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美しきバタフライよ、白銀に舞え!(11月10日)
あのソチ五輪から1年9か月。女王がリンクに帰って来た。浅田真央にとって2シーズンぶりのグランプリシリーズ。その初戦・中国大会でシリーズ通算15度目の優勝を決めた。SPではトリプルアクセル(3A)を2回とも見事に決め、ソチの悪夢は完全に払拭されたようだ。
解説者の佐野稔氏は上半身の筋力強化が、高難度のジャンプ成功に効果があったと指摘していた。しかし、やはり心理的な変化も大きかったのではないかと思われる。...
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あのソチ五輪から1年9か月。女王がリンクに帰って来た。浅田真央にとって2シーズンぶりのグランプリシリーズ。その初戦・中国大会でシリーズ通算15度目の優勝を決めた。SPではトリプルアクセル(3A)を2回とも見事に決め、ソチの悪夢は完全に払拭されたようだ。
解説者の佐野稔氏は上半身の筋力強化が、高難度のジャンプ成功に効果があったと指摘していた。しかし、やはり心理的な変化も大きかったのではないかと思われる。ソチでのSPの3A転倒の直後「何もわからない」と呆然としていた浅田真央。それはアスリートが抱える「イップス」という現象に近いものだろう。イップスとは精神的な原因などにより、肉体が自分の思い通りのパフォーマンスを発揮できなくなってしまう状態のことである。国民からの期待、メディアの宣伝、強力なライバル…プレッシャーは計り知れないものがあった筈だ。日の丸の重みを一身に背負わされたことは、23歳の身には余りにも過酷過ぎたのかもしれない。
復帰後のGPのプログラム使用曲は「蝶々夫人」に決定。彼女にとって恐怖だったかもしれない日本全体の期待。それを今回は背負い込み過ぎず、自然体で一人の日本女性をたおやかに演じきった。それは周囲の批判や中傷を乗り越え、凛として生きた蝶々さんの美しさそのものではないだろうか。次戦は長野で開かれる最終戦・NHK杯。楔から解き放たれたマダム・バタフライは自由に羽ばたくことだろう。
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九州場所・再び“旋風”が巻き起こるか?(11月9日)
初日を迎えた一年納めの九州場所。結びの一番では小結の嘉風が、先場所優勝した東の正横綱・鶴竜を一方的な相撲で破った。三場所連続の二桁勝利を継続中で、秋場所では二横綱二大関を破り殊勲賞と技能賞をダブル受賞した嘉風。出身は大分県佐伯市。立合いのスピード、思い切りの良さは“ご当所場所”でも発揮された。
元アマチュア横綱で将来を嘱望された嘉風も今では33歳のベテラン力士。三役経験はあるものの、以前は安易な変化や無茶な張り手に頼る相撲も多かった。...
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初日を迎えた一年納めの九州場所。結びの一番では小結の嘉風が、先場所優勝した東の正横綱・鶴竜を一方的な相撲で破った。三場所連続の二桁勝利を継続中で、秋場所では二横綱二大関を破り殊勲賞と技能賞をダブル受賞した嘉風。出身は大分県佐伯市。立合いのスピード、思い切りの良さは“ご当所場所”でも発揮された。
元アマチュア横綱で将来を嘱望された嘉風も今では33歳のベテラン力士。三役経験はあるものの、以前は安易な変化や無茶な張り手に頼る相撲も多かった。それがいまは最後まで諦めず前へ攻め続ける強い気迫が目立つ。突き押しも威力を増し、見違えるようになってきた。
何が嘉風の相撲を変えたのだろう?それは、師匠の尾車親方(元大関・琴風)の転倒事故があるのではないかと思う。3年前の巡業中、体育館で転倒し、頸椎の古傷を損傷した親方は、一時寝たきりの生活を強いられた。回復は難しいと言われていたが、懸命のリハビリにより、現在では部屋で稽古指導を行えるまでに回復している。現役時代も数々の大けがから復帰してきた尾車親方。現在は大きく痩せて往時の面影は無くなってしまったが、必死で厳しいリハビリを続けるその姿に、部屋頭の嘉風の気持ちが奮い立たぬはずはなかっただろう。
かつて、所属力士の不祥事で部屋の閉鎖を決意した尾車親方に「親方が辞めるなら自分も辞めます」と直訴したほど強い絆で結ばれた嘉風。師匠から引き継いだ不屈の闘志は、九州でも大きな「風」を巻き起こしてくれるに違いない。
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新たな戦いの場は“世界最高峰“に(11月6日)
ニュージーランドの連覇で幕を閉じた第8回ラグビーW杯。今大会で4強を独占したのはいずれも南半球の国だった。そのニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3か国15チームからなる国際リーグが「スーパーラグビー(SR)」だ。この世界最高峰のリーグに日本代表FBの五郎丸歩が挑戦することを発表した。彼が加入するのはオーストラリアのブリスベンを本拠地とするレッズ。五郎丸は現在所属している日本のトップリーグのヤマハに籍を置いたままの参戦となる。...
