米国防省、10年以内にサイバー部隊倍増(2022/06/14)
米国防当局は、これまで暴動対策に重点を置いてきた米国防総省は、将来のサイバー攻撃戦に備えるため、今後10年以内に米陸軍の現役のサイバー部隊の規模を倍増させる方針であることを発表した。
国防関連のニュースを扱う米
『ディフェンス・ニュース』によると、陸軍広報担当者は6月13日、サイバー部隊の兵力が約3千人から6千人強に増加することを発表した。現役、予備役、州兵全体におけるサイバー支部も5千人から7千人以上に拡大されるという。陸軍副参謀長であり、陸軍の世界中における作戦のための指揮、統制、通信、サイバー作戦、ネットワークの計画と実施を担当しているジョン・モリソン中将は、6月9日の記者会見で、「サイバー及び電磁波の領域における活動や能力の拡大と共に、サイバー部門は成長し続けるだろう。...
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『ディフェンス・ニュース』によると、陸軍広報担当者は6月13日、サイバー部隊の兵力が約3千人から6千人強に増加することを発表した。現役、予備役、州兵全体におけるサイバー支部も5千人から7千人以上に拡大されるという。陸軍副参謀長であり、陸軍の世界中における作戦のための指揮、統制、通信、サイバー作戦、ネットワークの計画と実施を担当しているジョン・モリソン中将は、6月9日の記者会見で、「サイバー及び電磁波の領域における活動や能力の拡大と共に、サイバー部門は成長し続けるだろう。サイバー戦と電子戦は、すべての戦術的陣形において統合される」と述べた。現在、ウクライナ戦争は、陸・空・海・宇宙・サイバーにまたがるマルチドメインに及ぶ攻防戦が繰り広げられており、米陸軍は、敵の貴重な情報の取得のために動いている。
しかし、中将は、米軍が20年の間、暴動対策などに集中したことによって「感知、保護、そして攻撃に至るまで電子戦の能力を大幅に失った。」と言う。一方で「オープンソースのニュースを読むだけで、今ヨーロッパで起こっていることの重要な要素になっていることがわかる。」と指摘している。
陸軍は、2023年度のサイバーおよびIT資金として166億ドルを要求している。その大部分である約98億ドルは、ネットワークの近代化に充てられている。また、攻撃的・防御的なサイバー作戦とサイバーセキュリティの研究開発に約20億ドルが充てられる。
2022年国家防衛戦略の公開されている要約によると、中国はロシアを差し置いて最も差し迫った国際的脅威とされている。両大国ともサイバースペースに多大な投資を行っている。陸軍の最高情報責任者(CIO)であるラージュ・アイヤー氏は、2023年はデジタル変革に関しては「変化の年」であり、サービスが、古くて快適なものから、新しくて有利なものに移行しなければならない時期である、と述べている。
2014年からフランスのサイバーセキュリティ監視機関であるAnssiのトップを務めてきたギヨーム・プパールも、フランスやヨーロッパにおけるサイバーディフェンスの現状について、仏『レゼコー』紙に語っている。「フランスは、検出が困難な、特に高度な長期スパイ活動に対して戦っている。巨大な資源を持つ国々との戦いだ。これは、サイバー犯罪集団や日常的なネット詐欺の脅威が小さいという意味ではない。Anssiの仕事の80%は国家によるスパイ行為に対するもの。これは目に見えない攻撃であり、同じ手段でインフラを破壊すれば、まさに壊滅的な被害をもたらす。これが私たちの住む地政学的な世界であり、脅威が弱まるとは思っていない」と答えている。
一方、「欧州はサイバー分野で強くなる必要がある。確かに欧州各国は安全保障レベルを上げ、協力している。しかし、ある加盟国が助けを求めてきたときに備えて、連帯感を持つことが必要だ。誰もがすでに200%の状態にあり、誰も他国にチームを送ることができない」現状にあると指摘している。
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ロシアとウクライナの激しい電子戦(2022/06/09)
ウクライナ戦争ではこれまでにない規模の最新の電子戦が繰り広げられている。
『AP通信』は、「ウクライナの戦場では、携帯電話の電源を入れるという行為だけで、死の雨(砲撃)を降ってこさせる可能性がある。」と伝えている。
電子戦技術は、通信、ナビゲーション、及び誘導システムを対象として、敵の位置を特定し、目をくらまし、欺き、致命的な打撃を与えようとするものだ。大砲、戦闘機、巡航ミサイル、ドローンなどに対して使用される。軍隊も自軍を守るために使用している。
この分野はロシアが明らかに優位に立つと考えられていた。しかし、ウクライナの首都キーウの占領に失敗した戦争の初期段階においてはその腕前はほとんど披露されなかった。...
