ベトナム最高指導者が推進する反腐敗運動は、中国に劣らず強烈で、政敵の失脚から経済界トップへの容赦ない取り締まりが脈々と続けられている。そしてこの程、同最高指導者のライバル側と政治的なつながりを持っていた不動産王に対して、横領・贈収賄・銀行業務規則違反の罪で死刑判決が下された。
4月11日付
『ロイター通信』は、反腐敗運動が推進されているベトナムで、同国不動産王に対して金融詐欺罪で死刑判決が下されたと報じている。
ベトナムの最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長(79歳、2011年就任)は、中国に引けを取らない強硬な反腐敗運動を推進している。
2022年初頭からは、不動産業界などで摘発が相次いでいる。
特に、不動産開発会社バン・ティン・ファット・グループ(VTP、1992年設立)による大規模金融詐欺犯罪事件では、総勢85人が逮捕・起訴された。...
全部読む
4月11日付
『ロイター通信』は、反腐敗運動が推進されているベトナムで、同国不動産王に対して金融詐欺罪で死刑判決が下されたと報じている。
ベトナムの最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長(79歳、2011年就任)は、中国に引けを取らない強硬な反腐敗運動を推進している。
2022年初頭からは、不動産業界などで摘発が相次いでいる。
特に、不動産開発会社バン・ティン・ファット・グループ(VTP、1992年設立)による大規模金融詐欺犯罪事件では、総勢85人が逮捕・起訴された。
現地日刊紙『タイン・ニエン』報道によると、84人が3年の執行猶予から終身刑までの有罪判決を受けたという。
そしてベトナムの裁判所は4月11日、当該事件の首謀者であるチュオン・ミー・ラン会長(67歳)に対して死刑判決を下した。
同会長の代理人グエン・フイ・ティエプ弁護士は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“横領罪で死刑、贈収賄罪及び銀行業務規則違反罪で各々20年の禁固刑が下された”とした上で、“横領罪及び贈収賄罪容疑に対して無罪を主張しており、当然控訴する”とコメントしている。
捜査当局によると、同会長主導によって、2018年初頭から2022年10月にかけて、VTP主要行のサイゴン合資商業銀行(SCB、1991年設立)から不正に304兆ドン(125億ドル、約1兆9千億円)が引き出されて横領されたという。
国営メディア『VnExpress』は、“被告人の行為は、個人や組織の財産管理権を侵害するだけでなく、SCBを窮地に陥れ、かつ党と国家の指導に対する国民の信頼を損なうものだ”とする陪審員の発言を引用報道した。
なお、ベトナムでは、暴力犯罪のみならず経済犯罪にも死刑が科されている。
人権団体によると、直近で数百人の受刑者が致死性注射で処刑されているという。
閉じる