米国・人道的対応を・中国・内政問題(8月16日)
香港で抗議活動が続く中、隣接する中国・広東省の競技場に武装警察の部隊が集結している映像を外国メディアが伝えた。
競技場の周辺に集まったたくさんの装甲車やトラック、海外の通信社がきのう配信した映像では、集まっているのは中国人民解放軍の指揮下にある武装警察部隊で、この競技場から香港まではわずか10キロしか離れていないとみられ、中国政府としては、介入を示唆することで抗議活動をけん制するねらいがあるとみられる。...
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香港で抗議活動が続く中、隣接する中国・広東省の競技場に武装警察の部隊が集結している映像を外国メディアが伝えた。
競技場の周辺に集まったたくさんの装甲車やトラック、海外の通信社がきのう配信した映像では、集まっているのは中国人民解放軍の指揮下にある武装警察部隊で、この競技場から香港まではわずか10キロしか離れていないとみられ、中国政府としては、介入を示唆することで抗議活動をけん制するねらいがあるとみられる。
一方、香港をめぐって、米国と中国の応酬が激しくなっている。トランプ大統領は14日、自身のツイッターに「まずは香港について人道的な対応をしてもらおう」と書き込んだ。
これに関連して中国外務省・華春瑩報道官はコメントを発表し、「香港の問題は完全に中国の内政問題だ」と反発している。また英国に駐在する中国・劉暁明駐英大使は、「抗議活動がさらに激しくなれば、中国政府が見過ごすことはないだろう」とコメントし、状況次第では中国政府が介入する可能性を示唆した。
抗議活動が続く香港では、週末にも再び大規模なデモが呼びかけられていて、事態が収束する見通しは立っていない。
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発展途上国としての特権を守りたい中国(8月15日)
今月8日、人民元の基準値は11年ぶりに7元を割り込んだ。米国政府はこれに反発し、中国を為替操作国と認定し、新たな対抗措置をちらつかせた。一方、14日、米国政府は来月1日から実施する中国からの輸入品に対する追加関税の一部については、12月15日まで発動を延期すると発表した。一進一退はあるにせよ、米中の通商関係はかつてない険しい岐路に立っていることが火を見るよりも明らかだ。
これも今、米中覇権争いの縮図ではないかと誰もが思うところだが、どうも北京はこう見られたくないようだ。...
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今月8日、人民元の基準値は11年ぶりに7元を割り込んだ。米国政府はこれに反発し、中国を為替操作国と認定し、新たな対抗措置をちらつかせた。一方、14日、米国政府は来月1日から実施する中国からの輸入品に対する追加関税の一部については、12月15日まで発動を延期すると発表した。一進一退はあるにせよ、米中の通商関係はかつてない険しい岐路に立っていることが火を見るよりも明らかだ。
これも今、米中覇権争いの縮図ではないかと誰もが思うところだが、どうも北京はこう見られたくないようだ。これを背景に、けさ、「中国が、発展途上国という位置づけを堅持したい理由」という論評記事が環球時報ネットに出された。筆者は中国人民大学国際事務研究所長の王義?氏で、米中対抗を中国は望んでいないし、望むべきではないと論じている。同記事によると、
「最近、経済学者達は中国が発展途上国の身分を放棄するようと説くものがいる。理由は米国も中国のこのレベルを継続することを認めたくないからだ。これらの経済学者は技術思考に陥っているだけでなく、むしろ米国式思考に陥っているのである。発展途上国かどうかは、貿易戦、WTO改革、米国からの視点を乗り越えて見る必要がある」
「中国は発展途上国である。これはわれわれが自称したのではなく、世界銀行、世界貿易機関などの国連関係の機関が認めたのである。例えば、世界貿易機関での発展途上国とは基本的に三つの類別に分れている。1)最も後進国と地域、2)一人当たりのGDPが1000ドル以下の国と地域、3) その他の発展途上国。中国は第三のカテゴリーに属している。