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電子戦技術は、通信、ナビゲーション、及び誘導システムを対象として、敵の位置を特定し、目をくらまし、欺き、致命的な打撃を与えようとするものだ。大砲、戦闘機、巡航ミサイル、ドローンなどに対して使用される。軍隊も自軍を守るために使用している。
この分野はロシアが明らかに優位に立つと考えられていた。しかし、ウクライナの首都キーウの占領に失敗した戦争の初期段階においてはその腕前はほとんど披露されなかった。現在繰り広げられているウクライナ東部での熾烈な戦闘では、より短い補給線で防衛しやすいため、ロシアは電子戦の装備を戦場の近くに移動させることができ、はるかに大きな要因となっているという。
ウクライナの情報機関関係者は、偵察活動や指揮官と部隊との通信を妨害することに関して、ロシアの脅威を「かなり深刻」だと語っている。ウクライナが敵の位置を確認し、砲撃を行うために使用するドローンのGPS受信機を妨害するロシアの行為は最前線においては特に激しいという。
専門家たちによれば、ウクライナの電子戦能力も2014年のロシアによるクリミア併合以降、顕著に改善されているという。しかし、ロシア軍による攻撃と対象となっており、ウクライナの電子情報センターが破壊されたりしている。
そこでウクライナは、米国や他のNATO加盟国からの技術や情報を有効活用している。こうした情報は、ロシアの巡洋艦モスクワの撃沈に役立った。連合国の衛星や偵察機、あるいはイーロン・マスクの衛星通信ネットワーク「スターリンク」なども助けとなっている。
しかし、通信セキュリティの専門家で、米国務省や国土安全保障省にコンサルティングを提供しているジェームズ・スティダム氏は、「この分野は、進化する最先端技術に大きく依存しており、得られた情報はすぐにコピーされたり消去されたりするため、非常に機密性の高い分野だ」と話す。軍の司令官たちも、機密を暴露することで作戦を危険にさらすことを恐れて、電子戦について言及することを避けているという。
こうした中、防衛関係に特化した米オンラインニュースサイト『ディフェンス・ニュース』は、新世代の武器の使用で機密技術の漏洩が懸念されていることを伝えている。
英国の国防関係者によると、戦闘に使用されたウクライナのソ連時代の在庫が減少し、ウクライナがより長距離で戦闘力に優れた武器を要求するにつれて、新世代の西洋製兵器がウクライナの前線部隊に渡るようになっており、そうした装備がロシア軍に捕獲された場合、機密技術の漏洩の可能性があることが懸念されているという。
英国大使館の職員によれば、標的を定めるための捜索と誘導装置、暗号化アルゴリズムなどを含む兵器はすべて、ロシア軍にこれらの兵器の仕組みや防御方法に関するヒントを与える可能性があるという。
現代の戦争では、ハイテク兵器が戦利品として手に入ることはよくあることであり、ウクライナ軍が戦場で押収したロシア製機器から裏をかき、見識を深めたという報告もある。ウクライナに流入する兵器が最新の物になるに従い、情報漏洩の懸念も高まっている。別の英国大使は「ドンバスの東側でロシアを抑えるためだけに日々費やされている兵器の量は相当なものだ」と指摘している。
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