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2人の女性アスリート・37歳の決断(後編)(12月18日)
電撃的な引退表明をした女子サッカーの澤穂希(37)が17日、会見を行った。まだ中学1年生だった澤が国内トップリーグ・Lリーグ(現・なでしこリーグ)にデビューしたのは1991年のこと。その2年後には女子日本代表に初招集されている。男子サッカーではあの「ドーハの悲劇」のあった年だ。それから22年間“なでしこジャパン”で活躍し、女子サッカー界をリードし続けてきた。日本代表歴代最多の205試合出場、83ゴール。...
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電撃的な引退表明をした女子サッカーの澤穂希(37)が17日、会見を行った。まだ中学1年生だった澤が国内トップリーグ・Lリーグ(現・なでしこリーグ)にデビューしたのは1991年のこと。その2年後には女子日本代表に初招集されている。男子サッカーではあの「ドーハの悲劇」のあった年だ。それから22年間“なでしこジャパン”で活躍し、女子サッカー界をリードし続けてきた。日本代表歴代最多の205試合出場、83ゴール。ドイツW杯優勝&MVPにアジア女性初のFIFA最優秀選手賞などその偉業は枚挙にいとまがない。何と言っても最大の功績は、この国に広く女子サッカーを浸透させたことだろう。澤が読売SCベレーザでデビューした直後は、バブル崩壊により多くの名門チームが廃部に追い込まれた。当時のLリーグ10チーム中、現在も残っているのは4つだけ。そのいずれも運営会社の撤退で名称が変わっている。その後長く不遇の時代が続いた女子サッカー界。それが2011年のW杯優勝で状況が一変。女の子の間にもサッカー人気が高まり、国内の女子サッカー人口は1万人以上も増加。いまや3万5000人にまで達しているという。なでしこリーグも今季は下部リーグと合計32チームを数える規模に拡大した。
だが、それでも日本の女子サッカー人口は欧米に比べ数十分の1の規模。まだまだ普及出来る余地はある。「日本女子サッカーの底辺を広げるため子供たちに夢を与える仕事がしたい」と抱負を語った澤穂希。第2の人生でも女子サッカーの魅力を広く発信し、新しい時代を切り開いていってほしい。彼女の後に続く若きなでしこのためにも…
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二大女性アスリート・37歳の決断(前編)(12月17日)
2人の女性アスリートから大きなニュースが入ってきた。ともに1978年生まれ、37歳での決断だ。アテネ&北京五輪レスリング女子72キロ級・銅メダリストの浜口京子は、リオ五輪代表選考を兼ねた全日本選手権(23日~)を欠場するとブログで発表した。10月の全日本レスリングオープン選手権大会で優勝し、健在ぶりをアピールしていたが、これにより4大会連続の五輪出場はほぼなくなることに。彼女の決断の背景には「階級」の問題があるようだ。...