「歴史的には、「三つの世界」の理論体系の中で、発展途上国を「第三世界」と呼ぶ時期があって、そこが中国の立場と帰属であった。今の世界は百年ぶりの変り目にあるが、発展途上国の身分に対する理解もその時代背景において変えなくてはいけない。まず、従来の「三つの論点」から見てみよう。
「一つは利点論である。発展途上国なら中国が世界銀行の低金利借款を始め、先進国より低い関税や、千億元に昇る無償寄付、さらに多くの炭素排出など一連の優遇政策を受けることができることを意味するから、中国を発展途上国の位置づけに留めるのがその利益を得たい為という説である。
「次に貧困解消論である。発展途上国は即ち貧しく、立ち遅れている国である。もしそうなら、中国はもう発展途上国ではない筈だが、これは中国の貧困地区の定義のようなもので、指定されると、多くの政策福祉がある。指定か外れると、名声が上がり、実績として評価されるが、福祉はなくなるというようなものである。来年は14億人が全面的に貧困から脱出すると、中国は発展途上国ではないと更に叫ばれるようになる。ところで、アメリカでさえ、国内全体が貧困から脱却しているとは言えないが。
「そして、慣性論である。長年にわたる発展途上国であることに慣れてしまっている。はずれるとなにかと大変である。トランプ氏は中国が発展途上国といって自分の責任をうやむやにして国際社会を欺いていると非難している。それは確かに心理の隙をついている。
「実は、われわれは新しい“三つの論点”の角度から中国はなぜ発展途上国の位置付けを堅持すべきかを判断する必要がある。
「一つは意識論である。偉大な復興とは、各国とも復興することであり、自国だけの復興ではなく、他国を犠牲にすることでもない。中国の外交原則は内政不干渉と国際的責任の協調とがあるが、両者はどうやって調和させるか?西洋経済学に「パレットの改善」という重要な言葉がある。つまり、自分が成功したいなら、他の人にも成功させようというものである」
「次に責任論である。発展途上国の位置づけを堅持することは中国外交のボトムラインであり、初心を忘れないことでもある。中国は発展途上国と自ら定義しているが、米国に定義してもらう必要はない。中国は社会主義国家と定義していることは、米国に定義してもらう必要がないのと同じ理屈である。米国と西洋は中国を発展途上国の陣営から切り離そうとしている。認めたくないし、先進国の権力を分かち合おうとしない。中国をおだてて、孤立させようとしている。発展途上国と貧困や遅れとの間に必然的な関係がなく、より多くは国際政治における身分と位置づけである。われわれは永遠に発展途上国側に立ち、世界人口の7割を占めている側に立っている。これはわれわれの外交の公平と正義の源である。中国は国連安全保障理事会の常任理事国として、発展途上国の権益を代表している。つまり、発展途上国が中国の世界的な責任である。
「そして、運命論である。発展途上国は過去に共通または類似の境遇を持っている。共にかつて植民地や半植民地だった。今日のグロバール統治構造と国際秩序を改革し、発展途上国の権益をより具現させ、未来に対する共同の運命を益々具現化させたいという共通の任務と願望を持っている。従って、発展途上国の位置付けは人類運命共同体を構築するのに一つの内在なものなのである」と、記事は続く。
さて、欧米や日本はそんな中国の勝手な思いを許すはずがないし、大きな衝突を生じないとは言えない。そこが現代の中国の大きな問題点でもある。
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米国世論調査“中国の印象好ましくない”最高水準に(8月14日)
米中の貿易摩擦が激しさを増す中、米国で行われた世論調査(ピューリサーチセンターによる)で中国の印象について「好ましくない」と回答した人が60%と、2005年の調査開始以来最も高い水準となったことが分かった。
また、米国にとって将来最大の脅威となるのは、どの国や組織かという質問に対し「中国」と回答した人は24%でロシアと並んで最も高くなった。
さらに、各国の指導者が世界情勢のために正しいことをしているかという質問に対し、日本の安倍総理大臣を信頼できると答えた人は61%だったのに対し、中国の習近平国家主席は37%にとどまった。...
