独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は13日、同社の象徴である小型車「ビートル」の2モデルを新たに発表したが、これらを最終モデルとして、同車の生産を2019年に終了することを明らかにした。
カブト虫(ビートル)を思わせる同小型車は、VWが電気自動車(EV)やファミリータイプの中型車などに軸足を移す中で、次第に存在感が薄くなっていた。VWグループ・オブ・アメリカのハインリッヒ・ウェブケン最高経営責任者(CEO)は13日、ビートルの生産終了を表明した。
同CEOは、「我々は米国で家族向けの車に注力したフルラインの自動車メーカーに移行するとともに、電気化戦略を強化しており、すぐにはその計画を変更しない。...
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カブト虫(ビートル)を思わせる同小型車は、VWが電気自動車(EV)やファミリータイプの中型車などに軸足を移す中で、次第に存在感が薄くなっていた。VWグループ・オブ・アメリカのハインリッヒ・ウェブケン最高経営責任者(CEO)は13日、ビートルの生産終了を表明した。
同CEOは、「我々は米国で家族向けの車に注力したフルラインの自動車メーカーに移行するとともに、電気化戦略を強化しており、すぐにはその計画を変更しない。」と説明したが、その一方で、昨年ワーゲンバスを2022年にEVで復活させることを同社が決定したことを例に挙げて、「絶対にないとは言えない。」と、ビートル復活の可能性を示唆した。
VWは同時に、ビートルの最終モデルとして、クーペ型とコンバーチブル型の2種を発表した。同社は2種について、これまでのモデルの特長を受け継ぐものであり、価格は2万3,045米ドル(約258万円)からとしている。
同車の歴史は、ナチス・ドイツの時代に遡る。アドルフ・ヒトラーの支援を受けたフェルディナント・ポルシェが、後にビートルと呼ばれる車を1930年代に開発した。ヒトラーは1937年、VWの前身の国営企業「フォルクスワーゲンベルク(国民車製造企業)」を設立したが、戦後連合国は、ドイツの自動車産業再生にあたり、VWを再優先させた。
同車は1950年代に米国でデビューしたが、起源にナチスが関係していたこともあり、売れ行きは悪かった。広告代理店のドイル・デーン・バーンバックが1959年に「ビートル」と呼び、消費者に小型車のメリットを宣伝したことで、漸く人気となる。その人気は、人間の心を持ったカブト虫型のVW車がレースで活躍する1968年のディズニー映画「ラブ・バッグ」によってさらに高まり、その後、アンディー・ウォーホル作品や、ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」のジャケットにも登場し、大きな話題となった。
米国での販売は1979年に終了し、その後メキシコ、ブラジルで生産が続けられた。米国では1997年に「ニュービートル」として同車のコンセプトが復活したが、最近の販売台数は低迷し、同社のジェッタやパサートなどのセダンに大きく差を付けられていた。
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