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ラジャンインド準備銀行総裁退任へ(2016/06/20)

インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁は6月18日に、3年の任期が到来する9月で退任し研究者の世界に戻ると発表した。インド準備銀行の総裁はこれまで例外なく2期目まで勤めて来ており、ラジャン総裁も再任されるとみられていたので、退任の発表は驚きをもって迎えられた。ラジャン総裁はシカゴ大学教授から国際通貨基金(IMF)の調査局長に転じ、その間2008年の世界金融危機を予言したことで知られる。2013年にインドの当時の政権に任命されて準備銀行総裁に就任してからは、高金利政策により二ケタのインフレを終息させ、また通貨ルピーの安定化を実現したが、その後現モディ政権の経済成長政策に合せて金利を引き下げ7%台の成長路線に乗せており、特に海外の市場関係者からは絶大な信頼を得ていた。

退任の発表は海外では失望を生んでいるが、インド国内に目を転じてみると退任を当然視する声も多いことがわかる。ヒンズー教至上主義寄りの現モディ政権からみるとラジャン総裁の金融政策はタカ派過ぎて、本来ならもっと金利を下げて景気をよくすべきであると批判が強い。ここまではどこの国にもある中央銀行と政府の間の対立であるが、ヒンズー至上主義を掲げる与党インド人民党首脳は何事も欧米的合理主義を貫く同総裁は西洋かぶれでインドには向いていないと批判する。更に同総裁は金融以外のことにも歯に衣を着せずに発言したようで、「(インドについて)盲人の国では、片目でも王さまになれる」という発言などは盲人への差別発言に止まらず現政権批判と取られても仕方のないものであった。現代においてどこの国でも中央銀行の総裁は最も難しい仕事であることは間違いないが、次のインド準備銀行総裁の下インド経済が高インフレ、ルピー安に後戻りしないことを望むのみである。

6月19日付インドの『インディアン・エクスプレス』は、「不信が増高、インド人民党はラジャン氏の米国履歴をマイナス評価」という見出しで、ラジャン総裁と政権内部の各層との間で不信感が次第に高まっていたと退任発表の背景を報じている。人民党の首脳は景気に弾みがつかないことについて準備銀行の政策を批判していた他、準備銀行と財務省との協議のなかで総裁を内閣の大臣と同等に扱うようラジャン総裁より要求があったが、これを政府内では身の程をわきまえぬものと評価されたようだ。...
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