サプライチェーンをめぐる米中覇権争い(5月1日)
インドは世界の薬局と言われている。2000年以降、グローバル化の流れを受けてメガサプライヤーが安い人件費、土地代を求めた結果、労働集約型の医薬のサプライチェーンがインドに出来上がったともいえる。
世界のジェネリック医薬品の半分ぐらいはインドで作られているとも言われている。更にはインドがワクチン製造大国であるということである。英国・アストラゼネカ、米国・ノババックス、ジョンソンエンドジョンソン、ロシア・スプートニクVなどの世界の有力ワクチンを大規模に製造しているのがインドであることはあまり知られていない。...
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インドは世界の薬局と言われている。2000年以降、グローバル化の流れを受けてメガサプライヤーが安い人件費、土地代を求めた結果、労働集約型の医薬のサプライチェーンがインドに出来上がったともいえる。
世界のジェネリック医薬品の半分ぐらいはインドで作られているとも言われている。更にはインドがワクチン製造大国であるということである。英国・アストラゼネカ、米国・ノババックス、ジョンソンエンドジョンソン、ロシア・スプートニクVなどの世界の有力ワクチンを大規模に製造しているのがインドであることはあまり知られていない。
インドで作られたアストラゼネカワクチンはWHOのワクチン支援制度COVAXを通じて77カ国に対し6000万回超える分を供給しており、ひとたび感染爆発などで操業がストップすると世界の感染状況にも大きな影響が及ぶなど、大きな影響力を持ち始めている。
4月の日米首脳会談でバイデン大統領は同盟国と協力し、半導体など機微技術に関してはサプライチェーンから中国など非民主国家を外していきたいという方針を打ち出した。
インドがサプライチェーンで扱うワクチンは安全保障にも関わる重要物資であるが、実はインドは日本や米国が思っているほどは中国やロシアに対する警戒感は強くない。
インドはクアッドに入ってはいるものの、その一方で中国が主催する上海協力機構(SCO)のメンバー国でもある。また中国AIIBの投融資は、87ある加盟国のうちインド向けが約3割も占めている。こうしたことを踏まえれば機微技術に相当するワクチンをインドで生産するのはややリスクが高いことなのかもしれない。
中国は隙あらば、インドを日米から引きはがし自陣営に組み入れたいと考えている。先日、インド変異種の感染拡大によって1日30万人の感染者を出しているインドに対し米国がワクチン原料や人工呼吸器、アストラゼネカワクチン6000万回分の緊急支援を申し出たが、中国もインドの需要に基づいて援助をするなどの姿勢を見せている。
サプライチェーンをめぐり今後、増々米中の争いが激しさを増していきそうである。
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中国反発・米中競争「決闘ではない」(4月30日)
米国・バイデン大統領が演説で中国への対抗姿勢を鮮明にしたことに対し、中国が「米中間の競争は生きるか死ぬかの決闘ではない」と反発した。
米軍が尖閣近海で訓練(4月22日)
中国当局の船による航行が常態化している沖縄県の尖閣諸島の近海で、ことし2月、米国軍が兵士を輸送機から降下させる訓練を計画し、海に物資を投下したと見られることが、日本の防衛関係者への取材で分かった。
米国軍が尖閣諸島の近海で、実際の作戦を想定したと見られる訓練を行うのは極めて異例で、米中の対立が深まる中、この地域への関与を強めようとする動きだと受け止められている。
中国当局の船による航行が常態化している尖閣諸島沖。...
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中国当局の船による航行が常態化している沖縄県の尖閣諸島の近海で、ことし2月、米国軍が兵士を輸送機から降下させる訓練を計画し、海に物資を投下したと見られることが、日本の防衛関係者への取材で分かった。
米国軍が尖閣諸島の近海で、実際の作戦を想定したと見られる訓練を行うのは極めて異例で、米中の対立が深まる中、この地域への関与を強めようとする動きだと受け止められている。
中国当局の船による航行が常態化している尖閣諸島沖。日本の防衛関係者によると、ことし2月17日、米軍の輸送機が、尖閣諸島の上空を飛行し、その途中、なんらかの物資を海に投下したと見られる。
その直前、米国軍から自衛隊に対し、兵士を輸送機から降下させる訓練を計画していると、通告があったということで、実際には兵士は降下させなかったものの、訓練の一環として物資を投下したと見られている。
また訓練との関係は分かっていないが、この日、中国軍の戦闘機が尖閣諸島の上空に近づき、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル緊急発進していたほか、周辺にいた中国海軍の艦艇も尖閣諸島に接近する動きを見せた。
尖閣諸島の近海で、米軍が実際の作戦を想定したと見られる訓練を行うのは極めて異例なことである。
元海上自衛隊自衛艦隊司令官・山下万喜は「米中の対立が深まる中、偶発的な衝突を防ぐため、日本は米国と緊密に意思疎通を図る必要がある」と指摘している。
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南シナ海での動画・写真公開・米国海軍が中国側けん制(4月14日)
南シナ海に入って活動している米国海軍がマレーシア空軍と合同で行った訓練の動画を紹介した。
米国と中国の対立が続く中、南シナ海とその周辺では双方の艦隊が同時に展開する状況が続いていて、米国海軍は動画や写真を公開して中国側をけん制した。
今月4日にフィリピン海で撮影されたという写真には、並走する中国の空母・遼寧を米国の駆逐艦・マスティンの艦長と副艦長が監視している様子が写っている。
米国ケリー特使・中国訪問へ・気候変動対策で協力模索(4月13日)
米国・バイデン政権で、気候変動問題を担当するケリー特使が、今週半ばに中国・上海を訪れ、中国・解振華と会談する見通しとなった。
バイデン政権の高官が中国を訪れるのは初めてで、人権や安全保障問題などを巡り両国の対立が深まるなか、気候変動対策では協力を模索していく姿勢が鮮明になった。
サキ報道官は「ケリー特使は気候変動問題について、地域の指導者たちとの協力の在り方を話し合う」と述べた。
バイデン政権は、今月22日と23日に主要な温室効果ガスの排出国が参加して気候変動問題を話し合うサミットを開催する予定である。
バイデン政権は16日に菅首相と首脳会談し幅広い分野での連携を確認する方針である。
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