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東京五輪聖火リレー開始・希望の灯となれるか(3月13日)
近代オリンピックで聖火が取り入れられたのは1928年のアムステルダム大会からのこと。開催地までの聖火リレーは1936年のベルリン大会で始まったものだ。12日、東京オリンピックの聖火の採火式がオリンピック発祥の地・ギリシャで執り行われた。聖火はヘラ神殿遺跡で古代の巫女の衣装を身に纏った女性により無事に採火。新型コロナウイルスの影響で、史上初めて観客を入れない措置が取られ、出席者は通常の1割程度に限定される異例の態勢のなかでの聖火リレースタートとなった。...
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近代オリンピックで聖火が取り入れられたのは1928年のアムステルダム大会からのこと。開催地までの聖火リレーは1936年のベルリン大会で始まったものだ。12日、東京オリンピックの聖火の採火式がオリンピック発祥の地・ギリシャで執り行われた。聖火はヘラ神殿遺跡で古代の巫女の衣装を身に纏った女性により無事に採火。新型コロナウイルスの影響で、史上初めて観客を入れない措置が取られ、出席者は通常の1割程度に限定される異例の態勢のなかでの聖火リレースタートとなった。
ギリシャ人の第1走者から聖火リレーを引き継いだのはアテネ大会女子マラソン金メダリストの野口みずき。大役を終えインタビューで「諦めずにしっかりみんなで希望を持って無事に開催されることを祈っています」と語った。
この日WHO・世界保健機関は「新型コロナウイルスは『パンデミック』と言える」と発表。アメリカ・トランプ政権が英国以外の欧州からの入国の制限を発表するなど事態は深刻な情勢となりつつある。NBAがリーグ戦の中断を決めるなど、スポーツ界にも更なる影響が及んだ。
国際スケート連盟も、カナダで18日から行われる予定だったフィギュアスケートの世界選手権を中止すると発表。出場予定だった宇野昌磨は世界の人々が安全な日常を送れる日が一刻も早く来ることを祈っているとしたうえで、「明けない夜はないと信じ、今自分にできることを精一杯やっていきたい」と抱負を述べた。
採火された五輪の聖火は平和・団結・友愛といったオリンピックの理念を世界に広める物だ。パンデミックにより世界中で人と人との往来が遮断されている現在。世界中の人の手を介するこの灯し火が、お互いを認めあい、高めあう心の象徴となってくれることを願いたい。
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3.11から9年…再び球界に訪れた試練の時(3月12日)
9年目の3.11。東日本大震災はスポーツ界にも甚大な影響を及ぼした。プロ野球では平日デーゲーム開催など異例の対応を取ったが、復興支援試合で当時選手会長だった嶋基弘が述べた「見せましょう、野球の底力を」の言葉は失意に打ちひしがれた国民に大きな勇気を与えた。
今季最注目のルーキー・佐々木朗希は被災地・岩手県陸前高田市の出身。震災では父親をはじめ複数の肉親を失っている。取材で3.11についての思いを問われ「今あることが当たり前じゃないと思ったので、今という時間を昔よりも大切にするようになった」と胸の内を吐露した。...
