米国と韓国による史上最大の軍事演習や、米国の強大さを誇示するために空母カールビンソンが半島に向かっていることなどにより半島に緊張が高まる中、火曜日に北朝鮮の最高人民会議が始まった。
4月12日付
『AP通信』配信:
米国が空母艦隊を朝鮮半島沖の水域に派遣する決定をしたことに続くいかなる軍事的な動きに対しても、北朝鮮は毅然として対応することを誓った。「常軌を逸した行動に伴う破局的な結果は、すべて米国が責任を負うべきである。」と外務省のスポークスマンが述べたと国営の“朝鮮中央通信”が報じている。
このコメントは、米国のレックス・ティラーソン国務長官の発言に対して出されたものである。ティラーソン長官は、化学兵器による攻撃に対する報復として、米国がシリアの空軍基地に対しミサイルを撃ち込んだことには、国際規範に外れた行動を取るいかなる国家に対しても同様の行動を取る旨のメッセージが込められている、と述べた。北朝鮮を名指しはしなかったが、そうした意味であることは明白である。
「もし国際的な合意に反した場合、公約を果たせない場合、他国の脅威になる場合には、いずれ対抗措置が取られるだろう。」とティラーソン長官はABCテレビの番組“This Week”で語った。
北朝鮮は常に、毎年行われる米韓軍事演習に対して非常に敏感である。北朝鮮侵攻の訓練ととらえ、核兵器の開発を自衛手段と位置付けて正当化している。非武装地帯の南側から何らかの侵略の兆候があれば、戦争は間近に迫っているという大げさな主張を展開してきた。
「空母の派遣は、米国のDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)への侵略という無謀な行動が、想定シナリオの重大な段階にまで達したことを証明している。」北朝鮮は正式な自国名を引用してコメントした。「もし米国が“先制攻撃”を強く求めて軍事的行動を敢えて選択するのであれば、DPRKは米国が望むいかなる種類の戦争にも進んで立ち向かうであろう。」
ワシントンでは、ホワイトハウスのスポークスマンであるショーン・スパイサー報道官が次のように述べている。「ドナルド・トランプ大統領は、北朝鮮が核ミサイルを保持することは“容認できない”という立場を明確にしている。北朝鮮の核が米国の領土を脅かすことは許されない、いかなる国家、いかなる人民に対してもそうである。」スパイサー報道官は火曜日のニュースのブリーフィングでそのように語った。
トランプ大統領は先週中国の習近平国家主席と、中国の同盟国である北朝鮮に核開発を止めさせることにある「共通の国益」について語った。さらに中国がその件にもっと積極的に取り組んで欲しいと述べた。「トランプ大統領は、習近平氏がこのことに対しもう少し重点を置いて欲しいと考えている。」とスパイサー報道官は言った。それより以前の火曜日にトランプ大統領はまた、米国との貿易についての好条件と引き換えに、北朝鮮への圧力をかけるよう習主席の説得を試みると語っている。
大統領は「もし中国北朝鮮問題を解決すれば、米国との貿易交渉は彼らにとってずっと良い条件となるだろう!と中国の国家主席に説明した。」とツィートしている。さらに2番目のツィートでは、「北朝鮮は自らトラブルを招いている。もし中国が手伝うと決めてくれれば、それは素晴らしいことだ。もしそうでなければ、我々は彼らなしで問題を解決するまでだ! U.S.A.」と書き込んだ。
北朝鮮の議会、すなわち最高人民会議は文字通り政府の最高機関であるが、同国の指導者、金正恩氏が中央席に座り、火曜日に始まった。
会議の期間中、外国のメディアは入れない。国営メディアの最初の報告によれば、昨年発表された直近の経済5ヶ年計画に関する朴奉珠首相のスピーチ等があり、国内問題が議論されたと言う。もう一つの注目すべき議題は、幹部への新規登用等の組織問題である。
他の出席者と同様に、金正恩氏は火曜遅くの北朝鮮のニュースに登場し、投票をする姿を見せている。
今年の会議は大きな祝賀行事の件で始まった。例えば北朝鮮の最初の指導者、「永遠の主席」であり、金正恩氏の祖父である 金日成氏の105回目の生誕記念日を祝う大規模な軍事パレードと花火等である。4月15日の記念日~「太陽節」として知られているが~の詳細は公式には決定していないが、ピョンヤンの住民は、市の広場や公園で、この大規模イベントの練習を毎日入念に行っている。
