FAOとOECDは、現在から2033年までの農業面に関する報告書で、食糧のロスを農場から消費者に至るまでの過程で、半減することにより農業関連で発生する温室効果ガス発生量を4%削減でき、1.53億人の食糧不足に陥っている人々を無くすことができると結論している。
FAOによれば、人間の食べものとして供される食糧の約1/3が、捨てられて浪費されている。そのうち、果物や野菜が捨てられる食糧の半分を占めている。...
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FAOとOECDは、現在から2033年までの農業面に関する報告書で、食糧のロスを農場から消費者に至るまでの過程で、半減することにより農業関連で発生する温室効果ガス発生量を4%削減でき、1.53億人の食糧不足に陥っている人々を無くすことができると結論している。
FAOによれば、人間の食べものとして供される食糧の約1/3が、捨てられて浪費されている。そのうち、果物や野菜が捨てられる食糧の半分を占めている。理由は、果物や野菜が他の食品に比べて極めて腐りやすいことと保存できる期間が極めて短いことに依る。それらに対して、穀物は捨てられる全食糧の中の23%を占めている。肉類や乳製品の浪費割合は低くなっている。報告書では、この理由として、最近、各世帯で高価な食品の浪費を少なくしようとする傾向があることが起因していると述べている。
なお、食糧生産に必要なエネルギーなど(種子類、肥料、水、エネルギー)も食糧と同様に浪費され、気候温暖化ガス(反すう動物からのメタン、肥料に含まれる窒素酸化物)も食糧浪費分が余分に発生することになるという。
FAOは報告書中で、「食糧の浪費を半減する目標達成には、消費者側と生産者側で根本的な変革を行う必要がある。」と指摘している。開発途上国では、農業従事者が、収穫率の良い、健全な農地の確保に苦慮しているが、他方、発展国では過剰消費がたたって何千トンの食品がゴミとなって捨てられている。
FAOは、食糧の浪費を減少することで発展国内、もしくは国の間での食糧消費の‘不均衡な分配システム’を終わらせる可能性があると主張している。
すなわち、食糧の浪費を少なくすることで世界全体での食糧供給量を実質的に増やすことになり、食糧価格も低減し、収入の少ない国にも食糧が行き渡るようになると指摘している。
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