洋上風力発電が熱い(3月29日)
地球温暖化問題を背景に投資家が化石燃料に投資をしなくなったことや、コロナによるロジスティックスの寸断など、複雑な要因が相互に絡み合い世界的に原油価格が高騰している。
こうした中で、日本では円安が進み、エネルギーを賄うことが一筋縄ではいかない状況になってきている。
国家の存亡に関わるエネルギーであるが、日本のエネルギー自給率はわずか12%に過ぎず、主要先進国の中で最下位である。ロシアがウクライナに侵攻したために、比較的安価であったロシア産原油、LNGに頼ることも難しくなっている。...
全部読む
地球温暖化問題を背景に投資家が化石燃料に投資をしなくなったことや、コロナによるロジスティックスの寸断など、複雑な要因が相互に絡み合い世界的に原油価格が高騰している。
こうした中で、日本では円安が進み、エネルギーを賄うことが一筋縄ではいかない状況になってきている。
国家の存亡に関わるエネルギーであるが、日本のエネルギー自給率はわずか12%に過ぎず、主要先進国の中で最下位である。ロシアがウクライナに侵攻したために、比較的安価であったロシア産原油、LNGに頼ることも難しくなっている。利益の最大化を目指す石油輸出国機構・OPECプラスは原油の増産に踏み込む気配を一向に見せず、日本のエネルギー政策に黄色信号が点滅している。
原発にすればいいとの声も聞こえるが、日本が原発に向かうことはそう簡単なことではない。ウクライナの原発をロシア軍が攻撃したように、原発には安全保障上の問題もある上、福島第一原発事故を経験などによって原発の稼働を増やしていくことは国民の目が相当厳しく、かなり難しい状況にある。
こうした日本のエネルギーの脆弱性を補う可能性を期待されているのが洋上風力発電である。洋上風力発電は陸上よりも安定的に風が吹くうえ、太陽光発電とは異なり、悪天候でも電力を供給できる。
洋上風力発電は特に立地が重要である。今、強い風が恒常的に吹いている秋田県沖に注目が集まっている。実は秋田県は風力発電の導入量が北海道、青森県に次ぎ全国トップクラスという実績を誇っている。
県内では、およそ300基の風車が回り65万キロワットもの電力を生み出している。これは県内の総世帯数を上回る量となる。建設計画は更に進んでおり経済効果は3800億円、雇用は3万7000人以上見込まれると試算されている。
日本政府は原発45基分に相当する洋上風力発電の導入を目指しているが、洋上風力発電に日本の電力供給の未来が託されているといえるのかもしれない。
閉じる
太陽光発電・どうする?家庭用パネルの廃棄(3月29日)
11年前に原発事故が起きた福島県は2040年頃までに県内のエネルギー需要の100%相当を再生可能エネルギーで生み出すという目標を掲げ、施設の普及などに力を入れている。
太陽光発電などの施設が急速に広がる中、被災地の復興を妨げかねない事態も起きている。福島県内の太陽光発電の最大出力は全国トップ。太陽光パネルの設置工事が始まった山の斜面から、大量の雨水や土砂が宅地や農地の流れ込む被害が相次いだ。...
全部読む
11年前に原発事故が起きた福島県は2040年頃までに県内のエネルギー需要の100%相当を再生可能エネルギーで生み出すという目標を掲げ、施設の普及などに力を入れている。
太陽光発電などの施設が急速に広がる中、被災地の復興を妨げかねない事態も起きている。福島県内の太陽光発電の最大出力は全国トップ。太陽光パネルの設置工事が始まった山の斜面から、大量の雨水や土砂が宅地や農地の流れ込む被害が相次いだ。
県の調査で伐採前に設置すべき調整池の整備が未完了であることがわかった。県は中止命令を出し、村はドローンで監視。南相馬市小高区では、林勝典行政区長と双葉屋旅館・小林友子女将らが商業施設を整備しようとしたJR小高駅周辺の土地が、すでに太陽光パネルの建設予定地になっていた。まちづくりや住民の帰還にも影響を与えかねない事態となっている。
太陽光発電は脱炭素社会実現に必要なエネルギーの柱として期待され、国は2030年までに新築戸建て住宅の6割に設置する目標を掲げている。
しかし避けて通れないのが廃棄の問題。2040年ごろにはパネルの排出量は年間80万トン、東京ドーム1700個分になると予測されている。なかでも家庭用パネルが急増すると言われている。
1994年に国の補助制度が始まったことなどから徐々に家庭用太陽光パネルが徐々に広がっていった。2030年には年間約7万戸分が排出される試算もある。太陽光パネルの撤去には約20~30万円かかるが、埼玉の太陽光パネル取扱店には約5年前から古くなったパネルの撤去依頼が入っているという。
神奈川県に住む男性は約20年前にパネルを設置したが、6年前に関連機器が故障しパネルもほぼ発電しなくなり撤去を考えたが、取り付け業者が倒産し撤去の依頼先が分からなかった。4年後、知人などの相談しようやく撤去したという。太陽光パネルに関連する企業の倒産件数は2015年頃から急増している。国の後押しで企業の参入が一時的に増えたものの競争激化でブームが去ったことが背景にある。
東京大学大学院・村上進亮潤教授は「一般家庭の人が外したいと思ったときにまず相談先がわかりやすく出てくる必要がある。国や都道府県レベルで考えてやっていくこと」と話す。
閉じる
日本独自の工夫でCO2削減へ(12月6日)
日本は日本独自のやり方でCO2の削減を考えている。発電方式では大まかに2つある。1つは高効率の石炭火力発電所である。
燃焼時にCO2を発生させないアンモニアを混ぜていく手法である。日本はCOP26で化石賞をもらったが、日本は老朽化した石炭火力発電所のフェードアウトを実現させている。
一方で、石炭とともに、バイオマスやアンモニアを混焼することによって発電効率の向上と低炭素化を図っている。...
