アイスランド、国民の10%にコロナウイルス検査を実施(2020/04/17)
新型コロナウイルスの検査を受けることが出来ない、という批判の声が多く上がっている日本だが、同じ島国のアイスランドは、国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認される1カ月前も前の1月末から、国民に対し積極的に検査を受けてもらい、現在は人口の約10%という、世界で最も高い割合で国民に対する検査を実施してきた。
『ル ポワン』は、14日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された、アイスランドの大学と「deCODE Genetics」社による共同研究結果について報じている。
研究者らは今回の研究で、大々的なウイルス検査を2回実施した。1回目は、1月31日より、症状のある人や感染危険地域(当初は中国、そしてオーストリアアルプス、イタリア、スイス)から戻ってきた旅行者、感染者と濃厚接触のあった旅行者に対して検査を実施した。...
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『ル ポワン』は、14日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された、アイスランドの大学と「deCODE Genetics」社による共同研究結果について報じている。
研究者らは今回の研究で、大々的なウイルス検査を2回実施した。1回目は、1月31日より、症状のある人や感染危険地域(当初は中国、そしてオーストリアアルプス、イタリア、スイス)から戻ってきた旅行者、感染者と濃厚接触のあった旅行者に対して検査を実施した。2月28日に最初の陽性者が確認され、3月末までにはあわせて9,000人以上が検査を受けた。その結果、13.3%が感染していたことが判明した。
2回目の大規模検査は、バイオ医薬品会社「deCODE Genetics」社が一般の国民を対象に3月13日に実施された。症状の何も出てない人、軽度の風邪症状で隔離されていない人、が対象となった。その結果、検査を受けた国民の中で陽性判定が出た人の割合は0.6%~0.8%と非常に低いことが判明した。
そしてこうした大々的な検査のおかげで、ウイルスに関する様々なことが分かってきた。『BFMTV』によると、今回の調査の結果、海外からウイルスが持ち込まれたのはアジアからではなくヨーロッパからだったことが判明した。
分析によれば、当初、アイスランド国内にウイルスを持ち帰ったのは、イタリアとオーストリアから戻ってきた自国民の人達であったようだ。 続いて、イギリスで封鎖措置が取られる前に、イギリス旅行から戻ってきた人たちであった。これは、新型ウイルスがイギリス人の間でかなり早い時期に出回っていたことを示唆する。
また、感染した人のうち57%が症状あり、43%が無症状だったということも判明した。現在世界のほとんどの国では、症状のある人に絞って検査を実施するため、無症状の人は感染していないという印象を与えてしまう。しかし、今回の研究により、症状が何もなくても、誰でも感染力を持つ感染者になりうることが分かった。
なお、検査をあまり行っていない国では、高齢者中心に感染者が確認されているが、今回のアイスランド国民を検査したところ、感染者の内訳は子供が10.1%、青少年は56.6%、大人は28.7%、高齢者は4.7%と、若い人の比率が非常に高いことが分かった。
今回の検査で陽性判定が伝えられた人は、発熱がある場合は解熱後10日間、症状がない場合でも陰性結果が出るまで自宅で自主隔離することが求められた。仮に濃厚接触のあった相手がいたら、その相手も2週間の自主隔離を要請された。
無症状であった人たちが今回の検査を受けていなかった場合、自らの感染を知らずに出歩き、知らないうちに他の人々を感染させていただろう。積極的に検査を受けてもらうことで、ウイルス感染の拡大をより防ぐことができることが分かる。アイスランドでは幼稚園や小学校は休校となっていないが、これまでウイルス感染による死者は8人にとどまっている。
現在、アイスランドでは検査数が36,000を超え、 人口364,000人の小さな国の、国民検査率は世界一位。大々的にウイルス検査を行っていることで知られている韓国の国民検査率の10倍にあたる。
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新型コロナウイルス、空中で数時間生存 多くの人の回復・免疫獲得には2年が必要か(2020/03/19)
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は17日、新型コロナウイルス(COVIT-19)が飛沫より小さいエアロゾル化した後、空中で最低3時間は生存するなどとする研究結果を公表した。また、ドイツのロベルト・コッホ研究所は同日、世界人口の60~70%がCOVIT-19に感染し、最終的に免疫を得るまでには2年間を要するとの見方を示した。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが伝えたところによると、米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)に、COVIT19のエアロゾル化などに関する研究結果を公表した。エアロゾルは飛沫よりも小さな粒子で、咳やくしゃみなどによる飛沫がすぐに落下するのに対し、一定時間空中に浮遊している。
研究者らは、家庭や病院で感染者がウイルスを排出し、室内の物体に触れてウイルスを付着させる状況を再現し、エアロゾルでどの程度ウイルスが空中で生存するか、またウイルスが付着した物体の物質によって、その生存時間がどの位異なるかを検証した。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などが伝えたところによると、米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)に、COVIT19のエアロゾル化などに関する研究結果を公表した。エアロゾルは飛沫よりも小さな粒子で、咳やくしゃみなどによる飛沫がすぐに落下するのに対し、一定時間空中に浮遊している。
研究者らは、家庭や病院で感染者がウイルスを排出し、室内の物体に触れてウイルスを付着させる状況を再現し、エアロゾルでどの程度ウイルスが空中で生存するか、またウイルスが付着した物体の物質によって、その生存時間がどの位異なるかを検証した。
研究結果によると、ウイルスはエアロゾル化した後、空中で最低3時間は生存することが判明した。ウイルスが付着した物体の物質毎の生存時間については、プラスチックやステンレスは3日以上、段ボール紙は24時間で、銅は4時間だった。この結果は、2002~03年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)とほぼ同様だが、COVID-19の感染規模が遥かに大きいのは、症状の出ていない人が感染を広げたためである可能性がある。
『ロイター通信』や『ニューヨーク・ポスト』などの報道によると、ドイツのロベルト・コッホ研究所のローター・ヴィーラー所長は17日、世界人口の60~70%がCOVIT-19に感染し、最終的に回復し、免疫を獲得するまでには2年程度かかるとの見解を示した。
ウィーラー所長は17日の記者会見で、コロナウイルスのパンデミックが収束するまでの時間は、ワクチンの開発と配備に至るまでのスピード次第であり、正確に予測するのは困難であるとした上で、「我々の仮説は2年ほどかかるということだ」と説明した。同所長は、「致死率が最終的にどの程度となるのかは未だわからない。」と記者団に語った。
同研究所によれば、ドイツの感染者は7,000人を超え、死者も13人出ている。同所長は、政府が厳格な措置を講じなければ、同国で数百万人が感染すると警告し、同研究所がドイツの危険レベルを「高」に引き上げたとしている。
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