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ニュージーランドの連覇で幕を閉じた第8回ラグビーW杯。今大会で4強を独占したのはいずれも南半球の国だった。そのニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3か国15チームからなる国際リーグが「スーパーラグビー(SR)」だ。この世界最高峰のリーグに日本代表FBの五郎丸歩が挑戦することを発表した。彼が加入するのはオーストラリアのブリスベンを本拠地とするレッズ。五郎丸は現在所属している日本のトップリーグのヤマハに籍を置いたままの参戦となる。
一方、SRは来季から日本チームも参加することが決定している(10月6日の記事参照)。チーム名は公募で「サンウルブズ」に決定。チームのロゴは「太陽と狼」をあしらった精悍なものだ。選手は日本代表を中心に編成する方針だが、まだ詳細は発表になっていない。正直この日の丸チームを背負う五郎丸歩の姿も見てみたかった気はする。今後もSRの強豪チームに入団する日本代表選手が増えると、サンウルブズのチーム編成にも影響が出るかもしれない。
だが、SR参入の目的は日本選手のレベルアップと、アジア地域へのラグビー普及にある。各チームに散らばった日本人選手同士の切磋琢磨が大きな波及効果をもたらしてくれることを期待したい。SRには日本のほかにもうひとつのW杯ベスト4の強豪・アルゼンチンからも新チームが参入する。王者・オールブラックスをはじめ、世界強豪国の選手たちと、日本選手の戦いぶりに注目だ。
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亀田大毅よ、どこへ行く(11月5日)
亀田3兄弟の次男で、プロボクシング元世界2階級王者の亀田大毅が左目の網膜剥離のため引退を決意したことが4日、明らかになった。先月引退表明した長男・兄・興毅に続きもう一人の“悪童“がリングを去ることになる。亀田大毅は2013年、2団体(WBA・IBF)の王座統一戦で敗れたにも関わらず、ベルトを防衛し続けたことが大きな問題となった。これにより日本ボクシングコミッション(JBC)から処分を受け、ボクサーライセンスを失効。...
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亀田3兄弟の次男で、プロボクシング元世界2階級王者の亀田大毅が左目の網膜剥離のため引退を決意したことが4日、明らかになった。先月引退表明した長男・兄・興毅に続きもう一人の“悪童“がリングを去ることになる。亀田大毅は2013年、2団体(WBA・IBF)の王座統一戦で敗れたにも関わらず、ベルトを防衛し続けたことが大きな問題となった。これにより日本ボクシングコミッション(JBC)から処分を受け、ボクサーライセンスを失効。実質的な「国外追放処分」となっていた。(ただし、この騒動はIBF側の失態による部分も大きいとも言われている)
一方で、網膜剥離を患ったボクサーはJBCから引退勧告がなされるのが慣例だ。最近では手術の進歩で特別に復帰が認められるケースもあるが、亀田大毅は3度もの手術を行いながらも視力は0.1にまでしか回復しなかったという。26歳という若さでの引退は止むを得ない決断だったろう。
内藤大助との一戦などでの言動で、兄の興毅以上の憎まれ役だった亀田大毅。彼のあまり知られていない特技がイラストだ。少年マンガ誌などでも披露されたその腕前はなかなかのものだった。格闘家やアスリートのなかには引退後、イラストレーターやマンガ家に転向した者も存在する。ボクシングは無理でもまだ絵は描ける筈だ。彼の実体験をもとに、ボクサーならではの視点で何か作品を描いてみるのも面白いかもしれない。メディアで悪役を演じるよりも、そちらの方面で第二の人生の活躍を見てみたい。
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侍メジャーリーガー総決算2015〈野手編〉(11月4日)
昨日に続き、今季の日本人メジャーリーガーを振り返る。野手では3人の選手がMLBの檜舞台に登場した。まずは何と言ってもこの人、イチロー(42)から。8月に日米通算4191安打を達成し、“球聖”タイ・カッブのメジャー2位の記録に並んだ。シーズンの安打数は初めて100安打を割ったものの、日本人選手中最多の153試合出場は立派。来シーズンでの歴代最多4256安打とメジャー通算3000本安打到達は間違いないのではないだろうか。...
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昨日に続き、今季の日本人メジャーリーガーを振り返る。野手では3人の選手がMLBの檜舞台に登場した。まずは何と言ってもこの人、イチロー(42)から。8月に日米通算4191安打を達成し、“球聖”タイ・カッブのメジャー2位の記録に並んだ。シーズンの安打数は初めて100安打を割ったものの、日本人選手中最多の153試合出場は立派。来シーズンでの歴代最多4256安打とメジャー通算3000本安打到達は間違いないのではないだろうか。
不運だったのは青木宣親(33)。春から5試合連続マルチ安打など打撃が絶好調。6月にはナ・リーグの5位につけ、初のオールスター出場が確実視されていた。しかし左足に死球を受け骨折し、故障者リスト入りに。復帰後、今度は頭部への危険な死球を受け、この影響で9月から欠場を余儀なくされシーズンを終了。川崎宗則(34)は今季もメジャーと3Aの往復を繰り返した。実は彼も5月にマイナーリーグで頭部死球を受け、一時休養に追いやられている。
こうしてみると実に日本人選手の怪我や故障の多かったシーズンだったのかがわかる。特に青木の死球による脳震盪は後遺症が心配である。アメリカではこれまでプロスポーツにおける脳震盪は軽視されていたが、最近は研究が進み、その深刻な危険性が理解され始めた。CDC(アメリカ疾病対策センター)でも警告を発しているほど大きな問題となりつつあるのだ。
今季オフもまた、日本球界からメジャーを目指す選手が現れるかもしれない。願わくばアクシデントに見舞われずに、万全の状態でMLBのグラウンドに上がってほしいものである。
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