フランス世論研究所(Ifop)が実施した調査が、フランスにおける「ライシテの日」の9日に合わせて発表された。調査によると、公立高校の生徒の半数以上が、学校環境の中で何らかの形で宗教的表現に直面していることが判明した。また、学力底上げを重視している「教育優先地域」に分類された高校の生徒たちには、宗教的教義に対するいかなる形の不敬な態度にも強い抵抗感を持っていることが分かった。
仏
『BFMTV』によると、IFOPは、約1000人の高校生を対象に、学校における宗教の位置づけを評価してもらった。その結果、多くの高校生が、小学校以降の学校教育の中だけでなく、日常生活においても、フランスの共和国としての基本原則の一つである宗教的中立性・無宗教性および信教の自由を表す「ライシテ」に対する挑戦や反対を目撃していることがわかった。調査によると、2人に1人以上の生徒が、学校内で、ある種の宗教的分離主義に直面したことがあると回答した。教育優先地域においては、4人に3人が直面したことがあると回答している。
IFOPの政治・時事部門のディレクターであるフランソワ・クロス氏は、「日々直面していることで、宗教的な表現やアイデンティティが学校で当たり前になってきている」と分析している。例えば、調査対象となった高校生の28%は、特定の女子生徒が、肌を見せてはいけないなどの宗教上の理由で水泳の授業を欠席していることを見たことがあると回答している。また、47%は宗教上の慣習に沿った食事を要求する生徒を見たことがあると回答している。
授業でも、同様の傾向が確認された。ほぼ2人に1人の生徒が、宗教の名の下に教育内容に対し反発する生徒を見たことがあると回答しており、教育優先地域では74%に達した。調査対象となった高校生の33%は道徳の授業で、31%が性教育の授業で、宗教を理由に抗議した生徒を見たことがあると回答している。
とりわけ注目を集めた結果は、一度はこうした抗議を支持したことがあると答えている生徒がいたことである。高校生の4人に1人が、教育優先地域では2人に1人が支持したことがあると回答した。さらには、IFOPが調査した高校生の40%が、共和国の法律よりも自分の宗教のルールの方が重要だと回答した。この数字は、フランスの人口全体では23%である。
フランスの主要な教員組合である「SNPDEN組合」の理事であり副校長のキャロル・ゼルビブ氏は、BFMTVの取材に対し「勇気を持って、ライシテの問題を学校の中心に据えなければならない。私たちは継続してライシテに関して教員たちをトレーニングし、各家庭に対してはライシテが何から保護してくれるのかについて伝え続けなければならないと思う。」と語っている。
仏『ルフィガロ』紙は、Ifopの調査で、多くの生徒が学校生活の中で、同じ宗教の子どもたち同士でかたまる傾向があるということを報告していると伝えている。公立高校の生徒の16%は、食堂で同じ宗教の子どもたちでかたまって食べていることを目撃したことがあると回答している。教育優先地域では、33%だった。また、トイレも宗教によって分けられていると15%が回答し、教育優先地域では30%だった。
また、校外にある教育優先地域となっている高校の方が、このような形の宗教的表現にさらされていることが分かった。教育優先地域の学校に入学した高校生の63%が、学校生活の中でこうした行動を見ていると回答している。また、仲間との握手を拒否されたという報告も、他の学校では15%しかなかったのに対し、教育優先地域では46%に上った。
今回の調査で特に懸念されているのは、高校生の大多数(61%)が、「表現の自由の形を示すために、宗教をからかう漫画を見せる」教師の権利を支持しているが、イスラム教徒の生徒の間では19%と低かった。ほとんどのイスラム教徒の生徒(81%)がこの種の行為に反対しており、4人に1人が、イスラム原理主義者による中学校の教師殺害事件を、完全に悪いとは思わないと回答している。
フランス国立教育機関は9月から全職員を対象に、ライシテを守るための活動に取り組んでもらえるための4年間の研修計画を開始した。
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