米政府は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)国務委員長を、人権侵害問題を名目として制裁対象に指定した。経済的制裁により米国領内の資産凍結や米国との経済取引が制限される。米国が人権侵害理由で人物に制裁を措置を出すのは初めて。金委員長以外にも、強制労働施設や諜報機関を管轄する政府機関及び高官らもブラックリスト入りしている。
この米国の制裁に対し、北は強固な声明で反応し、米国に制裁措置の即時撤回を要求、さもなければ残る外交手段もすべて断ち切るとしており両国関係の悪化が懸念される。
7月7日付米
『VOA』は、「北朝鮮:米の制裁は宣戦布告」との見出しで次のように報じている。
・水曜米国は、金正恩氏他10名及び5名の省や省長を人権侵害を理由に初めてブラックリストに指定。米財務省アダム・ズービン テロ・金融犯罪担当次官は「キム政権下で国民は裁判なしの死刑、強制労働、虐待等の残虐行為と苦痛を負わされている」と声明。
・米国による制裁を北朝鮮の金朝鮮労働党委員長は「宣戦布告」同等だとし、この「過去最高の敵意ある行動」に対して報復的措置をとると宣言し、制裁の撤回を要求、撤回しなければあらゆる外交手段を絶つと警告。...
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7月7日付米
『VOA』は、「北朝鮮:米の制裁は宣戦布告」との見出しで次のように報じている。
・水曜米国は、金正恩氏他10名及び5名の省や省長を人権侵害を理由に初めてブラックリストに指定。米財務省アダム・ズービン テロ・金融犯罪担当次官は「キム政権下で国民は裁判なしの死刑、強制労働、虐待等の残虐行為と苦痛を負わされている」と声明。
・米国による制裁を北朝鮮の金朝鮮労働党委員長は「宣戦布告」同等だとし、この「過去最高の敵意ある行動」に対して報復的措置をとると宣言し、制裁の撤回を要求、撤回しなければあらゆる外交手段を絶つと警告。
・韓国は米の制裁を「世界一の圧政下」にある北の人権侵害に光にあてるものとして好意的に受け止めている。
同日付米
『USAトゥディ』は「北朝鮮:人権理由の米制裁は宣戦布告」との見出しで次のように報道している。
・米国務省の報告書によると、北の政治犯やその親族8万~12万人を収容する複数の政治犯収容所では虐待が横行。強制労働制度も慣行されており、表現、宗教、移動の自由が制限されている。制裁によりキム氏らの資産や経済活動に制限が設けられる。
7月8日付韓国
『KBS』は次の様に報道している。
・北朝鮮外務省は木曜夜、米は「一線を超えた」、人権侵害名目の制裁により最高主導者を侮辱した、両国の問題は法で解決される等と声明。制裁は宣戦布告に等しく、北最高責任者の威厳を傷つける最悪の事態に達した。最高級の措置で米の敵意に対抗するとの構えを示した。
・また、米国務省による人権状況に関する報告書は捏造されたもので、制裁決定を下すのにふさわしくないと主張。制裁は米が北の急速な核開発技術にあせっている現れだと述べている。
・ジョン・ケリー米国務長官は、北は今後の出方を見極めるべきとし、北の抑止力としての韓国の役割も強調。
7月7日付中国
『チャイナデイリー』(AP通信)は「米は北の金正恩他を制裁」との見出しで以下の様に報道している。
・北朝鮮に核開発を理由に既に重い制裁が課せられているが、キム氏本人に制裁が課せられたのは初。北高官も人権侵害関連でブラックリスト入り。米当局ズービン氏は制裁を「抑止のための決意」と表現した。
・政治犯収容所を管轄する国家保安省の高官らと、警察署、尋問所、労働収容所を運営する人民保安部をブラックリストに認定。人民保安部のチェプルトニウム氏、外国でのスパイ活動の嫌疑のある調査局局長のチェ・チャンポン氏、韓国への侵入活動を行ったとされている偵察局のチョイル氏。
・1月の北の核実験後、2月にオバマ政権は議会の要請もあり、強硬な経済的制裁案を可決。
同日付中国
『人民日報』は次の様に報道している。
・制裁措置により、当該者の米国管轄下の資産は凍結。当該者と米国市民間の商取引は禁止。米財務省はこれまで既に北朝鮮の4個人、3機関を制裁措置としている。
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米バラク・オバマ米大統領は今週ベトナムと日本を歴訪のためアジア入りしており、大統領就任後初めてベトナムを公式訪問中。アメリカ大統領としては1995年国交樹立後2000年ビル・クリントン元大統領、2006年ジョージ・W・ブッシュ前大統領に続き3人目。昨日ハノイに到着、今日午後、首相とグエン・フー・チョン共産党書記長と会談し、経済、安全保障、地域及び国際問題など幅広くベトナムとの協力強化を話し合う予定である。今回のベトナム訪問では中国の南シナ海進出をけん制する米国による武器輸出禁止解除が争点となるとされている。オバマ大統領は25日には日本に向けて出発、26日と27日、主要国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)に出席、G7伊勢志摩サミットで日米首脳会談を行い、サミット終了後は米世論の賛否が分かれる広島を訪問する予定。
