国連の経済社会局は16日、世界の都市部で生活する人口の割合が、現在の55%から2050年までに68%に増加するとの見通しを示した報告書を発表した。インドのニューデリーが2028年までに東京を抜いて、世界最大の都市圏となることも予測されている。
国連・経済社会局が16日に発表した報告書によると、2050年までに都市在住者は25億人増加するという。また、人口1,000万人超の巨大都市は、1990年には僅か10都市だけであったが、現在では33都市あり、2030年までに43都市に増えるとされている。
こうした都市部の人口の増加は、世界中で地方から都市への人の流れが加速していることが背景にある。特に都市化で世界の他地域に後れを取ってきたアジアでは、今後著しい増加が予想される。...
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国連・経済社会局が16日に発表した報告書によると、2050年までに都市在住者は25億人増加するという。また、人口1,000万人超の巨大都市は、1990年には僅か10都市だけであったが、現在では33都市あり、2030年までに43都市に増えるとされている。
こうした都市部の人口の増加は、世界中で地方から都市への人の流れが加速していることが背景にある。特に都市化で世界の他地域に後れを取ってきたアジアでは、今後著しい増加が予想される。現在、北米では82%、欧州では74%が都市部で暮らしているが、アジアではその割合は50%にとどまっており、アフリカは43%と最も低い。
最も都市部への人口の移動が見込まれるのは、インド、中国、ナイジェリアの3カ国だ。2050年までに、インドでは4億1,600万人の都市在住者が増加する。中国の増加は2億5,500万人、ナイジェリアは1億8,900万人で、世界の都市人口の増加、25億人の約35%を3カ国が占めることとなる。
報告書はまた、インドのニューデリーは、2028年までに東京を抜いて世界最大の都市圏になると予測する。日本の人口は減少する一方、インドの人口は増加を続けている。現在の東京圏の人口は3,700万人で、ニューデリーは2,900万人。これに上海の2,600万人、メキシコシティとブラジルのサンパウロの2,200万人が続き、エジプトのカイロ、インドのムンバイ、北京、バングラデッシュのダッカは2,000万人近くでほぼ並んでいる。
今後全ての都市で必ずしも人口増となるわけではなく、報告書は、日本の長崎や韓国の釜山に着目し、2,000年以来人口が減少している事実を指摘した。ロシア、ポーランド、ルーマニア、ウクライナ等の東欧の諸都市でも同様だ。
都市部の人口増は必ずしも持続可能でなく、効率面などの問題を生む場合もある。アフリカには、交通、汚染、住宅不足等の急速な都市化に伴う問題の軽減の為、環境配慮型の都市「スマートシティ」を実験中の国がある。大都市を管理可能な単位に分割する国もあり、豪シドニーは生活や行政の質の向上の為、2040年までに3分割する案を発表した。
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