インターネット通販大手の米アマゾン・ドットコムは30日、投資会社バークシャー・ハサウェイ、金融大手JPモルガン・チェースとともに、医療サービスを提供する新会社を設立し、提携していくことを発表した。
米国で長年の課題である、質の良い医療を安価に提供していくことがその狙いである。3社は非営利のヘルスケア・プランを構築し、国内の従業員とその家族に対し、シンプルで高品質、かつ透明性が高い医療サービスを妥当な価格で提供していくと説明した。但し、詳細な戦略の発表はなく、新会社の最高経営責任者(CEO)も採用中とのことだった。
著名な投資家であるバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長兼CEOは声明で、「医療費の急騰は、米国経済にとって、空腹のサナダムシのようなものだ。...
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米国で長年の課題である、質の良い医療を安価に提供していくことがその狙いである。3社は非営利のヘルスケア・プランを構築し、国内の従業員とその家族に対し、シンプルで高品質、かつ透明性が高い医療サービスを妥当な価格で提供していくと説明した。但し、詳細な戦略の発表はなく、新会社の最高経営責任者(CEO)も採用中とのことだった。
著名な投資家であるバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット会長兼CEOは声明で、「医療費の急騰は、米国経済にとって、空腹のサナダムシのようなものだ。しかし我々はそれが不可避なことだとは認めない。答えは見つかっていないが、経営資源を集結させて投資し、医療費の上昇を食い止める。」と述べた。米国ではGDPに占める医療費の割合が1980年以降倍増して18%に上っている。これは他の主要国より遥かに高く、企業による従業員の医療負担が、経済の足かせとなっていることは間違いない。
今回の提携は、アマゾンが小売業界に進出した時と同様に、医療分野の大きな変革や業界の再編を引き起こす可能性がある。3社のデータや技術、購買力、幅広い顧客情報を統合して活用すれば、価格を下げつつサービスを向上させることは不可能ではないだろう。
新たな医療サービスの対象者がどの位いるかについて、3社は明らかにしなかったが、各社の米国内の従業員とその扶養家族を合わせると、少なくとも100万人の被保険者がいることになりそうだ。
アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、「従業員とその家族に対する医療サービスの向上を図る一方で、経済にかかる医療費の負担を減らすことは難しいが、努力のしがいがある。」と述べたが、良い結果を出すには長期の取り組みが必要とも語った。
今回の発表を受けて、30日の株式市場では医療関連株価が軒並み急落した。医療保険会社のシグナやユナイテッドヘルス・グループは3~7%、ドラッグストア・チェーン大手のCVSヘルスやウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは4~5%、大手製薬会社のメルクやファイザー、イーライリリーなどは1~1.5%程度、株価を落としている。
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