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米中の貿易摩擦が激しさを増す中、米国で行われた世論調査(ピューリサーチセンターによる)で中国の印象について「好ましくない」と回答した人が60%と、2005年の調査開始以来最も高い水準となったことが分かった。
また、米国にとって将来最大の脅威となるのは、どの国や組織かという質問に対し「中国」と回答した人は24%でロシアと並んで最も高くなった。
さらに、各国の指導者が世界情勢のために正しいことをしているかという質問に対し、日本の安倍総理大臣を信頼できると答えた人は61%だったのに対し、中国の習近平国家主席は37%にとどまった。
調査を行った世論調査機関は、米中の貿易摩擦が激しさを増す中、米国国民の対中感情は急速に悪化しており、中国の軍備増強によって中国が脅威だという見方も強まっていると分析している。
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米国・対中追加関税の一部・12月まで延期(8月14日)
米国政府は、来月1日から実施する中国からの輸入品に対する追加の関税措置について、スマートフォンや衣類などは12月15日まで発動を延期すると発表した。
今回の関税措置の対象には日用品も多く含まれ、米国の産業界などから自国の企業や消費者にも影響が大きくなるとして、反発が出ていた。
トランプ大統領はクリスマスの買い物需要への影響を考慮したことを明らかにした。中国政府は劉鶴副首相が昨日、米国のライトハイザー通商代表らと電話協議を行ったことを明らかにした。...
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米国政府は、来月1日から実施する中国からの輸入品に対する追加の関税措置について、スマートフォンや衣類などは12月15日まで発動を延期すると発表した。
今回の関税措置の対象には日用品も多く含まれ、米国の産業界などから自国の企業や消費者にも影響が大きくなるとして、反発が出ていた。
トランプ大統領はクリスマスの買い物需要への影響を考慮したことを明らかにした。中国政府は劉鶴副首相が昨日、米国のライトハイザー通商代表らと電話協議を行ったことを明らかにした。
米国産農産品の輸入拡大や、ファーウエイへの締め付け緩和などについて、意見が交わされたとみられる。
発表では今月中に再度の電話協議が実施されるとしていて、何らかの歩み寄りがあるか注目される。今回の発表を受け、ニューヨーク株式市場では先行きへの警戒感が和らぎ、買い注文が集まった。
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環球時報に載った元南京軍区副司令官の論調(8月12日)
9日付の環球時報に「アジア太平洋地域における米国の中距離弾道ミサイルの展開にどう対応すべきか」という記事が載せられた。元南京軍区副司令官の王洪光氏が書いた短文だが、意図するところはどこにあるか、なぜこのタイミングか、憶測を呼ぶ内容の為、以下のように和訳した。
アメリカは8月2日に正式に「INF条約」から脱退した。アメリカ新任のエスパー国防長官はすぐさま、アジアに地上発射中距離弾道ミサイルを配備する意向を表明した。...
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9日付の環球時報に「アジア太平洋地域における米国の中距離弾道ミサイルの展開にどう対応すべきか」という記事が載せられた。元南京軍区副司令官の王洪光氏が書いた短文だが、意図するところはどこにあるか、なぜこのタイミングか、憶測を呼ぶ内容の為、以下のように和訳した。
アメリカは8月2日に正式に「INF条約」から脱退した。アメリカ新任のエスパー国防長官はすぐさま、アジアに地上発射中距離弾道ミサイルを配備する意向を表明した。中距離ミサイルの射程は500~5500キロメートルで、及ぶ範囲としては、西太平洋の方向では第二列島圏以内(オーストラリア北部を含む)、インド洋の方向ではゴディガルシア諸島、中央、西アジア。そして北アメリカの方向ではアラスカのアリューシャン列島を含む。即ち、アメリカの中距離ミサイルの配置は、正に軍事戦略専門家の戴旭氏が数年前に指摘したような「C字型包囲圏」に沿って一つの弧になっているというもの。その重点はアジアに置かれ、つまり第一列島、第二列島圏である。短距離ミサイルの重点は第一列島圏にある。
