ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は11日、米シカゴで行われている国際工作機械見本市(IMTS)で、量産車の部品を3Dプリンターで製造する計画を明らかにした。米HPの新しい金属印刷技術を使用するという。
3Dプリンターは、1つの部品を製造する際、仕上がるまでに原材料の層を出して積み重ねていく。3D印刷の技術は、自動車産業でも使われているが、これまでは試作品や個別の部品を特別に少量製造する場合などにとどまっていた。
HPの新しい金属印刷技術「HPメタル・ジェット」は、製造する部品によっては、既存の3D印刷技術の50倍の生産性を低価格で実現し、自動車部品の製造について初めての大量生産を可能にしたものである。...
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3Dプリンターは、1つの部品を製造する際、仕上がるまでに原材料の層を出して積み重ねていく。3D印刷の技術は、自動車産業でも使われているが、これまでは試作品や個別の部品を特別に少量製造する場合などにとどまっていた。
HPの新しい金属印刷技術「HPメタル・ジェット」は、製造する部品によっては、既存の3D印刷技術の50倍の生産性を低価格で実現し、自動車部品の製造について初めての大量生産を可能にしたものである。VWは、先ずは特別なシフトレバーのノブ、車両後部の文字、顧客の好みの文字が入ったキーなどのカスタマイズされた部品を製造し、2~3年以内に本技術を使用して、構造部品の大量生産を行う意向を示した。
VWは既に90台の3Dプリンターを工場に備え付けており、希少な部品の製造に用いてきた。今後は、HPの新技術により、ピストンなどの非常に高い圧力がかかる部品も、3Dプリンターで製造できるようになると考えている。
VW車は、通常6,000~8,000の部品で構成されている。「車を完全に3Dプリンターで製造するのは当面無理だろうが、3Dプリンターが製造する部品の数と大きさは著しく増すだろう。」と、同社の技術企画開発部門は今後の展望についてコメントした。
3D印刷技術の大きな利点について、VWは、先ず初めに製造用のツールを作らなくても多くの部品を生産できることを挙げ、部品の製造に関わる時間を短縮して、短期間に車の量産が可能になると説明している。
HPは、同社の新しい金属印刷サービスは、自動車部品に限定されるものではないと今後の見通しを示した。ディオン・ワイズラー最高経営責任者(CEO)は声明で、「可能性は膨大だ。自動車、その他の工業、医療分野だけでも、毎年数十億の金属部品が生産されている。」と述べ、同技術がスピード、品質、経済性などの面で、デジタル時代に革新的な解決策をもたらすものであることを強調した。
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