フランス、ホテル業界歴史的危機(2021/01/19)
フランスでは新型コロナウイルスのパンデミックとそれに伴う経済危機のために、多くの業界が大打撃を受けている。ホテル業界にとっても、2020年は悪夢の年であった。現在もコロナ禍で客足が遠のいたままとなっている国内のホテルは、その3分の1が今も休業している。業界では人員削減を余儀なくされており、高級ホテルも免れていはいない。
仏放送局
『フランス アンフォ』によると、ホテル大手のル・メリディアンは、近々254人の従業員を解雇することを計画している。業界全体でも、今後数週間で労働力の4分の1を失う可能性があると見られている。
ホテルレストラン独立事業者団体の副委員長であるエマニュエル・ソバージュ氏は、大量解雇の状況は避けられないと述べている。「1,000室もの部屋が空いているのに、どうすればいいのか。イベントもセミナーも観光客も航空会社もなくなったら、解雇するしかない」と嘆いている。...
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仏放送局
『フランス アンフォ』によると、ホテル大手のル・メリディアンは、近々254人の従業員を解雇することを計画している。業界全体でも、今後数週間で労働力の4分の1を失う可能性があると見られている。
ホテルレストラン独立事業者団体の副委員長であるエマニュエル・ソバージュ氏は、大量解雇の状況は避けられないと述べている。「1,000室もの部屋が空いているのに、どうすればいいのか。イベントもセミナーも観光客も航空会社もなくなったら、解雇するしかない」と嘆いている。
仏日刊紙『ル・フィガロ』や金融紙『レゼコー』によると、観光・ホテル業界専門の「MKGコンサルティング」社は、価格の大幅な下落とホテルの稼働率の低下が相まって、昨年、1室あたりの平均収益(RevPAR)は61.3%減少し、2020年全体では32.4%にとどまったと発表した。パナヨティス社長は「これほど低い数字は30年以上も見たことがない。」と1970年代のオイルショック以来の数字だとコメントしている。
また、財源不足は膨大なものとなっており、合計で140億ユーロ(約1兆7600億円)に上る。損失は宿泊施設で100億ユーロ(約1兆2600億円)、ホテルのケータリングで40億ユーロ(約5000億円)となっている。すべてのホテルカテゴリーが、すべての地域で被害を受けていることも判明した。しかし、最も重い代償を払っているのは、高級ホテル業界とパリ首都圏地域だという。
それでもフランスは、MKGコンサルティングが調査した欧州18カ国の中で最も良い結果を記録している。1室あたりの平均収益(RevPAR)は、イギリスで70.8%、スペインで75.2%、イタリアで76.7%、ギリシャで77.4%減少し、最も影響を受けた2カ国、ハンガリーでは80.4%、チェコで83.3%の急減少を記録している。
しかし、中国の錦江グループの子会社であるルーヴルホテルズの社長ピエール・フレデリック・ルーロ氏は昨年、日刊紙『ウエストフランス』のインタビューで、「過去10年間、すでにフランスのホテルは毎年2~3%ずつ減っていた。コロナ禍は、そのトレンドを加速させている」だけであり、「ヨーロッパのホテル業界の20~30%は消滅するだろう」と述べていた。
そして、「ホテル業界は社会に比べて十分な速さで変化していない。ホテルとケータリング業界には17の組合がある。フランスはそのポテンシャルを十分に生かしていない。フランスも例えば上海のように、すべてのサービスにアクセス可能なアプリケーションを持つことができるはずだ。」と指摘している。
ホテルはもはや「部屋と本では十分ではない。私たちは暮らしの延長にある新しいホテルサービスを提供しなければならない」とも指摘している。例えば今月、リヨン市のホテルでは、上海のホテルで提供しているテクノロジー愛好家向けのサービスを真似て、配送ロボット、部屋の空気清浄機、デジタルチェックインなどのサービスを導入する。また、イル=ド=フランス地域圏にあるランジス市では、果樹園と野菜園を持っているホテルがケータリングセミナーを主催する予定だ。
同社長は、現在の困難な状況がホテル業界の徹底的な再構築につながると確信している。
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アリババの経営する未来型ホテルが、中国の杭州にオープン、ロボットが接客(2019/01/24)
『ロイター通信社』によると、中国の杭州にこのほど1mの背丈のロボットが接客する未来型ホテルが、ネット販売大手のアリババによって開店した。
ロボットたちは、アリババが活用している一連の設備や技術に属するもので、これ等により大幅に手作業のコストの低減を達成しており、同時に宿泊客にとっても、ホテル従業員との人的な接触の機会を制限することで、ホテルでの快適さの向上にも役だっているという。
このホテルの名前は、「フライ・ズー」(飛ぶ動物園)で290部屋の客室を持ち、
先月の12月に正式開業している。
アリババとしては、このホテルを新しいタイプのホテルの技術的な試作品として位置付けており、成功すれば最終的には、ホテル業界に、ロボットを使ったホテル技術を売り込み、さらにはアリババの持つ人工知能(AI)の技術を紹介する場としても活用したいと考えている。...
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ロボットたちは、アリババが活用している一連の設備や技術に属するもので、これ等により大幅に手作業のコストの低減を達成しており、同時に宿泊客にとっても、ホテル従業員との人的な接触の機会を制限することで、ホテルでの快適さの向上にも役だっているという。
このホテルの名前は、「フライ・ズー」(飛ぶ動物園)で290部屋の客室を持ち、
先月の12月に正式開業している。
アリババとしては、このホテルを新しいタイプのホテルの技術的な試作品として位置付けており、成功すれば最終的には、ホテル業界に、ロボットを使ったホテル技術を売り込み、さらにはアリババの持つ人工知能(AI)の技術を紹介する場としても活用したいと考えている。
アリババの未来型ホテルの責任者のアンディ・ワング氏によると、ロボットを接客サービスに使うメリットは、人間のホテルサービス係が、客の機嫌によって感情が影響され易く、それによりサービスの質が変わるのに対し、ロボットの場合、客の機嫌に左右されず、安定したサービスを提供できることだという。
宿泊客は、チェックイン装置にパスポートをスキャンさせ、同時に顔認識のスキャナーが働き、手続きが終了し、エレベータ中で顔がスキャンされ、宿泊客の部屋のある階で止まる。エレベータを降りてから、自分の部屋の前の顔スキャンで部屋のドアが開く。 このホテルの利用者によれば、チェックインから部屋に入るまで1分くらいの短時間で済むとのことである。
ロボットとAI技術を駆使したアリババの未来型ホテルが成功するかどうか、今後の成り行きを見守りたい。
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