全部読む
日本は日本独自のやり方でCO2の削減を考えている。発電方式では大まかに2つある。1つは高効率の石炭火力発電所である。
燃焼時にCO2を発生させないアンモニアを混ぜていく手法である。日本はCOP26で化石賞をもらったが、日本は老朽化した石炭火力発電所のフェードアウトを実現させている。
一方で、石炭とともに、バイオマスやアンモニアを混焼することによって発電効率の向上と低炭素化を図っている。例えば、広島の竹原火力発電所は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱効率が48%で、石炭を微粒子に粉砕して燃やす方式では世界最高水準に位置している。日本の石炭火力発電には、世界最高水準のガス化技術や高効率の発電技術の蓄積があり、CO2排出減にも貢献している。
もうひとつは、SMRと呼ばれる次世代小型原発も発電時にCO2を出さないエネルギー源として期待されている。「脱炭素エネルギー」として世界的に原発を再評価する動きが広がっている中、SMRと呼ばれる次世代小型原発も発電時にCO2を出さないエネルギー源として期待されている。日立製作所とGEの合弁会社「GE日立ニュークリエナジー」などが製造するSMRは炉心が小さく、故障してもすぐに停止できるというメリットがある。重大事故の場合でも、冷却水を自動的に循環させる仕組みになっており、安全に停止させることができる。モジュール化されているため短期間で建設でき、建設コストも低く抑えられる。SMRは原子力関連技術のイノベーションと言っても良い程のレベルにある。
上記2つに太陽光発電や風力など再生可能エネルギーとCO2を地下に貯蔵するCCSやCCUSといった技術、排出権取引や省エネ、カーボンプライシングなどを組み合わせていくことが現実的手法となる。
閉じる
脱炭素で注目集める原発(11月13日)
化石燃料に代わる有力なベースロード電源として世界で原発に対する注目度が高まっている。
裏を返せば当初期待していた自然エネルギー、例えば風力発電についてデンマークで無風状態が続き、発電できないなどの欠点が見えてきた今、安定性があり現実的な選択肢として原発が再浮上してきたということである。
トルコ政府はロシアに2基の原発を発注する方向である。中国は新規原発6基に着手し、現在18基を建設中である。...
全部読む
化石燃料に代わる有力なベースロード電源として世界で原発に対する注目度が高まっている。
裏を返せば当初期待していた自然エネルギー、例えば風力発電についてデンマークで無風状態が続き、発電できないなどの欠点が見えてきた今、安定性があり現実的な選択肢として原発が再浮上してきたということである。
トルコ政府はロシアに2基の原発を発注する方向である。中国は新規原発6基に着手し、現在18基を建設中である。フランス・マクロン政権は加圧水型原子炉を最大6基、建設する計画を進めている。
さらに米国・英国・フランスは小型モジュール原発(SMR)の開発に乗り出している。SMRの特徴は小規模な為、例え事故を起こしても小規模で済むというものである。モジュールはレゴのように1基のみ設置することも、複数のモジュールを組み合わせて発電所の一部として導入することも可能である。
一方、日本は原発の導入では厳しい状況にある。未だに福島原発事故が大きなトラウマとして残っているからであり、特に原発の新規建設については住民の反対が大きく、かなりハードルが高い。
日本と同じく原発の技術力では定評の高い韓国も福島原発事故を受けて、脱原発に舵を切ったため、国内での原発の設置は難しい模様となっている。
現在のところ、日本は2050年カーボンニュートラルを実現するためには少なくとも間つなぎのエネルギー源として原発を使わざるを得ない。このことを原発トラウマの大きい国民にどう説得していくのかという手腕が政治家に問われている。
閉じる
「エネルギー」内の検索