【Globali】
世界初のロシア製洋上原子力発電所が出港(2018/05/01)
世界初の移動可能な洋上原子力発電所は、ロシア製のアカデミック・ロモノーソフだ。アカデミック・ロモノーソフは長さ144m、幅30mほどの船で、排水量が21,500トン、69人の乗員とともに、4月28日にサントペテルブルグから出港した。現在ロシア北部にあるノルウェーやフィンランドに近いムルマンスクに向かっており、そこでウランを積む予定だ。その後、極東地域北東端に位置するチュクチ自治管区の北極海に面した港ペヴェクを目指す。
出力3.5万kWの「KLT-40S」原子炉を2基搭載しているアカデミック・ロモノーソフは、2019年にもペヴェクで運転開始の予定である。発電能力は70MWで、通常の原子力発電所の20分の一だが、人口20万人の都市に十分だとされており、ロシア北部と極東で、石油やガス採掘の洋上設備に電力を供給する計画だ。
製造会社ロスエネルゴアトム社は、台風、氷山など海上での衝突、人的事故で起こりうる諸問題に、問題なく耐えられると主張している。...
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出力3.5万kWの「KLT-40S」原子炉を2基搭載しているアカデミック・ロモノーソフは、2019年にもペヴェクで運転開始の予定である。発電能力は70MWで、通常の原子力発電所の20分の一だが、人口20万人の都市に十分だとされており、ロシア北部と極東で、石油やガス採掘の洋上設備に電力を供給する計画だ。
製造会社ロスエネルゴアトム社は、台風、氷山など海上での衝突、人的事故で起こりうる諸問題に、問題なく耐えられると主張している。そしてこの洋上原発は、稼働中に有害な廃棄物を放出することはなく、陸上の原発と同じくらい安全だと説明している。
しかし、環境団体や海外からは、完全に安全であるとは言えないと批判の声が上がっている。過去にもチェルノブイリ原発事故や2000年バレンツ海で沈没した原子力潜水艦クルスクと言った大惨事が起こっている。タイタニックや福島原発も、絶対に安全だと思われていたものの、想定外の悲劇が起こった。
アカデミック・ロモノーソフは、現在、ロシアのムルマンスク市に向けて、まずデンマークとスウェーデンを隔てる狭い海峡に向かって進んだ後、北向きにコースを変え、ノルウェー沿岸を航海していく予定だ。
アカデミック・ロモノーソフが最初に航行したエストニアの海上当局は、洋上発電所の限られた操縦能力のため、他の船が発電所とロシア軍の護衛艦を迂回しなければならなかったと非難している。
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