今週初めに公表されたロシアの国営世論調査機関VTsIOMの調査結果によれば、同国の18歳から24歳までの若者の内、およそ3人に1人が、国を離れて外国で暮らしたいと考えていることが分かった。
VTsIOMは今回、2,000人のロシア人に対する調査を行っている。全ての年齢層を見ると、海外に移住したいと回答した人は1割程度だった。その数字は2011年以来、10~13%で推移しているという。
これに対し、18~24歳の若者では、海外に移住したいと回答した人の割合は31%に上った。希望の移住先としてはドイツが最も人気が高く、回答者の16%が同国を選び、米国の7%、スペインの6%がこれに続いている。...
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VTsIOMは今回、2,000人のロシア人に対する調査を行っている。全ての年齢層を見ると、海外に移住したいと回答した人は1割程度だった。その数字は2011年以来、10~13%で推移しているという。
これに対し、18~24歳の若者では、海外に移住したいと回答した人の割合は31%に上った。希望の移住先としてはドイツが最も人気が高く、回答者の16%が同国を選び、米国の7%、スペインの6%がこれに続いている。
ロシアは現在、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催国として国際的な注目を浴びている。ファンの熱狂的な応援の中、選手たちが安全な環境の下で試合をしており、その用意周到な運営が評価されている。プーチン露大統領がW杯で得点していることは間違いないが、専門家は、国内政治や外交に良い波及効果があるかについて懐疑的だ。
ロシアは近年、国際舞台での孤立を深める。シリア内戦では軍事介入して西側諸国と対立し、ウクライナのクリミア半島併合を巡っては、西側諸国による制裁によって経済に大きな打撃を受けた。そうした状況を受けて、今回のW杯でも西側諸国のサポーターなどの訪問者数は相対的に少なく、ロシアのイメージが今後大きく改善するとは考えにくい。
プーチン大統領の前任期中に国民の生活の質は低下し、最近発表された年金受給年齢の引き上げへの不満などもあり、大統領の人気は急降下している。3日に公表された独立系世論調査機関レバダ・センターの調査では、大統領を信頼する人は48%と、1カ月半前から12ポイント低下し、VTsIOMの6月の調査でも、3週間で14ポイント下がり、64%となった。
政府系の調査機関であるVTsIOMのステパン・リボフ所長は、若者の海外移住希望者が多いという調査結果については、ロシアの若者の「自国の恐ろしい現実から逃れたい」とする願望というよりも、彼らが「外の世界に対し、さらに開放的になっている」ことが示されたものであると説明した。
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