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2人の女性アスリートから大きなニュースが入ってきた。ともに1978年生まれ、37歳での決断だ。アテネ&北京五輪レスリング女子72キロ級・銅メダリストの浜口京子は、リオ五輪代表選考を兼ねた全日本選手権(23日~)を欠場するとブログで発表した。10月の全日本レスリングオープン選手権大会で優勝し、健在ぶりをアピールしていたが、これにより4大会連続の五輪出場はほぼなくなることに。彼女の決断の背景には「階級」の問題があるようだ。2012年のIOC理事会で、レスリングがまさかの「除外候補」の対象になったことは記憶に新しい。国際レスリング連盟(当時)らの懸命の努力で、何とか東京五輪以降の残留が決まったが、それに伴い女子の階級は7→6に減らされてしまった。最重量が75kg級になったことで浜口はウェイトアップという大きな問題と直面せざるを得なくなったのだ。元々体重が付きにくい体質のため、理想の体重まで増えないジレンマに苦しんできたという。「レスリングと共に過ごした22年間。あっという間でした。そして今。あえて立ち止まってみます」と心境を語った浜口。「東京五輪まで頑張れ!」と熱く気合を入れていた父・アニマル浜口も「京子の選ぶ道を応援する」と今回の決断に理解を示してくれたそうだ。全日本選手権大会優勝16回、世界選手権大会優勝5回は燦然と輝く大記録である。第一線は退くが現役は続行するという。「私の元気の素。生き甲斐をもらっているレスリング」との言葉通り、これからもマットから元気と勇気を日本中に届けてくれることだろう。
明日はもう一人の決断。なでしこジャパン・澤穂希について振り返る。
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まだまだ終わらない、氷上の華麗なる闘い(12月16日)
絶対王者の凱旋帰国。自身の世界最高記録を更新し、史上初の3連覇を達成した羽生結弦が15日羽田空港に帰国した。テレビ朝日で放送されたGPファイナルは、録画にもかかわらず20%を超える高視聴率をマーク。瞬間最高視聴率29・2%と、こちらも高い数字を叩き出した。会見でもその驚異的な記録達成について関心が寄せられたが、王者は「自分自身のスケートをどれだけ向上させられるか」と冷静に今後の展望を語った。
ファイナル初出場で2位に輝いた宮原知子も大阪空港で帰国会見。...
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絶対王者の凱旋帰国。自身の世界最高記録を更新し、史上初の3連覇を達成した羽生結弦が15日羽田空港に帰国した。テレビ朝日で放送されたGPファイナルは、録画にもかかわらず20%を超える高視聴率をマーク。瞬間最高視聴率29・2%と、こちらも高い数字を叩き出した。会見でもその驚異的な記録達成について関心が寄せられたが、王者は「自分自身のスケートをどれだけ向上させられるか」と冷静に今後の展望を語った。
ファイナル初出場で2位に輝いた宮原知子も大阪空港で帰国会見。「緊張した中でも結構落ち着いて演技できた」と17歳らしいホッとした笑顔を見せた。しかし、2015/2016シーズンはまだ折り返し地点。余韻に浸る間もなく、来週24日には全日本選手権が札幌で開幕する。宮原にとっては連覇がかかる大会。昨年優勝を争った本郷理華や、樋口新葉(わかば)、村上佳菜子らとの対決が待っている。今回のジュニアGPファイナル銅メダルの本田真凜も参戦予定だ。12月3日の愛知県競技会で優勝を果たした本郷理華は「全日本では200点以上を狙って表彰台に立ちたい」と闘志を燃やす。そしてもう一人、浅田真央を忘れてはいけない。体調不良で一足早く日本に戻ったが、全日本選手権には出場の意向を示している。2年ぶりのGPファイナルは自己ワーストの6位に沈んだ。しかし課題のルッツは改善されつつあり、光明は見えてきている。羽生結弦が未知の領域を独走する男子とは異なり、女子はどの選手にも十分に優勝のチャンスがある。国際試合以上の熾烈な戦いが“試される北の大地”で幕を開ける。
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苦境に負けない新たな「力」と「希望」(12月15日)
また日本スポーツ界にニュースターの誕生だ。年間成績上位8名によるバドミントンのスーパーシリーズファイナルは男子シングルス・女子シングルスともに日本人選手が初優勝を飾った。世界ランキング5位の桃田賢斗(21)は、デンマークのアクセルセンに2-0のストレート勝ち。身長で15cm以上上回る同い年のライバルに打ち勝った。高校3年の時に世界ジュニア選手権で日本人初の世界王者に輝いたこの新星は、昨年開かれた世界選手権でも日本に初めての銅メダルをもたらしている。...
