塩野義製薬・新型コロナ・ワクチン開発へ(4月28日)
製薬大手・塩野義製薬は、国立感染症研究所と協力して組み換えタンパク技術を活用した新型コロナウイルスのワクチン開発に乗り出すことを決めた。
年内に臨床試験を行い、来年以降できるだけ早く1000万人規模に提供可能となるよう態勢を強化するという。
組み換えタンパクは遺伝子情報を組み換えて免疫を獲得させるタンパク質を製造する技術で、開発から量産までの期間が短いのが特徴。
ワクチン開発競争の行方(4月27日)
(世界各国がしのぎを削るワクチン開発競争)
24日、日本医師会・横倉義武会長は「ワクチンが開発されないと五輪は開けないだろう」と語り、2021年東京五輪開催のためにはワクチンができていることが大前提であるとの認識を示した。こうした中、ドイツのバイオ医薬ベンチャー企業「ビオンテック」は製薬大手ファイザーと共同で4種類のワクチンを開発した。そのうちのひとつがドイツでの臨床試験で認可が下りる方向である。...
全部読む
(世界各国がしのぎを削るワクチン開発競争)
24日、日本医師会・横倉義武会長は「ワクチンが開発されないと五輪は開けないだろう」と語り、2021年東京五輪開催のためにはワクチンができていることが大前提であるとの認識を示した。こうした中、ドイツのバイオ医薬ベンチャー企業「ビオンテック」は製薬大手ファイザーと共同で4種類のワクチンを開発した。そのうちのひとつがドイツでの臨床試験で認可が下りる方向である。その後、米国でも臨床試験が開始される予定となっている。欧州では欧州初のワクチンの臨床試験が英国・オックスフォード大学で始まった。同大学では今年の秋までのワクチン普及を目指している。今、世界各国で100以上のワクチン開発計画が進められており、このうちの7つが臨床試験に入っている。まさに世界各国がワクチン開発競争でしのぎを削っている状態であると言っても過言でない。
(東京五輪で日の丸ワクチンのお披露目を)
こうした中、大阪大学と大阪大学発のベンチャー企業・アンジェスが開発中の「DNAワクチン」が有望視されている。ライフサイエンス研究用試薬などを提供する企業・タカラバイオや化学メーカーのダイセル、医薬品開発大手の新日本科学、EPSHDなども「DNAワクチン」計画に参加している。現在、動物を使った非臨床試験(抗体価産生力、有効性および安全性の確認)が始まったばかりである。9月にも実用化する方向で動いていたが、多少後ろにずれ込む形になる可能性もある。「DNAワクチン」は大阪大学とアンジェスが既に確立していた「DNAプラスミド」という技術を土台に活用するもので、足の血管が詰まる慢性動脈閉そく症の治療薬「コラテジェン」にも使われている。「DNAワクチン」を投与すると、まず新型コロナウイルスが持つ、スパイク状のトゲに似た突起(たんぱく質)ができ、細胞に異物が来たと誤判断させる。すると細胞は突起物に合った抗体を大量に作り出し、ウイルスの増殖を阻止するという。毒性を弱めたウイルスを使うことがないため、安全性も担保されている上に大量生産が可能で、コストも低く抑えられるという他のワクチンにはない強みがある。来年の東京五輪開催という機会をぜひとも日の丸ワクチンのお披露目の場につなげてもらいたいものである。
閉じる
ワクチン開発(4月27日)
新型コロナウイルスの影響で日本の医療が崩壊の危機にさらされている。京都大学大学院医学研究科・本庶佑特別教授はテレビ番組に出演し、日本は出口戦略を明確にすべきだと提言した。本庶教授は感染者の数が一桁になるまで待っていたら今年中に終わらないとの考えを示すとともに「インフルエンザやこうしたタイプ(RNAウイルス)に対するワクチンはこれまで余り有効なものは出来ていない。今ある薬が効くか効かないかを徹底的にやるべきと述べ、治療の問題をワクチンより優先させるべきとした。...
