フランスのパ・ド・カレー県で、1月11日、ジハード(聖戦)志向の受刑者が3人の看守を襲った。この事件を受けて、仏の看守組合は、設備や人手不足のために、過激思想の受刑者達に対する適切な管理が施せないでいる状態を訴えている。全国の看守達にも、12日金曜と15日月曜に続き16日火曜日も労働条件に対する抗議デモを続けるよう呼び掛けている。
これまでも、仏刑務所での職員達の労働条件は「持続不可」な状況にあると、全国の労働組合が訴えてきていたが、今回の事件で再び注目を浴びている。
組合の説明によると、10年程前から、看守達の労働条件が悪化していると言う。以前は、受刑者と看守との間には人と人のつながりがあり、職員も、受刑者を助け、ケアする気持ちで仕事をしていたと言う。現在は、職員の減少と受刑者の増加で、人間的なつながりは皆無になっている。...
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これまでも、仏刑務所での職員達の労働条件は「持続不可」な状況にあると、全国の労働組合が訴えてきていたが、今回の事件で再び注目を浴びている。
組合の説明によると、10年程前から、看守達の労働条件が悪化していると言う。以前は、受刑者と看守との間には人と人のつながりがあり、職員も、受刑者を助け、ケアする気持ちで仕事をしていたと言う。現在は、職員の減少と受刑者の増加で、人間的なつながりは皆無になっている。フランス全土の刑務所で計58,664人収容可能なところ、70,000人以上が収容されている状況だ。その中には収容率200%の刑務所も出てきており、受刑者100人を看守一人で見るような状況にある。
さらには、受刑者の構成も変化した。若年化し、かつ過激思想を持つ受刑者が多くなった。その若い受刑者達はあらゆる権威を拒否し、処罰を受けに来ているのではなく、社会システムに反抗するために刑を受けている。仏刑務所は現在では、毎年4,000から5,000件の物理的攻撃、そのうち15件ほどは人質事件が起こっているという。
そこで全国の労働組合は、刑務所内の職員達の安全を確保するため、また「受刑者達を適切にケアできる」ための「専門的な設備」、「人的および財政的手段」を求めている。
仏マクロン大統領は、看守達の訴えに対し、2月末までに包括的な対策案を用意し、行動計画を提案すると発表した。看守組合UFAP-UNSAの副代表、ステファン・バロー氏は、「シリアからの(ジハード派)帰国者達がやってくるが、現在の仏刑務所の構造では管理することは出来ない。収容人数100人以下で訓練受けた職員が十分にいる専門機関を準備する必要がある」と述べている。
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