ジーンズの生みの親リーバイス・ストラウスは、人の手により行われていた人気のダメージ加工を2020年までにレーザーを使用した新方式に移行する計画だという。オートメーション化することで工期は短縮され、化学物質の使用を減らすことができるという。背景にはファストファッションの流行に見られる被服業界のトレンド競争激化や低コスト化があるという。
2月27日付英国
『BBC』は「リーバイス・ストラウス、仕上げ工程を人からレーザーへ」との見出しで以下のように報道している。
リーバイス・ストラウスはジーンズの工程をオートメション化しレーザーを使用する。フェードカラー、ダメージ加工やリップ加工での効率をアップを図る。これまで人の手により行われ1時間で2,3枚のペースだった仕上げが90秒で済むという。これで労働者の負担も減り、数種類のジーンズを大量生産できるようになり、バイヤーの要望に合わせた加工を短期に完成する事が可能となると言う。...
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2月27日付英国
『BBC』は「リーバイス・ストラウス、仕上げ工程を人からレーザーへ」との見出しで以下のように報道している。
リーバイス・ストラウスはジーンズの工程をオートメション化しレーザーを使用する。フェードカラー、ダメージ加工やリップ加工での効率をアップを図る。これまで人の手により行われ1時間で2,3枚のペースだった仕上げが90秒で済むという。これで労働者の負担も減り、数種類のジーンズを大量生産できるようになり、バイヤーの要望に合わせた加工を短期に完成する事が可能となると言う。リーバイス・ストラウスのチップ・バーグCEOはこの工程を「未来のジーンズ製造」と呼ぶ。
同社は加工工程の多くを海外の契約企業に委託しているが同社広報によると、労働者は別の分野に移動となるのですぐに失業には結びつかないと説明。
この動きの背景には、被服業界の競争激化とファストファッションの流行がある。レギンスやレジャーウェアの流行でブルージーンズの売り上げは落ち込んでいる。一方、小売業者にはZaraやH&Mなどのファストファッションのように低コストでなおかつ新しいトレンドをより早く展開しなかればいけないという危機感がある。
リーバイス社は工業用レーザー専門のスペインのジェノロジア社と協力し、新方式を開発。仕上げ段階で人の手でスポンジやサンドペーパーを使って模様つけ等する18~20工程が約3工程に短縮できるようになる。また、自社のソフトウェアを使用しデザインや細部工程も行う。これでデザインから半年かけていたものが、数週間や場合によっては数日間の工期に短縮。更に、ビンテージ加工で大量に使用する環境汚染で賛否のある化学薬品の量も押させることが可能。
昨年同社のオートメーション計画のニュースにより数年落ち込んでいた売上は8%上昇したが利益率は減少。19世紀にズボン販売からスタートした同社の製品は、110か国で販売され販売数は国外が半分以上を占めている。
同日付米国『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「リーバイスはジーンズカットに人でなくレーザーを採用」との見出しで以下のように報道している。
1世紀以上前ジーンズを発明したリーバイス社(サンフランシスコ本社)が製造をオートメーション化しようとしている。親会社LS & Coは穴開け加工や, すり減りやフェードなど人気の加工ジーンズを生地をやすりでブラッシングしたり回転軸や化学薬品を使うため人の手に頼っていた工程にレーザーを使用する事で工期を短縮するという。レーザーで繊維の層をエッチング加工により切り裂く技術で製造サイクルは半分に減り、供給に追いつくという。また同社はデザイナーがホールを作ったり、加工できるソフトウェアを開発。デジタル試作品をワンクリックで工場へ送れるようになるという。更に使用される化学薬品がこれまでの1000から数十種類に減る。
被服業界はオートメーション化の流れがあり、製造費を抑えるため、より人件費の安いバングデシュなどでの製造に切り替えている。レーザー加工技術はここ15年で発展したが、デニムのダメージ加工には人の手による仕上げが必要とされてきた。機械化される部署の従業員も解雇されるのでなく別部署に異動になる。同社は製造の大方を第三国に頼り、国内で生産される「メイドインUSA」はわずか。効率化されても、同社が生産を国内に戻す計画はないという。ラスベガスに50人規模の仕上げ工程施設を新設したが、世界の生産に比べると微々たるものである。
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