フランス、外食産業における仕事が人気低迷のため未曾有の採用難に(2022/02/22)
フランスのホテル・レストラン業界が現在、未曾有の危機に直面している。新型コロナウイルス以前から人材不足に直面していた業界は、パンデミック到来によって敬遠したい仕事の一つになってしまった。
仏地方紙
『ラ・デペッシュ』によると、フランスのサービス産業連盟は、カフェやホテル、レストランは2021年以降、10万人近くの従業員を失ったと報告している。現在、フランス人従業員の3%から4%を雇用しており、15万人ぶんの求人が埋められていない状況にあるという。
フランスの飲食店では、人手不足はコロナ以前から直面しているものだった。しかし、コロナ禍になり、将来が見えづらい職種、職種転換が難しく、専門性に乏しい仕事という烙印が押されてしまい、飲食業に対するフランス人のイメージが大きく変わってしまったという。...
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仏地方紙
『ラ・デペッシュ』によると、フランスのサービス産業連盟は、カフェやホテル、レストランは2021年以降、10万人近くの従業員を失ったと報告している。現在、フランス人従業員の3%から4%を雇用しており、15万人ぶんの求人が埋められていない状況にあるという。
フランスの飲食店では、人手不足はコロナ以前から直面しているものだった。しかし、コロナ禍になり、将来が見えづらい職種、職種転換が難しく、専門性に乏しい仕事という烙印が押されてしまい、飲食業に対するフランス人のイメージが大きく変わってしまったという。サービス産業連盟のオリビエ・デュピュイは、「今日、人々はこの職業に就きたいとあまり思っていない。長期的なキャリアを持つことが難しい一時的な仕事だと捉えている」と嘆いている。特に人材不足が叫ばれているウェイターやルームマネージャー、厨房スタッフなどの職種に対してマイナスのイメージが強くなっている。
仏ラジオ局『ヨーロッパ1』によると、22日に労働省で開催される会合で、産業界の代表者たちがこの問題について議論する予定となっている。人手不足解消のために、労働条件の改善や福利厚生の充実が検討される。
こうした人手不足は他業界でも課題になっているという。その一例が、道路交通分野である。フランスでは現在、4万から5万人の大型トラック運転手が不足している。この事態を緩和するために、労働組合が従業員の福利厚生について交渉を重ねてきた。賃金の上昇だけでなく、病気の子供のための看病休暇や本人が病気した時の病気休暇の導入など、様々な手当が検討されているという。
仏テレビ局『フランス3』は、リヨン近郊でレストランを経営しているギボーさんが直面している人手不足について紹介している。ギボーさんは、13カ月分の給与と休日を増やし、求人に盛り込んで募集をかけているものの、応募者が全く出てこないと嘆いている。
最も不足しているのは料理人で、ロックダウン以前からすでに、採用難だった職種は、さらに深刻な人材不足に直面しているという。ロックダウンで仕事が出来なくなってしまった料理人たちの一部が他の仕事に転職してしまった。転職したことにより、家庭生活や社会生活を営むことができる仕事を発見し、料理の世界に戻って来たがらない人が多いという。
こうした中、レストランオーナー達は、人手不足によりレストランの営業が制限されることで、今までお店に来ていた客が、ファーストフードやスーパーのお弁当などに流れてしまうことを懸念している。
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ウクライナ危機、フランスで仏露首脳会談の長テーブルが話題に(2022/02/09)
フランスのマクロン大統領は7日、ロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領と5時間にわたってウクライナ危機について議論した。フランスでは、会談の内容だけでなく、両首脳が5メートルもの長テーブルの両側に座って会談したことが話題を集めている。
仏メディア
『BFMTV』は、ウクライナ危機の中、仏露首脳会談は待ち望まれていたものの、ロシア側の接待について関心が集まっている、と伝えている。公式画像では、両首脳が真剣に話し合っている様子が写っており、両首脳が長テーブルの両側に向かい合い、座っているのが見える。後日、この長テーブルについて質問されたマクロン大統領は、「ロシア側がコロナ対策として取った措置だと理解しており、議論の妨げには全くならなかった。...
