欧州連合(EU)統計局(Eurostat)は28日、2016年のEU全体および加盟各国の合計特殊出生率(一人の女性が出産する子供の数の平均)を発表した。EU全体では1.60で、人口維持に必要な2.1を大きく下回っている。1位はフランスの1.92で、ドイツでは移民の流入などにより出生数が大幅に増えるベビーブームとなり、出生率も1.59と1973年以来の高水準を記録した。
28日に公表された統計数字によると、2016年のEU全体の合計特殊出生率は1.60で、先進国の人口の維持に必要な水準とみなされる2.1を大きく下回った。EU加盟28カ国の出生数合計は514万8,000人であり、前年の510万3,000人から約4万5,000人増加した。
各国別に見ると、合計特殊出生率の1位はフランスで1.92、2位はスウェーデンの1.85、3位はアイルランドの1.81、4位には英国とデンマークが並んで1.79だった。...
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28日に公表された統計数字によると、2016年のEU全体の合計特殊出生率は1.60で、先進国の人口の維持に必要な水準とみなされる2.1を大きく下回った。EU加盟28カ国の出生数合計は514万8,000人であり、前年の510万3,000人から約4万5,000人増加した。
各国別に見ると、合計特殊出生率の1位はフランスで1.92、2位はスウェーデンの1.85、3位はアイルランドの1.81、4位には英国とデンマークが並んで1.79だった。一方、下位を見ると、最下位がスペインとイタリアの1.34で、ポルトガルの1.36、キプロスとマルタの1.37、ギリシャの1.38、ポーランドの1.39と、近年経済問題を抱えている南欧諸国が多く並んでいる。ちなみに日本の2016年の合計特殊出生率は1.44だった。
ドイツ連邦統計局(Destatis)が28日に公表した統計によると、2016年の同国の出生数は、前年比7%増の79万2,131人と1996年以来最多となり、記録的な水準となった。好景気に加え、父母への育児手当の支給や保育制度の拡充などの国の支援策が功を奏し、若い時に子供の数が少なかった30~37歳の世代の女性も、さらに子供をもうけている。
そしてメルケル政権の移民に寛容な政策により移民が大量流入し、ドイツ人以外の女性による出産が増加した。ドイツ人女性の出生数は60万7,500人で前年比3.0%増だったのに対し、ドイツ人以外の女性の出生数は18万4,660人で、同25%も増加した。
統計局では2015年~16年に移民の流入が急増し、「伝統的に子供を多く産む国々の出身の人口が増えた。」とその原因について分析している。この2年間でシリアやイラクなどの中東の戦闘地域から100万人以上がドイツに移住した。
欧州最多の人口を持つドイツでは、他の欧州諸国に比べると長い間合計特殊出生率が低い状態が続いていたが、この結果、前年の1.50から1.59に上昇して1973年以来の高水準を記録し、EU平均にほぼ並んだ。
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