中国の対抗措置・米国大統領・過度の反応せず(12月3日)
抗議活動が続く香港。追い風になっているのが、米国が成立させた「香港人権法」。中国政府はきのう対抗措置として、米軍の艦船が香港に寄港することを拒否するとともに、米国の複数のNGOに制裁を課すと発表した。
これについて習近平国家主席は、ロシア・プーチン大統領の側近との会談の中で「ことしに入り米国など欧米諸国は中国やロシアの国内問題への干渉を強めていて、両国の主権や安全を脅かしている」と述べ、米国が香港情勢などに関与を強めていることを念頭に批判した。...
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抗議活動が続く香港。追い風になっているのが、米国が成立させた「香港人権法」。中国政府はきのう対抗措置として、米軍の艦船が香港に寄港することを拒否するとともに、米国の複数のNGOに制裁を課すと発表した。
これについて習近平国家主席は、ロシア・プーチン大統領の側近との会談の中で「ことしに入り米国など欧米諸国は中国やロシアの国内問題への干渉を強めていて、両国の主権や安全を脅かしている」と述べ、米国が香港情勢などに関与を強めていることを念頭に批判した。
対する米国・トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「中国は貿易交渉をしたがっている」と述べ、過度の反応はしなかった。
貿易摩擦が自国の経済にも影響を与える中、香港をめぐる問題で対立を深めるよりも貿易交渉の進展を優先していると見られる。
一方、ポンペイオ国務長官は、ケンタッキー州で行った対談で改めて中国をけん制した。ポンペイオ国務長官は「(香港返還時に)中国は国連に一国二制度を守る義務があると述べた。米国は中国にその義務の尊重を求めることを強く支持する」と述べた。
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背景にある新疆ウイグル自治区の問題(11月30日)
(トランプ大統領の出方を見届けようとする中国)
28日、トランプ大統領が、「香港での人権と民主主義を支援する法案」に署名し、この法律が成立した。トランプ大統領の署名は今後の米中貿易交渉の行方を大きく左右する可能性がある。中国は激しく反発し、外務省の楽玉成次官は北京に駐在する米国・ブランスタド大使を呼び出した上で、「中国の内政に著しく干渉するものだ」と述べて強く抗議した。26日に中国外交部は「(もしトランプ大統領が署名した場合には)すべての結果は米国が負うことになるだろう」とトランプ大統領がこの法案に署名しないよう強くけん制していた。...
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(トランプ大統領の出方を見届けようとする中国)
28日、トランプ大統領が、「香港での人権と民主主義を支援する法案」に署名し、この法律が成立した。トランプ大統領の署名は今後の米中貿易交渉の行方を大きく左右する可能性がある。中国は激しく反発し、外務省の楽玉成次官は北京に駐在する米国・ブランスタド大使を呼び出した上で、「中国の内政に著しく干渉するものだ」と述べて強く抗議した。26日に中国外交部は「(もしトランプ大統領が署名した場合には)すべての結果は米国が負うことになるだろう」とトランプ大統領がこの法案に署名しないよう強くけん制していた。つまり中国はトランプ大統領が法案に署名したら米中貿易交渉第一段階の合意で履行するとみられていた中国による米国の農産品の爆買いを撤回するとの圧力をかけていた。トランプ大統領にとって来年の大統領選挙で頼りにしている農民票を失うことにつながりかねないものである。ただ法を執行する権限は大統領の手中にあるため、中国はトランプ大統領のさらなる出方を見届けようとしている。いずれにせよ一時的な休戦になるとみられた米中関係の先行きがまたしても不透明になってきたことは確かである。
(背景にある新疆ウイグル自治区の問題)
