【Globali】
米中戦略経済対話で応酬(2016/06/07)
米中が両国の懸案事項を話し合う米中戦略経済対話で6月6日中国の鉄鋼過剰設備の問題が討議された。中国の過剰設備問題は中国経済を従来の設備投資、輸出主導の経済から消費主導の経済に構造改革するうえで最大の課題として中国政府も位置づけ、年初よりこれに取り組むことを明言して来た。しかしこの改革は当然のことながら人員整理を伴うため、性急に進めると社会的な混乱を招きひいては中国共産党の支配体制にも響きかねない大きな問題であり、中国政府も慎重に進めているというのが実情であろう。一方米国、日本、欧州などは過剰設備により中国国内需要を遥かに超えて生産され低価格で輸出される中国の鉄鋼製品のため自国の製鉄業界が大きな被害を受けている。今回の対話では双方の言い分が真っ向から衝突し合意の難しさを示したようである。
6月6日付
『ワシントンポスト』は、「米国、年次会合で過剰鉄鋼、外国企業の扱いに関し中国を叱責」という見出しで、米国のルー財務長官が月曜日中国の過剰な鉄鋼やアルミニウムが世界市場に溢れていることについて中国側を叱責し、また中国の企業が世界で受けているオープンな対応を中国の外国企業にも与えるよう要請したと報じた。米中戦略経済対話は毎年開催されているが、今年は過剰鉄鋼など経済問題や、南シナ海を巡るせめぎ合いで例年以上に緊張したものとなっている。...
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6月6日付
『ワシントンポスト』は、「米国、年次会合で過剰鉄鋼、外国企業の扱いに関し中国を叱責」という見出しで、米国のルー財務長官が月曜日中国の過剰な鉄鋼やアルミニウムが世界市場に溢れていることについて中国側を叱責し、また中国の企業が世界で受けているオープンな対応を中国の外国企業にも与えるよう要請したと報じた。米中戦略経済対話は毎年開催されているが、今年は過剰鉄鋼など経済問題や、南シナ海を巡るせめぎ合いで例年以上に緊張したものとなっている。中国側は今回鉄鋼の設備が大きく増えたのは、リーマンショック後の世界金融危機の際世界景気を支えるために中国政府が多額の財政出動をしたためのものであり、当時はこの政策を全世界が称賛したのに今になって批判するのはおかしいと主張したと報じている。
6月6日付
『ウォールストリートジャーナル』は、「何故米国鉄鋼業界は中国の貿易慣行に熱く怒りを覚えているか」という見出しで、米国大手製鉄会社ニューコープの首脳の言葉を引用して、中国が鉄鋼の過剰問題を解決することに疑問を呈していると伝えている。今回の経済対話で中国側は今後5年間で年産1億から1.5億トンの鉄鋼生産の減産を約束すると繰り返すが、ニューコープ首脳によると2ヶ月前に中国の鉄鋼生産は史上最高を記録しているので、約束だけではなく減産の具体的なスケジュールと確認手段を明示して欲しいと言う。中国が世界貿易機関に加盟した際、15年後に中国を市場経済国と認めることとしたが、その期限が12月に到来する。市場経済国と認められた場合、中国製品に課される関税が引き下げられることになるが、過剰鉄鋼問題に対する中国の対応が変わらない場合、11月の大統領選挙とも絡めて市場経済国への変更に反対する動きが強まる惧れがあると報じている。
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