イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、8月27日にアメリカのバイデン大統領と会談を行い、中国からの投資について何らかの行動を起こす可能性があるとイスラエル政府高官が語った。
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『エルサレムポスト』紙によると、具体的な行動の内容は明かされなかったものの、外国からの大規模な投資を監督する委員会を、財務省から首相直属の国家安全保障会議に移すことが検討されている可能性があるという。
現在イスラエル政府は、テルアビブ市内を走る路面電車「ライトレール」の一部を建設するための入札も延期している。中国企業が入札に参加したため、外交的に微妙な状態になっているという。...
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『エルサレムポスト』紙によると、具体的な行動の内容は明かされなかったものの、外国からの大規模な投資を監督する委員会を、財務省から首相直属の国家安全保障会議に移すことが検討されている可能性があるという。
現在イスラエル政府は、テルアビブ市内を走る路面電車「ライトレール」の一部を建設するための入札も延期している。中国企業が入札に参加したため、外交的に微妙な状態になっているという。
ワシントンの現政権および前政権は、イスラエルの主要インフラや、人工知能を含むハイテク分野への中国の投資の範囲について懸念を示してきた。イスラエルは、トランプ政権の圧力を受けて外国投資を審査する委員会を設立したものの、この委員会は任意であり、審査する範囲も非常に限られていた。トランプ政権は、イスラエルに対し、中国からの投資に対して、より強固な監視プロセスを確立するよう求めていたという。
近年、懸念されていた投資のひとつが、1日に開港し、上海国際港集団が運営するハイファ湾港である。しかし、ベネット首相のワシントン訪問団の上級外交筋によると、バイデン政権は、中国のハッキングや人権侵害などの行為に対して国際的な同盟国を結集している一方で、ベネット首相との会談の際は、中国について、イスラエルに対して具体的な要求を何もしなかったという。
米ニュースサイト『アクシオス』によると、ベネット首相の側近たちは、ワシントンに行く前に、バイデン大統領の最優先事項と思われる、中国、気候変動、新型コロナウィルスについて話し合う準備をしていた。特に、中国に関しては、首脳会談の2週間前に、CIA長官のウィリアム・バーンズが、中国によるイスラエルへの投資、特にハイテク分野への投資や、大規模なインフラプロジェクトへの関与を懸念していることをベネット首相に伝えていたという。
しかし、会談に出席したイスラエル関係者1名と、話し合われた内容全てについて報告を受けたもう1名のイスラエル政府関係者は、バイデンをはじめ、アントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、中国についてはほんの少し触れただけだったと、語っている。
「今回の会議で、中国の投資問題がほとんど話題に上らなかったことに非常に驚いた。いずれにしても、我々は米国の懸念に非常に敏感であり、認識しており、中国との貿易を強化する必要性と国家の安全保障を維持することの間でバランスをとるつもりだ」と、この会合について説明を受けたイスラエルの高官は述べている。
なお、イスラエルのラピド外相は1日の記者会見で、「中国との関係について米国から具体的な要求は来ていない」、「誰からも何かを変えるよう求められなかった」と述べている。
『エルサレムポスト』によると、在イスラエル米国大使館の広報担当者は、「米国とイスラエルは、外国からの投資によるものを含む、共通の国家安全保障上の利益に対するリスクについての懸念を引き続き話し合っている。個人的な外交上のやり取りの詳細についてコメントは控える。」と述べている。
約1870億円の費用をかけて建設され、上海国際港集団(SIPG)が運営権を持つハイファ湾港は、遅れをとっていた業界でイスラエルに競争力をもたらし、地域の貿易ハブとしてのイスラエルの地位を向上させることが期待されている。イスラエルは、国有の港湾を売却し、民間の埠頭を新設することで、コストを削減し、船舶の荷揚げまでの平均的な待ち時間を短縮することを狙った。イスラエルでは全物資の約99%が海路で出入りしているため、経済成長を維持するためには港の整備を必要としている。また、トランプ政権時代にイスラエルと近隣のアラブ諸国との関係が強化され、イスラエルに新たな貿易機会をもたらす港湾として期待されている。
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