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仏メディア
『BFMTV』は、ウクライナ危機の中、仏露首脳会談は待ち望まれていたものの、ロシア側の接待について関心が集まっている、と伝えている。公式画像では、両首脳が真剣に話し合っている様子が写っており、両首脳が長テーブルの両側に向かい合い、座っているのが見える。後日、この長テーブルについて質問されたマクロン大統領は、「ロシア側がコロナ対策として取った措置だと理解しており、議論の妨げには全くならなかった。小さなマイクとイヤホンがあって、完璧に聞こえるようになっていた。」と回答した。
しかし、仏ラジオ放送局『フランスアンフォ』は、このテーブルを見たネットユーザーたちは、「首脳会談の場としては意外だ」と揶揄し、ネットで様々なコメントが飛び交っていると伝えている。
あるネットユーザーは、画像を加工し、マクロン大統領がメガフォンを持ってプーチンに話している動画を載せた。別のユーザーは、この両首脳の対決を、ジェームズ・ボンドと悪者の決闘の「リメイク版」として解釈した。1983年の映画「ネバーアゲイン」のオリジナルシーンでは、諜報員の007が悪者と長テーブルで向かい合って座り、ゲームで対決し、電気ショックを受けて敗れる場面となっている。
他にも、両首脳の手からレーザービームが出て戦っているかのような加工画像を載せたユーザーもいた。また、両首脳が長テーブルのシーソーに乗って楽しんでいるかのような動画も作成された。
今年のフランス大統領選の候補者の一人、フロリアン・フィリポー氏は、長テーブルを使って距離を置かれたことは、マクロン大統領にとって「屈辱」であると主張している。
しかし、ラジオ・フランスのモスクワ特派員であるシルヴァン・トロンシェは、1週間前に、プーチンと親しいとされるハンガリー首相が同じ長テーブルで接待されたと指摘している。また、プーチンはもともとコロナに対して極めて慎重であるとも述べている。プーチンと会う際は、ソーシャルディスタンスを尊重することが求められ、マクロン大統領はPCR検査を一回受けなければならなかった。記者会見に出席した記者にいたっては、全員4回のPCR検査を受けたという。首脳会談が行われた部屋には、顧問や秘書は同席させず、通訳者も横に座るのではなく、通訳室に入っていた。予備の通訳者が一人だけ、部屋の片隅に座っていたという。
仏地方紙『ラ・デペッシュ』によると、会談終了後、マクロン大統領とプーチン大統領は同じ長テーブルで夕食をとったという。メニューは、アカザエビに浸したリンゴ、ほうれん草のラビオリ、5種類の魚のスープ、ジンジャーシャーベット、チョウザメのステーキまたはスイートポテトとブラックベリー添えたトナカイ肉、バニラアイス付き洋ナシパイ、黒海のブドウ園のワインなどであった。
元モスクワ駐フランス大使ジャン・ド・グリニアスティは、首脳会談そのものがプラスに働いていると述べている。「マクロン大統領は、フランス大統領として、欧州連合理事会議長として、そして、ドンバス戦争でのミンスク合意を履行するために作られたウクライナ、ロシア、フランス、ドイツによるノルマンディーフォーマットの首脳会談のメンバーとして、その役割を果たした。緊張の緩和につながるかどうかは別として、これ以上エスカレートすることはないだろう。」と評価した。
元大使は、ロシアがウクライナとの国境付近に10万人以上の兵力を集結していることに対しては、国境付近には「10年前から10万人のロシア兵が配備されている。来て、行って、また去って。あまり語られていないが、NATO側でも同様の軍事行動が行われている。目新しいことは、西側諸国の指導者が初めて、ロシアにも安全保障上の懸念があることを認めたことだ。」と語っている。
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