良識ある米メディア;“無用な非常事態宣言”を出したトランプ大統領こそ“非常事態宣言の対象”と酷評【米メディア】
ドナルド・トランプ大統領は、メキシコ国境の壁建設費を捻出させるため、非常事態宣言を発令して議会承認を経ずに壁建設を進めさせようとしている。これに対して、カリフォルニア州など全米16州が、大統領による憲法違反、三権分立違反等を理由として、同宣言による連邦・州予算の盗用を阻止しようと連邦地裁に提訴した。この動きについて、良識あると思われるメディア(権力の行き過ぎを牽制するという姿勢を持つメディア)も、非常事態宣言を出した同大統領こそ、米国にとっての非常事態の対象だと酷評している。
2月24日付
『バイパルチザン・レポート(超党派)』オンラインニュース:「
『ザ・ニューヨーカー』誌、反トランプを表す秀逸な風刺画を掲載」
ドナルド・トランプ大統領は目下、自身が2月15日に発令した、メキシコ国境壁建設費用捻出のための非常事態宣言に関し、多くの州から提訴を受けている。
この事態を反映して、この程『ザ・ニューヨーカー』誌が、3月4日号の表紙に使われるトランプ大統領の風刺画を、ひと足早くリリースした。...
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2月24日付
『バイパルチザン・レポート(超党派)』オンラインニュース:「
『ザ・ニューヨーカー』誌、反トランプを表す秀逸な風刺画を掲載」
ドナルド・トランプ大統領は目下、自身が2月15日に発令した、メキシコ国境壁建設費用捻出のための非常事態宣言に関し、多くの州から提訴を受けている。
この事態を反映して、この程『ザ・ニューヨーカー』誌が、3月4日号の表紙に使われるトランプ大統領の風刺画を、ひと足早くリリースした。
それによると、嵐に襲われたホワイトハウス屋上で、トランプ大統領が“壁を完成させろ”と書いたプラカードを持って、強風に飛ばされそうになりながら立っている姿が描かれている。
同風刺画の作者であるバリー・ブリット氏(60歳の風刺画家・イラストレーター)は、この風刺画によって、米国民にとっての“本当の非常事態”は、無能で、自己陶酔的で、しかも嘘つきの野蛮人を米国大統領に仰いでいることだということを訴えようとしている。
ブリット氏は、『ザ・ニューヨーカー』誌のイラスト担当編集主任のフランソワ・マウリィ氏(63歳)のインタビューに答えて、同大統領は自身の精力を偽の非常事態に注いでいるばかりで、例えば気候変動のような将来実際に起こるかも知れない非常事態について否定するのは看過できない、とコメントしている。
昨年11月、米環境保護庁は、気候変動に関わる独自の調査・研究結果を発表したが、国連が警鐘を鳴らしている壊滅的な気候変動事象を裏付けるものとなっている。
しかし、トランプ大統領は、依然同調査報告が信じられないとして突っぱねている。
すなわち、トランプ大統領が本気になって取り組むべき非常事態は、気候変動、銃規制、医療保険制度等であるにも拘らず、同大統領はこれらの問題を、まるで過去のガラクタのように全く無視していると言わざるを得ない。
『ニューヨーク・タイムズ』紙も社説で、議会を通さずにメキシコ国境壁建設費用を支出しようとするトランプ大統領こそ、米国家が曝されている非常事態ではないのか、と論評している。
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米連邦地裁;オバマ政権下で制定された学資ローン利用者救済法施行延期を決めたトランプ政権に“No”を突き付け【米・英国メディア】
既報どおり、中間選挙を2ヵ月後に控えて、現職のトランプ大統領はもとより、自身の政策をことごとく否定されたオバマ前大統領も、選挙前哨戦で火花を散らしている。そうした中、オバマ政権下で制定された「学資ローン返済に対する利用者保護法」(BDR、注後記)の施行延期を決定した、トランプ政権の教育省に対して、米連邦ワシントン州西部地裁は“No”を突き付けた。
9月13日付米
『バイパルチザン・レポート(超党派メディア)』:「連邦地裁、オバマ政権下の法律施行を覆そうとしたトランプ政権に厳しい判決を下し、オバマ氏側が大勝利」
米連邦ワシントン州西部地裁のランドルフ・モス裁判官は9月13日、昨年6月にベッツィー・デボス教育相が発表した、BDR施行延期の決定は不合理だとの判決を下した。
同教育相は昨年、オバマ政権下で制定され、7月1日付で施行予定であったBDRについて、係争中の訴訟があること等を理由に施行を延期することとし、BDRそのものを白紙に戻して、新たに規則策定委員会を設立する意向であると発表していた。...
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9月13日付米
『バイパルチザン・レポート(超党派メディア)』:「連邦地裁、オバマ政権下の法律施行を覆そうとしたトランプ政権に厳しい判決を下し、オバマ氏側が大勝利」
米連邦ワシントン州西部地裁のランドルフ・モス裁判官は9月13日、昨年6月にベッツィー・デボス教育相が発表した、BDR施行延期の決定は不合理だとの判決を下した。
同教育相は昨年、オバマ政権下で制定され、7月1日付で施行予定であったBDRについて、係争中の訴訟があること等を理由に施行を延期することとし、BDRそのものを白紙に戻して、新たに規則策定委員会を設立する意向であると発表していた。
これに対して、19の州及びワシントン特別区が、教育相の決定は不当だとして提訴していた。
そもそも、何校かの営利目的の大学は、学生に対して教育の保証や卒業証書の授与を約束して入学させ、学資ローンも組ませていたが、実際には、経営者側がそれら卒業証書を認めておらず、結果的に学生らが就職できない事態が発生していた。
当時のオバマ政権は、これら学生を救済する目的でBDRを制定したが、同教育相の施行延期発表によって、逆に当該大学を利する結果となっていた。
そこで同裁判官は57ページに及ぶ判決文の中で、これら学生は当該大学によっていくつかの権利を奪われたと認ぜられ、それらを救済するためにBDRの施行は必要であるとし、従って、その施行を延期した教育省の決定は不合理であると決定付けた。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AP通信』配信):「米連邦地裁、営利目的の大学の詐欺行為に関わるデボス大臣の決定を却下」
モス裁判官は判決文の中で、BDR施行を延期したデボス教育相の決定は、“恣意的かつ首尾一貫していない”と断じた。
同裁判官は、教育省が公費出費を抑えるためとか、関係者の混乱を軽減させるためとかの理由を付けてBDR施行を延期することを決める一方で、当該規程を改定するか、もしくは撤回するかどうか決めようとしており、それはすなわち新たな政策の導入であると見做されるとした。
更に同裁判官は、BDR施行を延期するというのなら、その立法化を図らねばならないのに、そのプロセスを経ずして同規則延期を決めるのは不適切であるとの判断を下した。
なお、デボス教育相は昨年、7月1日施行予定のBDRが混乱をもたらし、結果的に学生にも大学にも不公平となるとして、施行延期を打ち出していた。
(注)BDR:営利目的の大学に対し、教育内容や卒業証書付与等に関わる説明責任を負わせ、また、同大学によって間違った方向に導かれたり、詐欺的行為に遭ったりしたローン借受け学生を救済するための規則。
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