国際連合、世界観光局(UNWTO)の統計調査によると2016年時点でアフリカ大陸の諸国への海外からの観光客が5700万人を越し、年々増加傾向にある。日本への海外観光客の人数が現在3000万人前後とするとその値の約2倍に相当する。
アフリカは内戦など問題を抱える国も多いが、全体としては経済発展しており,それに伴って、現在全人口が12億人のところ、2050年には2倍以上に膨れ上がると予想されている。 また、アフリカ大陸には他の地域で見られないサファリゾーンなどの自然、景観観光資源やエジプトの古代遺跡などの文化観光資源を持っており、海外の観光客を引き寄せる魅力に富んでいる。UNWTOでは2030年までにアフリカへの海外観光客数は1億3400万人に達すると予想している。
2016年のUNWTO統計調査での国別の観光客数を比べると、モロッコが一番多く、毎年1030万人の観光客を受け入れている。次に南アフリカ共和国、1000万人、さらにチュニジア、570万人、エジプト、530万人となる。以上のように現状の海外観光客数が北アフリカの諸国と南アフリカ地域に集中しているが、UNWTOによると今後、それ以外のアフリカ地域すなわちタンザニア、ケニア、エチオピアなどの東アフリカ、コートジボワール、ガボンなどの西アフリカ地域およびコンゴなどの中央アフリカへの外国観光客の増加が予想される。
アフリカでは、今後の外国観光客の増加に備えるため、国際およびローカルのホテル・チェーンが部屋数の増加や設備の質の向上、サービスの向上などを行っており、年々投資額を増やしつつある。現在のところは南アフリカ共和国が最も充実したホテル・チェーンを保持しており、全アフリカのうちの30%のホテルがこの国に集中している。ホテル数の序列は北アフリカのエジプト、モロッコ、チュニジアが南アフリカ共和国に続いている。
しかしながらアフリカのホテルに関する問題点として、コンゴの首都、キンサシャ、エチオピアの首都アディスアベバなどの大都市のうち半分以上でホテルの絶対数が不足していることである。ホテルのインフラを整備することが今後のアフリカの外国観光客の増加と観光産業の発展が是非とも必要であろう。
その他当然のことながら、エボラ出血熱などの風土病の撲滅やアフリカ諸国の政情の安定化も外国観光客をこれから増やしていくためには最重要課題として挙げられる。
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