中国は、領有権問題など無視して、必要とあらば他国の海域に侵入して漁をしたり天然資源を掘削したりしている。そして今度は、南シナ海において、太平洋戦争時に沈没した戦艦の残骸を略奪しようとした中国戦がマレーシア当局に拿捕された。この残骸から回収される鉄は、放射性降下物(注1後記)の影響を全く受けていないことから、粒子検出器(注2後記)・ガイガーカウンター・宇宙船用センサー機器等の製造にとって貴重な資材となり、高値で取引されている。
5月30日付米
『UPI通信』、マレーシア
『ザ・スター・オンライン』、31日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙等は、マレーシア当局によって、南シナ海で違法に沈没戦艦の残骸略奪行為をしていた中国船が拿捕されたと報じている。
中国籍の大型ばら積み貨物船“福州(フーチョウ、2012年製造)”が5月28日、マレーシア海事執行庁(MMEA、2004年設立)によって拿捕された。
MMEAの発表によると、同貨物船が南シナ海南西端のマレーシア東岸沖20マイル(約32キロメートル)の領海内に無許可で進入して係留していたために拘束したという。...
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5月30日付米
『UPI通信』、マレーシア
『ザ・スター・オンライン』、31日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙等は、マレーシア当局によって、南シナ海で違法に沈没戦艦の残骸略奪行為をしていた中国船が拿捕されたと報じている。
中国籍の大型ばら積み貨物船“福州(フーチョウ、2012年製造)”が5月28日、マレーシア海事執行庁(MMEA、2004年設立)によって拿捕された。
MMEAの発表によると、同貨物船が南シナ海南西端のマレーシア東岸沖20マイル(約32キロメートル)の領海内に無許可で進入して係留していたために拘束したという。
ところが、警察及び文化遺産保護局による立ち入り検査の結果、太平洋戦争中に沈没した戦艦の残骸を略奪しようとしていたことが判明した。
同船が甲板に引き上げていたのは、1941年の太平洋戦争勃発後間もなく(編注;真珠湾攻撃の3日後に起こったマレー沖海戦)、旧日本軍航空隊の攻撃によって撃沈された英国海軍巡洋戦艦“レパルス(1916年就役)”と“プリンス・オブ・ウェールズ(1941年就役)”の残骸であった。
今回同船が略奪しようとしていたのは、“戦前の鋼”と呼ばれる大量の鉄屑である。
すなわち、1940年代以降の核爆弾や核実験等から発生した放射性降下物の影響を全く受けていない、第二次大戦以前に生産された鉄から造られた船・大砲・兵器・魚雷等の残骸であることから、粒子検出器・ガイガーカウンター・宇宙船用センサー機器等、精密な医療・科学用特殊機器製造に最適とされる代物で高価で取引されている。
なお、MMEAジョホール州支部トップによると、同船には32人の乗組員が乗船していて、内訳は中国人21人、バングラデシュ人10人、マレーシア人1人という。
更に、同船が近海に停泊しているであろう母船まで当該鉄屑を運び、再び同海域に戻ってきて同様行為を行うものと考えられるため、捜査を継続していくとする。
一方、英国国防省報道官は、“沈没船は戦争墓地と考えており、その残骸が英国籍の沈没船であるかどうかは明確に分かる”とした上で、“かかる違法行為は全く看過できず、関係国の当局とも協力して厳しく対応していく”と強調している。
(注1)放射性降下物:核兵器や原子力事故などで生じた放射性物質を含んだ塵で、広域な放射能汚染を引き起こす。一般には死の灰という俗称で知られる。核実験については、米ソを中心として大気中での核実験が1950年代から1963年に部分的核実験禁止条約が締結されるまで行なわれ、その結果として、ウラン・プルトニウムの核分裂で生じた核分裂生成物が地球環境に拡散し、地上に降下して土壌や水環境中に微量に存在することとなっている。
(注2)粒子検出器:原子核壊変によって生じる放射線、宇宙線、または加速器の反応によって生じるさまざまな放射線・高エネルギー粒子を検出・追跡、特定するための装置。
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