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また日本スポーツ界にニュースターの誕生だ。年間成績上位8名によるバドミントンのスーパーシリーズファイナルは男子シングルス・女子シングルスともに日本人選手が初優勝を飾った。世界ランキング5位の桃田賢斗(21)は、デンマークのアクセルセンに2-0のストレート勝ち。身長で15cm以上上回る同い年のライバルに打ち勝った。高校3年の時に世界ジュニア選手権で日本人初の世界王者に輝いたこの新星は、昨年開かれた世界選手権でも日本に初めての銅メダルをもたらしている。しかし、その成長の道筋は順風満帆ではなかった。2011年の東日本大震災、当時彼が在籍していたバドミントンの強豪校・福島県立富岡高等学校は、原発事故の影響で3つの高校への分散移転を強いられてしまう。桃田は住み慣れた富岡から猪苗代町の高校で競技を継続。「支えてくれた人たちに結果で恩返ししたい」という気持ちで、練習を重ね続けていったのだ。彼の快挙達成の喜びは復興に励む人たちの心にも届いたことだろう。「賢斗」の名前の由来はクラーク・ケント。人々に夢と力を与える英雄「スーパーマン」なのだから。
女子は20歳の奥原希望(のぞみ)がロンドン五輪銀メダリスト・王儀涵を破っての初戴冠。彼女も大宮東高校2年時に、史上最年少の16歳8か月で全日本を制した逸材だ。桃田、奥原ともに今月6日に全日本選手権で優勝したばかり。直後に今大会が行われた中東ドバイへの遠征というハードスケジュールの中、日本バドミントン界初のメダルを獲得した。試合後、桃田は「リオ五輪と次は東京五輪なので、そこで奥原と2人で優勝できるように頑張りたい」と決意を誓う。新たな「力」と「希望」。2020年に向けての楽しみが増えた。
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幽玄の異次元へ誘う「和」のスケーティング(12月14日)
スペイン・バルセロナのアリーナが“和“の空気に染まった。12日行われたフィギュアスケートのGPファイナル最終日。男子は羽生結弦が史上初の3連覇を達成した。SPに続きフリーでも再び自己ベストを更新。合計330・43点と、先月のNHK杯での世界最高記録を早々に塗り替えてみせた。直前に2位のハビエル・フェルナンデスが史上二人目となるフリーでの200点台を達成。その地元選手の快挙に沸く大歓声にも全く飲まれることなく、羽生は完璧なジャンプと華麗なスピンを繰り出していった。...
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スペイン・バルセロナのアリーナが“和“の空気に染まった。12日行われたフィギュアスケートのGPファイナル最終日。男子は羽生結弦が史上初の3連覇を達成した。SPに続きフリーでも再び自己ベストを更新。合計330・43点と、先月のNHK杯での世界最高記録を早々に塗り替えてみせた。直前に2位のハビエル・フェルナンデスが史上二人目となるフリーでの200点台を達成。その地元選手の快挙に沸く大歓声にも全く飲まれることなく、羽生は完璧なジャンプと華麗なスピンを繰り出していった。プログラムはNHK杯と同じく「陰陽師」。ほかのスケーターたちの使用曲は誰もが知るオペラや名作映画などのメジャー音楽。それに対し、呪術や祭祀を司る陰陽師という日本独特の存在を表現することは非常に難しいことだったろう。だが、彼は神秘的な美しい「安倍晴明」を氷上で力強く演じ切って見せた。観衆は華麗なスケーティングに眼を奪われただけでなく、心の中まで幽玄の幻想感に満たされたに違いない。それはフィギュアスケートの歴史には無かった異次元の空間。羽生が描き出した新しい領域はその技術面のみならず、フィギュアにおける表現の可能性をも変革したのだ。
また、今回特筆すべきはシニア大会デビューでファイナルの表彰台に立った宇野昌磨と宮原知子。試合後、宇野は羽生という特別な存在に対し「しばらく追いかけるだけ。いつか同じ立場で戦えるようにしたい」と答えた。2015年、フィギュア界は新ステージに突入した。さらに歴史を作り、世界を創造していくのは彼らだろう。素晴らしき芸術作品の演者たちに幸あれ。
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