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9年目の3.11。東日本大震災はスポーツ界にも甚大な影響を及ぼした。プロ野球では平日デーゲーム開催など異例の対応を取ったが、復興支援試合で当時選手会長だった嶋基弘が述べた「見せましょう、野球の底力を」の言葉は失意に打ちひしがれた国民に大きな勇気を与えた。
今季最注目のルーキー・佐々木朗希は被災地・岩手県陸前高田市の出身。震災では父親をはじめ複数の肉親を失っている。取材で3.11についての思いを問われ「今あることが当たり前じゃないと思ったので、今という時間を昔よりも大切にするようになった」と胸の内を吐露した。当然のことのように感じている平穏な生活。それは一瞬で脅かされてしまう脆い物だということは、まさにいま世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスの蔓延が如実に物語っている。
その影響で11日、開幕が8日後に迫っていたセンバツ高校野球は史上初の開催中止が決まった。大阪で行われた会見で丸山昌宏大会会長は「慎重に協議した結果、中止せざるを得ないとの結論に達した」と説明する。ちなみに夏の甲子園が中止になったのは過去に2度あるが、戦前に米騒動の起きた1918年の第4回大会と戦局が悪化していた1941年の27回大会だけ。現在の社会情勢はそれらに比肩するほどの非常事態であると言えるのかもしれない。
大会関係者は先週の時点までは「無観客試合」での大会実施を検討していたが、長期間の開催であることや、バスでの移動や大人数のホテルでの宿泊をする選手たちの健康を考慮し、一転中止に踏み切った形だ。ここにきて宿泊先となる大阪府や兵庫県での感染拡大が急増していることが大きな決め手になったとみられる。
出場が決まっていた32校の選手らにとっては思いもよらぬ残酷な結果だが、先述の佐々木の言葉にあった「当たり前と思っていた今という時間を大切にする」ことが、必ずこの先の人生における糧となる筈だ。この逆境をバネに、また甲子園のグラウンドに戻って来てもらいたい。
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高梨沙羅が100度目表彰台・小平奈緒は充実のシーズンを終える(3月11日)
19/20シーズンのウインタースポーツも佳境。スキージャンプW杯も残すところあと僅か。第15戦(ノルウェー・リレハンメル)女子個人で高梨沙羅が今季初勝利。昨年2月のリュブノ大会以来約1年1か月ぶりの優勝を決めた。
この日の高梨は1本目のジャンプで120・5メートルを飛び首位に立った。2本目で更に飛距離を伸ばし、ライバルのルンビらを抑え合計296.9で優勝。自身の持つ男女通算の歴代最多勝利記録を57勝目に更新するとともに女子史上初の通算100度目の表彰台に立った。...
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19/20シーズンのウインタースポーツも佳境。スキージャンプW杯も残すところあと僅か。第15戦(ノルウェー・リレハンメル)女子個人で高梨沙羅が今季初勝利。昨年2月のリュブノ大会以来約1年1か月ぶりの優勝を決めた。
この日の高梨は1本目のジャンプで120・5メートルを飛び首位に立った。2本目で更に飛距離を伸ばし、ライバルのルンビらを抑え合計296.9で優勝。自身の持つ男女通算の歴代最多勝利記録を57勝目に更新するとともに女子史上初の通算100度目の表彰台に立った。大台到達はフィンランドの英雄、ネンネ・アホネンの108回に次ぎ男子を入れても史上2人目の偉業。「今までやってきたことが間違いじゃなかった、まわってきたチャンスをものにできた(高梨)」ここ2シーズンは総合優勝から遠ざかっているが、積み上げてきた努力で偉大な金字塔を打ち立ててみせた。W杯は残すところあと3戦。現在のランキングは4位だが一つでも上を目指し高梨の挑戦が続く。
さて、スピードスケートはすでに今シーズンが終了。8日行われたW杯最終戦のオランダ大会を終え、日本のエース小平奈緒が女子500mで3季ぶり3度目となる総合優勝を果たした。3度の総合優勝は清水宏保以来の快挙だ(100mでも過去最高成績の総合2位)。試合後、小平は自身のSNSで感謝の言葉とともに「やりきった」と充実のシーズンを振り返っていた。
更に男子500mでは23歳の新浜立也が今季通算6勝目を挙げ初めての総合優勝に輝いている。日本人男子のシーズン王者は実に19シーズンぶりのこととなる。今後が楽しみだ。
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プロ野球・Jリーグ公式戦の開催日程が再延期(3月10日)
「18日20日の開催。少し延期をして、より準備をしっかり行っていただきたいということを申し上げた(東北医科薬科大学・賀来満夫特任教授)」合同で新型コロナウイルス対策に臨んでいるNPB・日本プロ野球機構と日本プロサッカーリーグは9日午前、連絡会議を開催。その後の会見で専門家チームから出された助言の内容が明らかになった。この中で専門家チームからは、予定どおりの開催では選手などへの感染予防の教育、啓発が間に合わず、試合開催に関してはマスクなどの物資の用意が困難であることなどが挙げられた。...