北朝鮮の議会はしばしば同じような形でさっさと解散する。というのもそれは政策や法律を策定するというよりも、承認する性質のものであるからだ。しかしその役割は、国営メディアによって同国内に示されるうわべの姿や大仕掛けなショーというより、さらにもう少し複雑である。
一つは本会議の実施の規則性である。通常は年に1回か2回であるが、それ自体が国家の安定度合を示すものである。
「最高人民会議の招集は、同国が崩壊しているといういかなる分析や兆候を完全に排除する。もし最高人民会議が始められなければ、それはDPRKの上層部に根本的な問題があることを示している。」と北朝鮮リーダーシップ・ウォッチというサイトの編集者、マイケル・マッデンは語った。
「もし(統治している)朝鮮労働党や政治風土に問題が存在すれば、ピョンヤンにあんなに多くの人を一時期に招集しないだろう。」とマッデン氏は言った。
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フィリピンのドゥテルテ大統領は就任以来最初の公式訪問国として10月18日から21日まで中国を訪問する。ドゥテルテ大統領は就任以来同国の麻薬犯罪撲滅に取り組んでいるが、そのやり方が非人道的であるとして米国オバマ大統領の批判を浴びたこともあり、アキノ前大統領時代に縮まった対米関係に距離を置こうとしている。逆に前大統領時代に南シナ海の領有権で国際仲裁裁判所に提訴までして争った中国との関係は急速に距離を狭めつつある。その中での中国訪問であり同大統領が習近平主席との会談でどのような対応をするかについて世界が注視している。
10月17日付
『ニューヨークタイムズ』は、「中国でロドリゴ・ドゥテルテ大統領とフィリピンは米国離れに踏み出す可能性あり」という見出しで、米国のアジアでの緊密な同盟国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国の軍事的影響力を減らし中国との緊密な関係を築きたいと語ったと報じた。但し大統領は中国が最も望むところである、米軍の同国の五つの基地使用権を認めた協定の破棄までは触れていない。大統領が対米、対中関係をどこまで変えるかは、今回の中国訪問での会談結果による。若し中国が米比関係を薄めることに成功すれば、中国がアジアで進めてきた米国との同盟関係の弱体化の勝利であり、他の諸国にも大きく影響するであろうと専門家は見る。アジア諸国は中国の軍事的脅威を感じる一方で、経済的な関係強化が重要であると見ている。
ドゥテルテ大統領は、中国がマニラ・ミンダナオ間の鉄道建設へ協力することを望んでおり、また大統領に同行した財界人は中国が南シナ海の紛争以来課しているフィリピン産果物の輸入禁止を解除することを期待している。大統領は中国との関係改善のためフィリピン人で米ABCテレビの北京支局長を勤めたロマナ氏を駐北京大使に任命した。同氏は米国との同盟関係は続くと思うが、それは反中国ということではなくこれからは中国と様々な形の対話を進めて行くと述べたと報じている。
10月18日付
『チャイナデイリー』は、「ドゥテルテ大統領訪問は遅れていた中比関係改善を示す」という見出しで、長年の疎遠な関係の後、対比関係は不信から信頼へと変わり、ドゥテルテ大統領は火曜日雪解けのため中国を訪問すると報じた。アキノ前大統領が南シナ海の紛争を仲裁機関に提訴するという茶番劇で中比関係は最悪の状態になったが、ドゥテルテ大統領は関係改善を重視しており、中国を就任以来最初の訪問国とした。同大統領は領有権問題を二国間の話し合いで解決したいと言っており中国の主張と符合する。今回の訪問は大統領の真意を確認するリトマス試験紙であり、関係改善すれば政治、外交はもとより経済関係改善にも及ぶことになるだろうと報じている。
10月19日付フィリピンの
『マニラタイムズ』は、「フィリピン人は中国よりも米国を信頼-世論調査」という見出しで、フィリピン人はドゥテルテ大統領を信頼しているが、大統領の反米親中路線までも支持していないことが世論調査で明らかとなったと報じた。世論調査機関ソーシャル・ウェザー・ステーションズが同国の1,200人に対して行った世論調査の結果、中国を信頼している人の比率は22%で、信頼していない人の比率55%を下回った。一方米国を信頼している人の比率は76%であり、信頼していない人の比率11%を大きく上回っていると報じている。
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