全部読む
新型コロナウイルスの影響で日本の医療が崩壊の危機にさらされている。京都大学大学院医学研究科・本庶佑特別教授はテレビ番組に出演し、日本は出口戦略を明確にすべきだと提言した。本庶教授は感染者の数が一桁になるまで待っていたら今年中に終わらないとの考えを示すとともに「インフルエンザやこうしたタイプ(RNAウイルス)に対するワクチンはこれまで余り有効なものは出来ていない。今ある薬が効くか効かないかを徹底的にやるべきと述べ、治療の問題をワクチンより優先させるべきとした。そこで今、どんな薬が期待されており今、どんな状況にあるのかを調べてみた。
まずは、米国に治療で効果があった事例が報告されていたエボラ出血熱治療薬・レムデジビル(ギリアドサイエンシズ社)だ。この薬はウイルスの複製を阻害する効果があると多くの期待を集めていた。ところがここにきて、無作為臨床治験が失敗に終わったことが判明し、関係者を失望させている。データはWHOのもので治験は中国で行われたものであるという。
一方、日本で期待されている抗インフルエンザ薬のアビガン(富士フイルムHD)も日米で治験に入っているが、その効果の例としては、軽症の段階で投与した場合には9割、重症の場合には6割の患者に劇的な改善がみられたとのデータが出ている。治療の切り札として、早期の承認を求める声が挙がっている一方、妊婦への投与の副作用として催奇形性の可能性が指摘されており厚生労働省は慎重な姿勢もみせている。
本庶教授が推すアクテムラ(中外製薬が創製しスイス・ロシュ社が販売)は抗リウマチの治療薬であり、炎症を抑制する。今月から治験を開始し、9月までに治験終了を目指している。この他、フランス・サノフィ社の抗リウマチの治療薬・ケプザラも注目されている。
さらに注目を集めているのが血液製剤の免疫グロブリン(武田薬品と米国CSLベーリング社)である。この血液製剤はコロナから回復した人の血液から採取した血漿を分離精製し医薬品にしたもので感染早期に投与した場合には高い効果が期待できるという。日本では国立国際医療研究センターが早ければ4月中にも試験的な治療を試みるという。
閉じる
万能ワクチンに注目(4月21日)
今回世界中に蔓延しているコロナウイルス「COVID-19」を始めとし複数のウイルスに効く「万能ワクチン」の研究開発が今、注目されている。
あらゆるウイルスに効果がある「ユニバーサルウイルスワクチン」という夢の薬の実現に向け、最前線の研究が進んでいる。
【あの一言】ワクチン実用化いつ?開発者生解説・スケジュール「最新情報」より
ジャーナリスト・木村太郎
すごく(大阪大学のワクチン開発に)期待している。ただしその先がある。できてもコロナウイルスだけだが、これからはA型、B型、コロナのワクチンが必要だとかいうことになる。これらを包括した万能ワクチンであるユニバーサルワクチンの開発がもう一方では進んでいる。これが動物実験ぐらいまでいっている。これができてしまうとありとあらゆるものに効く。10年後に出てくるようなものまで防げる。多分これから先はそっちの方向に行くのではないか。
2020/04/19 フジテレビ[Mr.サンデー]
ワクチン開発最前線(4月18日)
現代社会に大きな暗雲を広げている今回の新型コロナウイルス禍であるが、一応の決着がつくとしたら、ワクチンの開発に成功した時であろう。ここではその動きを追ってみる。
米国立衛生研究所(NIH)は、米欧保健当局と医薬品大手16社が新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の開発で連携することを17日に発表した。規制面での調整や有望な治験薬の臨床試験実施で必要となる資金提供などで協力していくという。参加する主な機関や企業には米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、グラクソ・スミスクラインなどの名前が挙がっている。...
全部読む
現代社会に大きな暗雲を広げている今回の新型コロナウイルス禍であるが、一応の決着がつくとしたら、ワクチンの開発に成功した時であろう。ここではその動きを追ってみる。
米国立衛生研究所(NIH)は、米欧保健当局と医薬品大手16社が新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の開発で連携することを17日に発表した。規制面での調整や有望な治験薬の臨床試験実施で必要となる資金提供などで協力していくという。参加する主な機関や企業には米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、グラクソ・スミスクラインなどの名前が挙がっている。特にエボラ出血熱のワクチン開発技術を応用するとしているジョンソン・エンド・ジョンソンはワクチン開発に積極的で、複数のチームを世界各地で同時並行的にそれぞれ異なるアプローチで開発に従事させているという。
一方、オックスフォード大学研究チームは数日から数週間のうちに、開発中のワクチンで臨床試験を行うとしている。最もうまくいった場合、2020年末までに数億個のワクチンが生産されるかもしれないとの見通しを示している。
米国バイオテクノロジーベンチャーのモデルナ社も米国連邦政府と共同で新型コロナウイルスのワクチン開発中であり、4月16日、連邦政府機関から最大4億8300万ドルの資金を受け取ることで合意したとのことである。
米国、欧州ではワクチン開発競争が過熱しているが、日本もこの動きを傍観してはいない。
大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授と阪大発バイオベンチャーのアンジェス社が新型コロナウイルスの予防用ワクチンなどで共同開発に乗り出すことを3月5日に発表し、ワクチンの製法などについて、4月1日、発明として両者で特許庁に出願したと発表している。現在は開発した原薬で動物実験を進めており、9月ごろの臨床試験開始を目指しているという。
HIV及びC型肝炎治療薬の開発で知られる米国ギリアドサイエンシズ社は北京の病院と共同で抗生物質レムデジビルの武漢での治験を行っている。こうした中、中国がワクチン開発で一歩先に進んだ動きを見せている。
4月17日、中国科学技術省は、新型コロナウイルスワクチンの内のひとつが臨床試験の第二段階に進んだことを明らかにした。WHOによると世界では70種類のワクチンが開発されているが、第二段階に進んだのは中国が一番早いという。新型コロナウイルスワクチン開発競争では各国、特に米中が激烈な覇権争いを展開しているように見える。
閉じる
「ワクチン・新薬・検査」内の検索