これまでは、EU諸国の市民は1年の2度、3月に時計を1時間進ませて夏時間とし、10月に時計を1時間遅らせて冬時間とする操作を行ってきた。しかしこの夏に460万人以上のEU市民に対して行ったオンライン調査によると、回答者の84%が、夏、冬時間規定を廃止することに賛成を示した。それではヨーロッパで何故、夏、冬時間規定が不評なのか原因を探ると次の4点が挙げられている。
不評原因―1/
普遍性のある規定ではなく、1976年の第一次石油ショック時に省エネの理由で開始された。...
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これまでは、EU諸国の市民は1年の2度、3月に時計を1時間進ませて夏時間とし、10月に時計を1時間遅らせて冬時間とする操作を行ってきた。しかしこの夏に460万人以上のEU市民に対して行ったオンライン調査によると、回答者の84%が、夏、冬時間規定を廃止することに賛成を示した。それではヨーロッパで何故、夏、冬時間規定が不評なのか原因を探ると次の4点が挙げられている。
不評原因―1/
普遍性のある規定ではなく、1976年の第一次石油ショック時に省エネの理由で開始された。世界でEU諸国を含めて70か国でしか夏時間、冬時間規定を採用していない。
不評原因―2/
夏、冬時間規定の唯一の根拠とされる省エネルギー効果についての2016年のドイツ国会の技術評価局の調査によると、ドイツの世帯で0.8%、ドイツの国全体で0.2%の省エネルギー効果に過ぎなかった。すなわち、取るに足らない効果しかないということとなった。
不評原因―3/
夏、冬時間規定により交通事故が増えるという指摘があった。 しかし逆に、昼間の時間帯を太陽の日の出から日の入りまでの時間帯に近くしているので、昼間の車からの視界が良くなるので交通事故が減るという矛盾する報告もあり、交通事故に対する影響は不明である。
不評原因―4/
2008年の医学誌「New England Journal of Medicine」に掲載されたスウェーデンでの1987年から2006年までの統計に基づく研究によると、夏時間への変更後の1週間での心臓発作が増加すると指摘している。しかし、この因果関係についても賛否両論がある。いずれにしても夏、冬時間の変更で、体のバイオリズムが崩れ、眠気を感じたり、食欲を無くしたり、気分が悪くなることは関しては、多くの人の意見が一致している。
さて、EU諸国で40年以上も続いた、夏、冬時間規定が廃止されるのか、今後の成り行きが注目される。
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