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「18日20日の開催。少し延期をして、より準備をしっかり行っていただきたいということを申し上げた(東北医科薬科大学・賀来満夫特任教授)」合同で新型コロナウイルス対策に臨んでいるNPB・日本プロ野球機構と日本プロサッカーリーグは9日午前、連絡会議を開催。その後の会見で専門家チームから出された助言の内容が明らかになった。この中で専門家チームからは、予定どおりの開催では選手などへの感染予防の教育、啓発が間に合わず、試合開催に関してはマスクなどの物資の用意が困難であることなどが挙げられた。これを受けて18日のJリーグ再開と20日のプロ野球開幕は更に延期となることが正式に決定した。
NPBでは午後に臨時の12球団代表者会議を開き全会一致で延期を決めた。斉藤惇コミッショナーは「選手はもとより、スタッフや家族を守り、何よりもファンの皆さまを守りたい。同時にプロ野球の文化というものも守らなければならない」と予定されたリーグ戦全日程の開催への強い意欲をにじませた。開催時期については「遅くとも4月中には開幕できることを一応目指している」とした。さらに休止するはずだった五輪期間中の開催も示唆している。
一方、リーグ戦中断中のJリーグは、この日全実行委員によるビデオ会議を実施し、「3月一杯の公式戦の延期を決めた(村井満チェアマン)」と発表した。4月3日の再開を目指し、全力を尽くして努力していくことを申し合わせたとのことだ。10日には政府の対策の第2弾も発表される。感染者数の増加傾向は未だ止まらない状況だ。今週12日に下される両団体の開幕についての最終判断は果たしてどうなるだろうか。
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大相撲春場所初日・異例尽くしの「無観客興行」(3月9日)
次々と土俵上で進行される中入り後の取組。しかし、観客の歓声も拍手も全くない静寂のなかで淡々と勝負が決していく。だが、決して力士たちの相撲が熱戦でないわけではない。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「無観客」の大阪府立体育館内に呼び出しの柝(き)の音と行司の勝ち名乗りだけが響き渡っていった。
初日を迎えた大相撲の大阪三月場所。前日に行われた場所の安全と成功を祈願する土俵祭も一般には非公開で執り行われ、横綱をはじめとする三役以上の力士も出席しなかった。...
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次々と土俵上で進行される中入り後の取組。しかし、観客の歓声も拍手も全くない静寂のなかで淡々と勝負が決していく。だが、決して力士たちの相撲が熱戦でないわけではない。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「無観客」の大阪府立体育館内に呼び出しの柝(き)の音と行司の勝ち名乗りだけが響き渡っていった。
初日を迎えた大相撲の大阪三月場所。前日に行われた場所の安全と成功を祈願する土俵祭も一般には非公開で執り行われ、横綱をはじめとする三役以上の力士も出席しなかった。取材を許された報道陣は入念な消毒をして入場し、インタビューは十分な距離を取って行うことと徹底された。さらに力士たちの会場入りには感染防止のため公共機関の使用は禁止。部屋の車かタクシーで往復する。さらに、取組の際には力水にも口を付けないという念の入れようだ。
影響は衛生面だけではない。テレビ中継の館内の放送席は土俵上まで声が響いてしまうため、力士の集中力を乱さないため音を遮るように囲いを作る配慮までなされた。正に異例尽くしの興行となっている。
この日行われた恒例の協会ご挨拶で八角理事長は、「古来力士の四股には邪悪なものを土の下に押し込む力があるとされる」ことに言及し、「世の中に平安を呼び戻すことが出来るよう15日間、全力で努力する所存です」と開催への意気込みを語った。何とか本場所の開催にこぎつけた協会だが、力士の内に一人でもコロナウイルスの感染者が出た場合は場所を中止することも決まっている。充実の土俵で国内にはびこる邪気を鎮めてくれることを願わずにいられない。
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