ローマ法王フランシスコは、死刑を「容認できない」として、カトリック信者らの最も重要な教理の手引書である「カテキズム」を改定し、これまでのごく稀に死刑が容認される場合があるとの立場から、全面的に認めない立場への変更を宣言した。バチカンのローマ法王庁が2日に発表した。
カテキズムの改定版では、「死刑は人間の不可侵性と尊厳への攻撃であるため、容認できない」旨を明記した。これまでの教理では、ローマ・カトリック教会は、もし「不当な攻撃者に対し、人間の命を効果的に守る唯一の可能な方法」であるならば、死刑制度に頼ることも排除しないとしていた。
法王庁の教理省長官を務めるルイス・ラダリア枢機卿は、司教らに宛てた書簡の中で、改定版では、「すべての人間の生命に対し払われるべき敬意についてのカトリック教会の認識を明確化すること」が強調されており、教会が全世界での死刑廃止に「決意をもって取り組む」とも記されていると説明している。...
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カテキズムの改定版では、「死刑は人間の不可侵性と尊厳への攻撃であるため、容認できない」旨を明記した。これまでの教理では、ローマ・カトリック教会は、もし「不当な攻撃者に対し、人間の命を効果的に守る唯一の可能な方法」であるならば、死刑制度に頼ることも排除しないとしていた。
法王庁の教理省長官を務めるルイス・ラダリア枢機卿は、司教らに宛てた書簡の中で、改定版では、「すべての人間の生命に対し払われるべき敬意についてのカトリック教会の認識を明確化すること」が強調されており、教会が全世界での死刑廃止に「決意をもって取り組む」とも記されていると説明している。
カトリック教会は、数十年にわたり死刑制度に反対する姿勢を強めてきた。フランシスコ法王の前任のベネディクト16世、その前任のヨハネ・パウロ2世も、死刑の廃止を唱えている。ヨハネ・パウロ2世は、1999年の米国訪問時にその撤廃を求め、ベネディクト16世は、「死刑廃止のためにできること全てを行う必要がある。」と述べたが、カテキズムの改定にまでは踏み込まなかった。
フランシスコ法王は、人間に対する処刑は、贖罪の可能性を排除するため、基本的にキリスト教の教理に反するとして、長い間死刑制度に反対してきた。囚人らを定期的に訪問して気遣い、社会復帰に向けて更生するよう促している。法王はまた、死刑の廃止に関する「国際的なコンセンサス」を求めてきた。
死刑制度は、カトリック教徒が多い諸国の大半を含め、世界の3分の2以上の国で廃止または停止されている。しかしながら、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルの記録では、2017年だけで、53カ国において少なくとも2,591件の死刑判決が下されており、1,000人近くの死刑が執行された。同団体によれば、中国では数千件の死刑判決が言い渡されているが、公表されていないため、上記の数字から除外されているという。
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