これはサウジの女性にはとても画期的な出来事で、乗用車のみならず、オートバイや、バン、トラックの運転も可能になる。長年続いた女性ドライバーの禁止措置の撤廃は、7か月前に王の後継者であるモハメッド・ビン・サルマン皇太子の王国の近代化政策の一環として決定された。
ちなみにサウジアラビアは女性解放の上では極度の後進国で、女性の結婚も旅行に行くのも家族の男性の許可が必要とされる。従って、女性ドライバーの許可は歴史的な出来事に相当する。...
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これはサウジの女性にはとても画期的な出来事で、乗用車のみならず、オートバイや、バン、トラックの運転も可能になる。長年続いた女性ドライバーの禁止措置の撤廃は、7か月前に王の後継者であるモハメッド・ビン・サルマン皇太子の王国の近代化政策の一環として決定された。
ちなみにサウジアラビアは女性解放の上では極度の後進国で、女性の結婚も旅行に行くのも家族の男性の許可が必要とされる。従って、女性ドライバーの許可は歴史的な出来事に相当する。
女性ドライバーの許可の背景には、これまで長年にわたる女性ドライバーの許可を訴えるサウジ女性の粘り強い運動があった。1990年までは女性が運転することは法的には問題なかったが、実際には「女性は運転すべきでない」という不文法が存在していた。同年に47人のサウジ女性がオートバイに乗って首都リアッド周辺地区で女性ドライバーの開放を宣伝活動して、全員逮捕された事件があった。もっとも女性たちは24時間後には家族のもとに開放されたとのことである。
2011年チュニジアでの民主化運動「アラブの春」に呼応して女性ドライバーの許可と女性の活動の場を広げようという運動が再燃した。 2013年には女性運動家がUAEからサウジアラビアに車を運転したところを捕らえられ、2か月間投獄されている。
2年前にモハメッド皇太子により打ちだされた「ビジョン2030」構想ではサウジアラビアの石油生産依存の経済から脱皮して近代化を図る施策が盛り込まれている。皇太子は、1970年代からはびこっていた社会活動におけるイスラム教義の過度の影響を抑えようとしており、教義違反を監視する宗教警察の弱体化をもはかっている。
今回の「女性ドライバーの許可」もモハメッド皇太子の計画している「ビジョン2030」構想の一つのステップと解釈できる。
パキスタンの有力誌によれば、最近、東京のサウジアラビア大使館、商務担当に初めて女性の大使館員が起用されたとのことである。サウジアラビアは日本にとって遠くて近い国、日本で消費する石油のほとんどをこの国から輸入している。 今後ともこの国の動向に注視していきたい。
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