それにしても署名するかどうかは慎重に検討するとしていたトランプ大統領がなぜ突然、署名したのだろうか。署名しない場合は野党・民主党だけでなく共和党内部の対中強硬派を敵にまわすことになり今後の弾劾裁判で予期せぬ結果を招きかねないと判断したことが大きいという見方が有力だが、それだけではない。米国全体で対中強硬ムードが高まっているということも背景にあった。というのもトランプ大統領が署名する直前の24日に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が中国当局によるウィグル族弾圧の証左となる内部文書を公表したからである。この文書の中には中国当局が新疆ウイグル自治区の施設において脱走防止策として見張り台や鍵付きドアを整備し、四方八方に監視カメラをはりめぐらせるなど詳細な指示が書き込まれている。それはナチスのユダヤ人強制収容所を彷彿とさせる内容だった。中国政府は収容人数を明らかにしていないが、米国国務省は自治区内の拘束者が80万人から200万人に及ぶと見積もっている。施設に収容されていた当事者の証言も次々と表に出てきており、それによると収容者は黒い頭巾をかぶせられて突然連行されてくるという。施設の中には大学の学長や大学教授、ジャーナリスト、音楽家などが多数含まれ、彼らは過激思想の持主として習主席に忠誠を誓う言葉を毎日唱えさせられ単純作業を教え込まれているのだという。新疆ウイグル自治区は既に中国の監視テクノロジーを駆使した統治の実験場と化しており、将来的に中国は中国の全支配地域にこのシステムを広げようとしている可能性もないとはいえない。つまり一帯一路で関わる国々もそうなる可能性がないとはいえない。プライバシーの侵害などというものを超えて信教の自由、思想・信条の自由、表現の自由、人間が人間らしく生きるための必要最小限の権利さえ認めないという言葉で表すこともできないようなひどい人権侵害が行われている可能性が露わになってきた以上、人権問題にあまり興味がないトランプ大統領でさえ「人権・民主主義法案」に署名しないわけにはいかなかったということではないか。
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“香港支援法”中国外務省・米国大使に抗議(11月28日)
米国のトランプ大統領が、香港での人権と民主主義を支援する法案に署名し法律が成立したことを受けて、中国外務省の楽玉成次官は北京に駐在する米国のブランスタド大使を呼び出し、中国の内政に著しく干渉するものだと述べて強く抗議した。
そして楽次官は「米国の誤った措置に対し中国は必ず報復する。一切の悪い結果は米国が負うことになる。」と述べ、報復措置を辞さない考えを改めて示し米国を強くけん制した。
米中貿易交渉・米国大統領“最後の苦しみ”(11月27日)
米中貿易交渉は、第一段階の協定署名に向けて詰めの協議が続いている。
米国・トランプ大統領は記者団に対し、中国との貿易交渉について、「非常に重要な取り引きの最後の苦しみを味わっている」と述べ、「第一段階の合意は近い」という認識を示しつつも、依然として意見の隔たりがあることを窺わせた。
トランプ大統領は、香港の区議会議員選挙で民主派が圧勝したことについて、「我々は、彼らを支持する。香港の事もうまくいってほしいし、うまくいくと考えている。...
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米中貿易交渉は、第一段階の協定署名に向けて詰めの協議が続いている。
米国・トランプ大統領は記者団に対し、中国との貿易交渉について、「非常に重要な取り引きの最後の苦しみを味わっている」と述べ、「第一段階の合意は近い」という認識を示しつつも、依然として意見の隔たりがあることを窺わせた。
トランプ大統領は、香港の区議会議員選挙で民主派が圧勝したことについて、「我々は、彼らを支持する。香港の事もうまくいってほしいし、うまくいくと考えている。習近平国家主席は、それをやれると思う」と述べた。
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米国国務長官“中国の人権侵害裏付け”(11月27日)
ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は中国政府の内部文書を公開した。中国がウイグル族を監視する大規模なシステムを構築し、1週間で15000人余りを収容施設に送ったと指摘した。
米国・ポンペイオ国務長官は中国政府の対応を非難し、拘束した人たちを直ちに解放し抑圧をやめるよう改めて要求した。
ポンペイオ長官は中国のウイグル族に対する政策をこれまでも繰り返し非難しているが、中国政府は事実に基づいていないと反発も予想される。
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