第一列島圏は既に中国により崩壊されており、整備が必要だとアメリカ側は考えている。ここ数年、中国空軍は第一列島圏に出入りし、定期的に訓練を行うことが常態化している。アメリカはこれに対応する戦力を持たない為苦慮している。日本も航空機や艦船を出して監視する以外方法がない。そのためか、日本は宮古島に少数の地対艦ミサイルを配備し、少数のフロッグマン部隊に装備を変えたが、これらの措置は、戦時に中国が第一列島圏を突破して出撃する軍事力に対して、無力である。アメリカの調査機関のランド社の最新報告によると、中国は80発のミサイルあれば、アメリカのアジアにある56基地を麻痺させることができるという。中国の中短距離ミサイルの脅威を大げさに言っているかもしれないが、アメリカも切実に中国軍の抑止力を感じていることは間違いがないようだ。
そのため、アメリカは第二列島圏の運営を強化し始めた。特にグアムと南太平洋の基地建設では一部、打撃を受けやすくかつ高価な海空の装備を第二線に撤収した。では、米軍は第一列島圏を諦めたのか?諦めたのではなく、精鋭化しているのだ。つまり、わずかな人員で操作できる短距離ミサイルに変え、防空と対艦ミサイルで防衛し、「コストパフォーマンス比」で最高の配置にして、第一列島圏で中国と戦場の主導権を争うことにした。
中距離ミサイルを配備する目的は中国の戦略に対して縦断的に脅しと打撃を行い中国軍の潜在戦力を破壊する為である。射程5000キロの中距離ミサイルをグアムに配備すればウルムチ以東のほぼ全域に対して直接的な射程に入れることになる。インドのゴルディオスシア米軍基地は雲(南)、貴(州)、(四)川戦略基地に対する脅威を生じさせている。中央、西アジアの米同盟国で配備された中距離ミサイルは、西寧より西の新疆、チベット、西青海の半分の中国に対して脅威を生むことになる。もちろんロシアやヨーロッパの一部の全域をも射程に入ている。米アリューシャン列島に配備すれば、中国の北方地域に脅威を与えるだけでなく、ロシア極東地区にも及ぶ。これにより、中国全土が「C字型包囲圏」からの中距離ミサイルの脅威を受けることになり、ある地域は二重の脅威を受けることになる。
アメリカは技術力があるので、決断をしたら、すぐに戦力になり得る。「INF条约」が破棄された翌日、国防長官は主要な配置方向と時間について言及した。すなわち、アジア太平洋の方向を示している。さかのぼれば、アメリカは中短距離ミサイルをできるだけ早く配備し、戦闘力を形成する準備を着々と進めていた。「INF条約」の前に、米軍は大量の地上発射の中短距離ミサイルを既に装備していた。例えば、パーシング地対地ミサイルなど、射程が1600キロ、命中精度が40メートルとしている。たとえ全廃や撤去されても、その技術が備蓄されている。また、最新の大陸間ミサイルや巡航ミサイルの技術は、中短距離ミサイルに移すのもそんなに難しいことではない。
実はアメリカは既にこのようにやっている。「INF条約」が交わされた後も、アメリカは地域のミサイル防衛システムの開発という名目で製造した迎撃ミサイルは中距離ミサイルと極めて似ていて、弾頭を載せれば、迎撃機がミサイルに早変わりする。アメリカはまた、イランや北朝鮮のミサイルに対する反撃を口実に、模擬標的弾を開発し、既に3、4千キロまで届き、実は中距離ミサイルそのもの。アメリカは「INF条約」を遵守し、中短距離ミサイルを開発していないと言っているが、アメリカ自身もそれを信じていないし、気にもしていない。
未来のアメリカの中短距離ミサイルの脅威にどう対処すればいいか?まずは、アメリカのミサイルを配備する可能性がある国に対し事前に警告すること。アメリカのミサイル配備を受け入れると、アメリカ側に立ち、中国に非友好を表明することになるので、経済貿易や各方面との交流が見直される。第二に、戦時、アメリカがミサイルを発射してわが国に打撃したら、その国を敵国と見なすこと。ミサイル陣地だけでなく、その国のすべての標的を中国の反撃範囲とする。第三に、中国奥地の核施設(戦時の核施設がアメリカも分らないと思う)が打撃されたら必ず核反撃をすること。第四に、アメリカがミサイルを配備すれば、その発射システムはすべて我々の攻撃目標リストに組み込まれ、関連データはコンピュータに保存される。いったん開戦したら、敵に先じて打撃を加え、第一陣の標的として破壊する。
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