世界貿易機関(WTO)は4日、G20各国間の貿易制限に関する報告書を公表した。その中でWTOは、主要経済国による貿易障壁が、世界の景気回復を阻害する恐れがあると警告し、その悪影響が既に表れ始めていると指摘した。
WTOのロベルト・アゼベド事務局長は、「事態はエスカレートし続けており、全ての国の経済の成長や回復に深刻な脅威となる。そしてこの影響は、幾つかの先行指標に表れ始めている。」と声明で述べた。アゼベド氏は詳しく語らなかったが、WTOは5月、第2四半期の貿易の伸びは、第1四半期より鈍化するとの見通しを示していた。
先行指標の一種である、国際航空運送協会(IATA)の国際航空貨物に関する5月のデータが、4日に発表された。...
全部読む
WTOのロベルト・アゼベド事務局長は、「事態はエスカレートし続けており、全ての国の経済の成長や回復に深刻な脅威となる。そしてこの影響は、幾つかの先行指標に表れ始めている。」と声明で述べた。アゼベド氏は詳しく語らなかったが、WTOは5月、第2四半期の貿易の伸びは、第1四半期より鈍化するとの見通しを示していた。
先行指標の一種である、国際航空運送協会(IATA)の国際航空貨物に関する5月のデータが、4日に発表された。これによると、2018年の航空貨物の需要の伸びは4.0%と予測されており、昨年12月時の予測4.5%を下回っている。
IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長は声明で、「各国政府間の貿易摩擦の激化により、向かい風が強まっている。我々はまだ需要が伸びることを期待しているが、新たな関税が導入される毎に期待がくじかれている。」と状況を説明した。
WTOの分析によれば、昨年10月中旬から今年の5月中旬の7カ月間に、G20は39の新しい貿易制限措置を導入したが、その数は前の7カ月から倍増している。制限措置は、鉄鋼、プラスチック、自動車関連の貿易に影響するものであるという。
アゼベド事務局長は、「G20経済国間の新たな貿易制限措置が際立って増加していることは、国際社会にとって真の懸念事項であるはずだ。」と述べ、WTOの調査期間終了後の数週間にも、貿易制限がさらに導入されていると続けた。
WTOの報告書は、「金融危機後、世界経済がようやく持続的な勢いを生み出し始めた矢先に、貿易制限措置の激増がもたらした不透明感が、経済の回復を危うくする可能性がある。」と各国の措置の応酬について警告している。
WTOは、世界の貿易システムは、そうした問題を解決するために構築されているが、緊張の激化はシステム自体への脅威であり、G20経済国は、講じられるあらゆる手段を用いて事態を鎮静化し、貿易の回復を推進することが必要だとして、各国に対応を求めた。
閉じる