憲法改正案では、仏海外県のニューカレドニアを含んだ地方選挙での有権者を広げることを目的としている。この改正案は、独立派住民により強く反発されており、ニューカレドニアでは2日続けての暴動が起きている。仏の南太平洋のニューカレドニア海外県警察当局によると、暴動により3人が死亡し、数百人が負傷したという。その中には百人余りの憲兵隊と地方警察の負傷者が含まれている。暴動の最中、130人以上が逮捕され、この中の数十人は告訴されるという。
ニューカレドニアで暴動が起きたのは、1980年代から今までで初めてだという。暴動の原因は、国民議会が有権者の対象を広げるように憲法を改正したことで、これに独立派の住民が強く反対していることにある。
現地の警察当局によると、5月15日になっても治安の悪化は治まらず、独立派グループによる車への放火、商店への略奪、およびインフラ施設、学校などの公共施設への危害も増えているという。
そのため、マクロン大統領は、5月15日水曜日の朝、予定されていたフェカン市での洋上風力発電パークの落成式への参加を急きょキャンセルし、国防・治安理事会を招集して対策を協議した。その結果、マクロン大統領は、午後にはニューカレドニアに対し、‘緊急事態’宣言を行った。
ところで、国民議会上院に続いて、深夜での下院での憲法改正案に対する賛否結果は、賛成が351票、反対が153票となった。憲法改正には、その後上院、下院の全議員がベルサイユ宮殿に集まり、再度賛否が問われ、3/5以上の賛成で議決される。マクロン大統領としては、独立派、保守派の双方の話し合いの重要性を訴え、双方が大筋で議案に同意するまでは、両院総会は開かないと明言した。なお、独立派の見解によると、今回の改正は、地方選挙の有権者の範囲をひろげることになり、地元民のカナック族をこれまで以上にマイナーな有権者層に追いやることになるという。
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