5月22日付
『ロイター通信』は「オバマ氏武器禁輸解除めぐりベトナム訪問」との見出しで以下のように報道している。
・今週オバマ大統領はベトナム戦争後100年を迎え世論が2分する中、ベトナムを訪問。中国へのけん制しつつ関係を強める目的。1か国に3日間の訪問はまれで、この訪問を重視、戦後処理の一つ武器輸出禁止の解除が議題。中国は南シナ海問題で緊張が高まる中米国の動きに不快感を示すと予測される。
・情報筋によるとベトナム上層部側近は、ベトナムの中国抑制努力への目に見える米国からの支援が必要として、禁輸解除を称賛。元アジア顧問エヴァン・メディロス氏はこの訪問はアジア地域での米国の行動の重要なシグナルを中国に示し、中国の行動についての懸念が増す結果となるだろうとする。
5月23日付越
『ベトナムニュース』は、「オバマ氏ベトナムに到着」との見出しで以下のように報道している。
・オバマ氏はハノイとホーチミン市を訪問予定。米大統領として、2000年のビルクリントン、2006年のジョージWブッシュに続き3人目の訪問。
・当紙のインタビューでファム・クアン・ビン在米大使は、「国交樹立から20年を迎え、オバマ氏の訪問は、ベトナムと米国の関係を深める機会となる」と述べた。
・両国間の貿易額は、1995年の20倍で450億ドル。オバマ政権下、包括的パートナーシップ協定を結び、共産党グエン・フー・チョン書記長の歴史的訪米の2015年、共同ビジョン声明。米国との関係は政治、国家安全保障、科学技術、教育、市民交流に至るまで発展。
・ビン在米大使はオバマ氏以降も米との関係強化を期待。貿易促進、科学技術、教育面での協力関係も強化したい意向。TPPが施行されれば、貿易は質量共に増加し年間2割増しの予測。
・オバマ氏訪問では、地球温暖化問題での共同事業、海洋防衛などが主なテーマとなる。両国の信頼関係回復のため最後の障壁となる破壊兵器のベトナムへの輸入禁止の解除をめぐっては、ビン大使は、早急に進めるべきとする。東シナ海問題に関しては、国際法、1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)(*注)に則った平和と安定を維持を望むとした。
(*注)領海、公海、大陸棚及び、漁業や生物資源の保存に関する海洋法を総括する条約。
5月22日付米
『USAトゥディ』は、「ベトナムはオバマ氏訪問で世界にアピール」との見出しで以下のように報道している。
・ベトナムの喧騒中歓迎されたオバマ大統領だが、人々は大統領を一目見ようと集まったというより、急速な発展を遂げるベトナムを世界に見せたいと思っている。
・建設ラッシュの高層マンションが立ち並び、地下鉄が整備され、ベトナム戦争終結後41年を迎えオバマ氏の訪問は大統領としても3人目のためそれほど騒ぎ立てるほどの事でなくなった。
・人権ウォッチ(米本部のNGO)によると、一党支配で言論、報道、宗教の自由が規制された同国では、多くの人権活動家やブロガーが襲撃や拘束されている。
・オバマ氏訪問で安全保障問題が話し合われるが、米兵が使用した地雷や化学兵器等の戦争の傷跡に触れる事を期待する市民もいる。被害者支援団体代表の女性は、ダイオキシンの影響をその目で見て欲しいという。両国に戦火の傷跡は残るがベトナムの都市部の人は歴史の傷を出来る限り遠ざけておきたいと考えている。
5月23日付米
『CNN』は、「オバマ氏10回目のアジア訪問に注力」との見出しで以下のように報道している。
・オバマ氏の10回目となるアジア訪問は、アメリカの外交を中東、欧州からアジアに転換させる主張を反映するもの。ホワイトハウスの上官はテロが日本でのG7会議の焦点となるが、航空機事故についても議論が及ぶだろうとする。
・オバマ氏最終訪問地、原爆投下地広島は歴史的訪問となる。オバマ氏のメッセージは謝罪というものでなく、幅広く戦争が無実の市民をいかに傷つけたかに焦点をおく。しかし同氏自身が現地に行くということは、原爆投下決定に関して怒りが残る日本に和解のメッセージを送るだろう。
・5年半捕虜だった元ベトナム兵のジョンマケイン上院議員でも、ベトナムへの武器輸出禁止解除を支持。オバマ氏側近は禁輸解除は未定だが、検討中であるとする。これまで人権的見地で解除は見送られてきた経緯がある。
・政治改革の遅れと反対派拘束などの問題が山積するが、中国の海洋進出で米国はベトナムとの協力を重視。ベトナムの対中の慎重な動きを米国は尊重する意向。
・ベトナムと日本で大統領選で滞っているTPP促進も視野に。各国では遅延について釈明し、トランプ氏が選挙戦で打ち出している外交施策への質問を浴びることだろう。
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