フランス政府、人工知能に関する22億ユーロ(約2881億円)の計画を発表(2021/11/09)
フランスのマクロン大統領が人工知能に関する初の国家戦略を発表してから4年が経過し、まもなく終了することを受けて、人材育成や未来の技術の開発に20億ユーロ(約2619億円)以上が投資されるなどの新たな国家計画が発表された。
フランスのメディア
『BFMTV』と
『レ・ニュメリック』によると、フランス政府は8日に、フランスを「人工知能の一流国家」にするための22億ユーロの計画を発表した。この計画では、15億ユーロ(約1965億円)の公的資金が投入され、残りは民間企業が出資する。これは、マクロン大統領が人工知能の国家戦略の一環として2018年に発表した15億ユーロの計画を引き継ぐものである。
デジタル移行大臣のセドリック・オ氏は、「フランスを人工知能の世界地図に載せる」という第一段階のミッションが成功したとすれば、今後2025年までの間に、2つの主要な要素に焦点を当てていくと述べている。...
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フランスのメディア
『BFMTV』と
『レ・ニュメリック』によると、フランス政府は8日に、フランスを「人工知能の一流国家」にするための22億ユーロの計画を発表した。この計画では、15億ユーロ(約1965億円)の公的資金が投入され、残りは民間企業が出資する。これは、マクロン大統領が人工知能の国家戦略の一環として2018年に発表した15億ユーロの計画を引き継ぐものである。
デジタル移行大臣のセドリック・オ氏は、「フランスを人工知能の世界地図に載せる」という第一段階のミッションが成功したとすれば、今後2025年までの間に、2つの主要な要素に焦点を当てていくと述べている。
まず、「教育と人材育成に投資」していく。7億ユーロ(約916億円)が教育に充てられ、この分野の専門学校や学士課程の学生を少なくとも2千人、修士課程の学生を1500人、博士課程の学生を200人増やすことを目標としている。
デジタル移行大臣は、「人工知能の戦い、そしてテクノロジー全般の戦いは、人材の戦いである。」として、「戦い」は何よりも、中国や米国だけでなく、英国、ドイツ、スイスなど、同じくAI投資を加速している国々との戦いであるとして、「私たちがより多くの才能を持つことができれば、最終的には私たちが勝つだろう」と述べている。
フランス政府はまた、より多くの国際的なAI専門家を誘致するために、その魅力を高めたいと考えている。AI技術の具体的な利用法を開発するために、「米国のように」研究と企業間を「行き来できる仕組み」の確立を支援していく。特に自動車、航空、エネルギー産業の各分野において人工知能のプロジェクトや実証実験に資金を提供していくという。
なお、セドリック・オ大臣と高等教育・研究・イノベーション大臣のフレデリック・ヴィダル氏は、保護や規制に振り回されがちなヨーロッパとフランスにおいて、科学とイノベーションを守る必要があると訴えている。セドリック・オ大臣は、「わが国、そしてヨーロッパ全体が、規制の問題について議論を重ねなければならないことは明らかだ。リスクの問題にのみ反応する国は、壁にぶつかり、衰退の備えをしている」と述べている。
フランスはこれまで、国内での研究センターの設立、ユニコーン6社を含む500社以上のAIを扱うスタートアップ企業を誕生させている。また、学際的な人工知能研究所のネットワークを開発し、AI分野の優秀な教授を支援し、博士課程プログラムへの資金提供や公的な研究用コンピューティング能力への投資などを行ってきた。セドリック・オ大臣は、「ネットワーク基盤は整ったが、それだけではもはや十分ではない 」と述べている。
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イタリア、サイバー攻撃によりワクチン予約システムが麻痺(2021/08/04)
イタリアの首都ローマのあるラツィオ州のITシステムが、8月1日からハッカー攻撃を受け、コロナワクチン接種の予約サイトとヘルスパスを発行するサイトへのアクセスが出来なくなった。
仏
『レゼコー』によると、8月1日以降、イタリア当局は「深刻かつ重大なサイバーテロ攻撃」を受けていると発表した。ローマ地域のITサービス、特にヘルスパスの発行や予防接種枠の予約サービスが麻痺している。ただし、サイバー攻撃が始まる前までに予約が済んでいた8月13日までの予約分は予定通り接種が可能だという。
2019年から2020年にかけてのパンデミックの最中、イタリアの行政インフラへのサイバー攻撃は246%と爆発的に増加した。...
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仏
『レゼコー』によると、8月1日以降、イタリア当局は「深刻かつ重大なサイバーテロ攻撃」を受けていると発表した。ローマ地域のITサービス、特にヘルスパスの発行や予防接種枠の予約サービスが麻痺している。ただし、サイバー攻撃が始まる前までに予約が済んでいた8月13日までの予約分は予定通り接種が可能だという。
2019年から2020年にかけてのパンデミックの最中、イタリアの行政インフラへのサイバー攻撃は246%と爆発的に増加した。ラツィオ州当局は、この攻撃の影響を受けた何百万人もの人々の医療データはハッキングされていないことを発表した。仏ニュースサイト『レ・ニュメリック』によると、ラツィオ州のツイッターアカウントは3日、予約サービスは72時間以内に復旧すると明記し、「医療データなど、攻撃されなかったサービスのデータはすべて隔離され、特別なクラウドで保護されている」という。
しかし『レゼコー』は、今回の事故は、サイバー犯罪に対するイタリアの脆弱性を改めて浮き彫りにしたと伝えている。ここ数ヶ月の間に、特に繊維、精密工学、食品加工、保険などの分野で、イタリアの複数の企業がハッカーの被害に遭っている。昨年も、カンパリ、エネル、ルックスオティカ、レオナルドといったイタリア経済の覇者たちが標的となった。IBMの最新レポートによると、イタリア企業がサイバー攻撃を受けた場合の平均コストは319万ドル(約3億5千万円)から361万ドル(約3億9千万円)へと13.5%増えている。企業へのサイバー攻撃による年間コストは70億ユーロ(約9千億円)にのぼるという。
6月中旬、技術革新・デジタル移行担当大臣のヴィットリオ・コラオ氏は、「ハッカー対策シールド」の必要性を認めた。「政権の1万1千台のサーバーのうち95%が老朽化している。450万の中小企業の84%がサイバー攻撃に対応できない」と述べた。その対応策としてサイバーセキュリティに特化した政府機関の設立が発表された。この「国家戦略センター」の設立は、欧州復興計画から9億ユーロ(約1100億円)を得て、2022年半ばまでにオープンできるよう加速されるという。180の公的機関の最も機密性の高いデータが優先的に移行される予定だ。
『フランスアンフォ』によると、ラツィオ州のジンガレッチ首長は、今回の攻撃が「他の国から来たもの」であることを明らかにしたが、どの国から来たのかは特定せず、「その出所はわからない」と述べた。また、地域のコンピュータシステムのブロックを解除するための身代金要求は受けていないと断言した。
今回の「ランサムウェア」の背後にいる人物を特定するため、ローマ検察庁が捜査を開始した。
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