9月21日付
『ABCニュース』は、フォルクスワーゲン社(VW)がソフトウエアを使って7年間も排気ガス規制テストを誤魔化していたと報じた。それによると、ある環境保護団体が、独自にVW車のテストを行った結果、通常走行で環境保護庁(EPA)が定める排ガス基準の40倍に達したというものであり、EPAは不正があったとして事実を公表した。
米国のディーゼル排ガス規制は主に窒素酸化物を対象としており、欧州よりも厳しい。...
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9月21日付
『ABCニュース』は、フォルクスワーゲン社(VW)がソフトウエアを使って7年間も排気ガス規制テストを誤魔化していたと報じた。それによると、ある環境保護団体が、独自にVW車のテストを行った結果、通常走行で環境保護庁(EPA)が定める排ガス基準の40倍に達したというものであり、EPAは不正があったとして事実を公表した。
米国のディーゼル排ガス規制は主に窒素酸化物を対象としており、欧州よりも厳しい。窒素酸化物を除去するには別の装置が必要であるが、VWは密かに、ダイナモメーターという装置でテストする時にはそれを感知し、誰にも気づかれずエンジンをクリーンモードにするソフトウエアを取り付けていた。排ガステストはほとんどがダイナモメーターで行われるため、環境保護団体がウエストバージニア大学に委託して車のトランクに取り付ける装置で試験するまで、7年間も発覚しなかった。
VWは2016年モデルのディーゼル車の販売を中止するとともに、2009年以降に製造した約50万台の該当車種をリコールしなければならない。
9月21日付
『ロサンゼルスタイムズ』紙は、あるアナリストの試算によると、排ガス試験を誤魔化したVWのディーゼル車には5千百万ドルのエコカー補助金が支払われていると報じている。EPAは車種毎の金額は把握していないが、VWの排気ガス規制法違反への課徴金を決める際には、支払われた補助金も考慮すべきとの声が上がっている。
VWのマーチン・ウインターコーンCEOは、不正ソフトウエアの搭載を認め、陳謝した。リッチモンド大学法学部のカール・トビアス教授は「本件はトップダウンで有名な経営体質の会社で、誰かがコンピュータプログラムを作り、誰かが承認したものである。司法省は間違いなく会社のみならず個人の刑事事件として立件するだろう」と述べている。VWは該当全車種をリコールする費用が発生する上に、総額180億ドル又は一台につき3万7千5百ドルの罰金が課される可能性がある。何千台もの新車が販売停止となり、VWは排気システムの変更を検討しているが、車の価格は急激に値下がりしている。VWには今後、消費者に対する詐欺行為及び“毀損価値”などについての民事集団訴訟が予想される。
9月21日付
『ワシントンポスト』紙は、“VWディーゼル所有者が知っておくべきこと”と題する記事を掲載した。概要は下記のとおり。
●調査対象車種は?
2009年以降のビートル、ゴルフ、ジェッタ、アウディA3のディーゼル車(パサートについては調査中)合計48万2千台
●何をすべきか?
現時点では何もすることはないが、いずれVWがリコールを実施するので、車を所定の店に持ち込む必要がある。
●問題の深刻さは?
EPAは、地上レベルのオゾン汚染を引き起こす窒素酸化物の排出量が法定の10~40倍多いと報告している。
●車は売却できるか?
EPAは、VWは該当の新車を販売することはできないが、個人が中古車として売却することは適法であると判断している。
●今後の注目点は?
VWがどのような方法で排ガスを減らすのか、それが車の性能を低下させないかという点が大きな問題となってくる。
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CBSニュースは、7月8日、僅か一週間のうちに中国株式市場が暴落したことを報じている。CBS特派員はこの暴落は国内問題が原因であるが、影響はアジア市場に波及しそうだと語る。上海株式市場のベンチマークは6月中旬のピークから30%下落したが、それ以前の大幅な値上りがあるため、この1年間ではまだ70%上昇している。株式市場の約80%は個人投資家であり、今回の暴落では主に経験の乏しい個人投資家が損失を被っている。中国政府は株式投資を奨励してきたが、今や混乱を収拾しようとあらゆる手段を講じている。
7月9日付
『ロイター通信』は、中国の証券規制当局が、今後6カ月間、5%以上を保有する株主に対し売却を禁止するという極端な措置を決めたと報じている。この発表は、市場の売りが過熱して、急遽、多くの会社が自社株の売買を停止した結果、投資家がパニック状態に陥った状況下で行われた。この措置は海外投資家にも適用され、違反する者は厳しく処罰するという。500社以上の会社が上海及び深圳の株式市場で売買停止を発表し、合計約1300社(市場の凡そ45%、2.4兆ドルの株式)が市場の混乱からの回避を図っている。
一方、中国の株式市場の暴落は、成長鈍化で苦労している習近平首相にとって頭痛の種である。政府は、2500億元(403億ドル)を投じ経済活性化と大型公共施設の建設をおこなうと発表した。また、政府はブローカー取引を裏で操り、中央銀行が資金の流動性を保証するファイナンス会社を通じ、数十億ドルの株を買うと約束している。こうした、北京政府の市場への介入は、経済改革の柱となるべき市場の自由化に取組む姿勢について、疑問を生じさせる。
7月9日付
『ロサンゼルスタイムズ』紙は、「中国株式市場の暴落はただでさえ停滞しているグローバル経済のリスクを高め、北京政府の永年の約束である金融システムの近代化を逆行させる可能性がある」と報じている。また、急激な株価の下落を止めるためあらゆる手段を講じているが、投資家のパニックを鎮めることができていないとも指摘する。北京政府はこれまで絶大な権限による命令と統制で仕切ってきたが、市場経済を手なずけることは容易ではない。中国株式市場の特徴として、中国政府が「見えなくはない手」で誘導しているにもかかわらず、これほどの株価が乱高下する。一方で、政府の介入は代償を伴う。中国投資家の間に浸透している、おかしくなれば政府が助けてくれるという考えを裏づけかねない。「中国の金融システムの最大の問題点は、邪道な政府の保証・モラルハザードによって、投資家がリスクに鈍感になってしまうことである」との指摘もある。米国や他の先進諸国が支援する中国の金融市場改革が、まだ未成熟な株式市場での最近の動きによって、逆行していくことが懸念される。
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