米金融大手ゴールドマン・サックスは先週、育児中の女性社員への支援策の一環として、出張をする際に、母乳を冷凍保存して自宅に送付するサービスを採用し、その費用を会社が負担することを明らかにした。CNNやロイター通信などのメディアが報じている。
ゴールドマン・サックスは、米国内の従業員を対象に、生活支援事業などを手がける米ライフケア社の「ミルクシップ」のサービスを採用する。母乳を冷凍の輸送キットで翌日までに自宅に送付するもので、キットは世界中の出張先のホテルに直送可能である。米国外が本拠の従業員には、出張中に母乳を冷凍し送付する費用分の金額を支給する。
同社のような手当は珍しいが、主要企業で初めてではない。コンサルティング会社のアーンスト&ヤング(EY)が、同様の制度を2007年に導入しており、2015年にはIBMが追随している。...
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ゴールドマン・サックスは、米国内の従業員を対象に、生活支援事業などを手がける米ライフケア社の「ミルクシップ」のサービスを採用する。母乳を冷凍の輸送キットで翌日までに自宅に送付するもので、キットは世界中の出張先のホテルに直送可能である。米国外が本拠の従業員には、出張中に母乳を冷凍し送付する費用分の金額を支給する。
同社のような手当は珍しいが、主要企業で初めてではない。コンサルティング会社のアーンスト&ヤング(EY)が、同様の制度を2007年に導入しており、2015年にはIBMが追随している。働く女性の支援策としては、アップルやフェイスブックのように、母親になる時期を遅らせるため、卵子を凍結保存する費用を負担する企業も今ではあるという。
ゴールドマン・サックスで世界の従業員の福利厚生担当部署の責任者を務めるローラ・ヤング氏は、親になることで独特の多くの課題に直面することになると指摘し、「我々は絶えず当社社員に対し、家庭や職場での成功に繋がる手段を与えつつ、日々起きる問題への対処を支援する制度やサービスを提供していきたい。」と述べた。
世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)は、乳児は生後6カ月までは母乳だけで育てることを推奨している。しかし、米国の女性は、有給の育児休暇を保証されておらず、仕事の厳しさもあって、働きながら母乳で育てるのは難しいと感じる母親もいる。2015年の統計によれば、米国では、生後3カ月まで母乳だけで育てられる乳児は50%に満たず、生後6カ月までとなると僅か25%に過ぎない。
米疾病予防管理センター(CDC)は、「この割合が意味するところは、母親らが、医療提供者、家族、雇用主などから、母乳で育てる目標を満たすための必要な支援を得ていない可能性があるということだ。」と説明している。
ゴールドマン・サックスでは、米国の女性従業員には有給の産休・育休を16週間与えている。英国での同様の有給休暇は6カ月の制度となっている。今回の新たな母乳送付手当の創設に対しては賛否両論があるが、批判的な意見には、会社が女性に対し、長い育児休暇を取らないよう圧力をかける可能性があると懸念するものがあった。
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