化を観測し、これらの精密データを蓄積することにある。なお、場所によっては、1年での氷層厚さの変化が4mmに過ぎない場合もあるという。
NASAは、2003年から2009年の間、観測衛星、ICESatを打ち上げて氷塊が細分化する現象や、グリーンランドおよび南極の沿岸地域の氷塊面積の減少を観測していたが、それ以降、現在までの過去10年間は、飛行機による観測に頼っており、地球上の氷層の厚さ測定用の観測衛星が欠如していた。
そのため、今回、観測衛星ICESat-2を打ち上げ、精度の高い氷層厚さ変化を捕らえようとしており、レーザー光センサーはいっそう高性能なものとなっている。すなわち、2つのレーザー光センサー(1つは予備)を備え、約500kmの高度からレーザー光が発信され、目標位置の氷層厚さ変化を測定する。
レーザー光は、1秒間に従来のICESat の40回発信に比べ、ICESat2では、 1万回発信される。この機能により、観測衛星の軌道に沿って、70cm距離ごとに氷層厚さ変化を測定できるという。
北極やグリーンランドの氷層が年々薄くなっており、これが海洋レベルを押し上げ、数億人の沿岸住民に危機状態をもたらしている。
NASAの氷層研究者のトム・ワグナー氏によれば、観測衛星ICESat-2での正確な氷層厚さ変化データを解析することで、地球温暖化における海洋レベルの押し上げに対する氷層融解の寄与の度合いが明確になるものと期待されている。
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