ロシア生まれの豪州人夫妻が、豪州軍の防衛関連情報にアクセスした容疑で逮捕された。在豪ロシア大使館は即刻、反ロシア運動を煽るものと抗議の声を上げたが、豪州首相はこれを一蹴している。
7月12日付米
『CNNニュース』、英国
『ジ・インディペンデント』紙、7月13日付豪州
『ABCニュース』等は、豪州当局がロシア系豪州人夫婦をスパイ容疑で逮捕するとともに、でっち上げとクレームする在豪州ロシア大使館の抗議を豪州首相が一蹴したと報じている。
豪州防諜機関の豪州保安情報機構(ASIO、1949年創設)によって7月11日に逮捕されたのは、ロシア生まれの豪州人のキラ・コロレフ容疑者(40歳、2016年豪州市民権取得)及び夫のイーゴル・コロレフ容疑者(62歳、2020年市民権取得)である。
共同捜査に当たっていた豪州連邦警察(AFP、1979年設立)によると、前者は2015年に豪州国防省に情報システム・エンジニアとして採用されていたが、2023年に長期休暇を取得してロシアに帰国していた際、ロシア諜報部員らに密かに会っていたという。
また、後者は、前者がロシア滞在中に、前者の国防省内で使用しているPCアカウントに前者の指示で侵入して、防衛関連機密情報を盗み出して前者に送信していたとする。
2018年に制定された「外国の干渉及びスパイ行為防止法」に基づき、容疑者夫婦による機密情報アクセス容疑が認定されれば、最長15年の懲役刑が下される。
更に、当該情報がロシア側に渡っていることが証明されれば、当該夫婦は最長25年の懲役刑に処される可能性もある。
一方、今回の事件を受けて、在豪州ロシア大使館は早速、“豪州市民を疑心暗鬼にさせて、反ロシア運動を煽ろうとしている”とする抗議文をSNSに投稿した。
これに対して、アンソニー・アルバニージー首相(61歳、2022年就任)は7月13日、“ロシアは豪州のみならず世界中でスパイ活動を行っているので、ロシア側の言い分は全く信用できない”とした上で、“本件に干渉するべきではない”と一蹴している。
閉じる