これまで水中に沈む潜水艦と空中の飛行機との間の通信方法は存在しなかったのだが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームにより、潜水艦から飛行機に通信する技術が開発された。応用されれば、フライトレコーダーの探知などにも使われる可能性があるという。
8月22日付英国
『BBC』は「潜水艦から飛行機にメール送信する新技術」との見出しで以下のように報道している。
マサチューセッツ工科大学の研究チームにより潜水艦から飛行機に通信する技術が開発された。現在の技術では、飛行機から水中のソナー信号を受信するのは水面反射により難しいため、困難だとされてきた。だが、研究チームは超高周波レーダーが、通常の水中スピーカーから発せられる水面の小さな揺れを探知することを突き止めたのである。...
全部読む
8月22日付英国
『BBC』は「潜水艦から飛行機にメール送信する新技術」との見出しで以下のように報道している。
マサチューセッツ工科大学の研究チームにより潜水艦から飛行機に通信する技術が開発された。現在の技術では、飛行機から水中のソナー信号を受信するのは水面反射により難しいため、困難だとされてきた。だが、研究チームは超高周波レーダーが、通常の水中スピーカーから発せられる水面の小さな揺れを探知することを突き止めたのである。これにより音信不通となった飛行機と、潜水艦が通信できるようになるという。
潜水艦は水中を伝播するソナー波を使って通信を行うのだが、水面を突き抜けるのは難しいとされる。一方、飛行機は、 無線信号を使って通信を行うが、あまり水を通さない。
その為現在は、潜水艦はメッセージ通信のため水面に浮上せねばならず、これでは位置情報が漏れてしまう。信号をキャッチするためのブイ(浮標)が使用される場合もあり、信号は無線信号に変換される。
MITが開発したシステムでは、水中スピーカーからソナー信号を直接水面に送り、数マイクロメートルの極小さな波を作りだす。この波を水上の高周波数レーダーで探知し、メッセージへ変換する。研究はスイミングプールを使って行われ、水中からのメッセージを水上でキャッチすることに成功した。
しかし、このシステムで大量のデータを送信できるようになるのはまだ先となる。更に、16cm以上の波のあるところでは通信が行えない条件つきで、しかも飛行機からの通信は行えない一方方向の通信である。
今後は、海洋面のノイズを修正し、ソナー信号による微弱な波を取り出す技術開発が期待されている。この技術は将来的には、飛行機やドローンが海に沈んだフライトレコーダーの位置を探知するのに使用されることであろう。
8月21日付『MSN』は「遂に潜水艦から飛行機への通信に成功」との見出しで以下のように報道している。
これまで空気中と水中の間での信号通信方法は存在しなかった。
水中にある潜水艦から空を飛ぶ飛行機への伝達方法は無く、中継船を介して以外は、コミュニケーションは不可能とされてきた。しかし、今回、MITメディアラボのFadel AdibとFrancesco Tonoliniら研究チームが、Translational Acoustic-RF communication(TARF)と呼ばれるシステムを使用し、水中からの音波を空中のレーダーで読み取る事に成功した。
閉じる