岸田首相は過日、「同性婚を認めると社会が変わってしまう」と否定的な考えを示した。しかし、多様性が求められる世界にあって、同性婚(注1後記)を認める国が多く出ていることもあって、改めて批判を浴びている。そうした中、北欧フィンランドでこの程、トランスジェンダー(注2後記)の法的認証条件を緩和する法改正がなされた。
2月1日付
『AP通信』は、「フィンランド、トランスジェンダー認証のための不妊条件を撤廃」と題して、トランスジェンダーの人が法的認証を取得するために課された不妊や去勢条件を撤廃する法改正を行ったと報じている。
フィンランド議会は2月1日、トランスジェンダーの人が法的に性を変更することを容易とする法改正を行うことを決めた。
これまで、トランスジェンダーの人が法的認証を取得するためには、不妊であったり去勢であったりの医学的証明書の提出が義務付けられていた。...
全部読む
2月1日付
『AP通信』は、「フィンランド、トランスジェンダー認証のための不妊条件を撤廃」と題して、トランスジェンダーの人が法的認証を取得するために課された不妊や去勢条件を撤廃する法改正を行ったと報じている。
フィンランド議会は2月1日、トランスジェンダーの人が法的に性を変更することを容易とする法改正を行うことを決めた。
これまで、トランスジェンダーの人が法的認証を取得するためには、不妊であったり去勢であったりの医学的証明書の提出が義務付けられていた。
従来規程では、トランスジェンダーの個人が子供を儲けることを妨げる意図があった。
しかし、同国一院制議会(スウェーデン語のエドゥスクンタと呼称、定数200議席)が、直近数ヵ月の猛烈な議論を経ての採決の結果、113対69票で議決承認したものである。
この法改正の結果、18歳以上の個人が性の変更を行う場合、精神学上の評価や医学上の証明書は求められず、自己宣言で足りることになる。
国際人権活動NGOアムネスティ・インターナショナル(1961年設立、英国本拠)フィンランド支部のマッティ・フィラジャマー顧問は、“今回の法改正で、フィンランドにおけるトランスジェンダーの人々の権利が擁護されて生活環境も改善されることになる”と歓迎する声明を発表した。
同国のサンナ・マリン首相(37歳、2019年就任)は、総選挙を4月に控えているが、それまでの期間においても、与党・社会民主党(中道左派)にとって本件は最優先課題であると強調していた。
なお、スペインは先月、性の変更を自己宣言で済ませられるとする法制定している。
一方、英国政府は、昨年12月にスコットランド議会が制定した同様規程について、否認する決定を行っている。
(注1)同性婚:2022年現在、法的に認めている国は、米・英・仏・独・西・豪・NZ・加・北欧諸国・台湾等33ヵ国。
(注2)トランスジェンダー:一般的に、性自認(こころの性)と身体的性(からだの性)が一致していない人を表す言葉、必ずしも性自認が男性/女性だけでなく、中性や無性と言われるXジェンダーも含まれる。
閉じる