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スペシャル あの一言
2024年11月18日(月)
最新TV速報
【あの一言】
最新分析・中東情勢の行方は
北海道大学公共政策大学院教授・鈴木一人
米国がサウジアラビアを守らないというのは、昨年9月にサウジの石油施設が攻撃をされて、それに対して米国が何もしなかったということからも言われている。それ以降、サウジアラビアとイランの関係が非常に落ち着いてきている。今回、ソレイマニ司令官の殺害とかイランと米国の報復攻撃に関しても、サウジアラビアはほとんど介入していない。米国とサウジの関係は随分変わってきた。ちょうど安倍総理がサウジ、UAE、オマーンに歴訪したが、ここはすごく大きなチャンス。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

慶應義塾大学教授・中山俊宏
冷戦の時にはソ連の影響力を相対化すること、原油市場で価格が安定させることが、米国だけではなく西側全体の経済を円滑に運営していくためには必要だとの意識があった。冷戦的な文脈も消え、米国が中東に大きな役割を果たす必要があることの根拠になっていた中東への原油の依存が非常に低くなっている。国内からも、もう中東に釘付けになって、そこで米国が他の国の内部で基地を駐留させて留まり続けるのは必要ないのではないかという議論が、必ずしもトランプ政権だけではなくてある種のコンセンサスとしてある。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

放送大学名誉教授・高橋和夫
第2次大戦直後は英国、フランスが中東を仕切っていた。その後は米国、ソ連だった。ソ連邦の崩壊以降は米国の一極覇権という状況になっている。ただオバマ政権以来、米国は明らかにこの地域から重心を移すという政策を取ってきていて、今、米国は重心を移しつつある。ロシアはプーチン大統領のもとで中東に戻ってきている。新たなプレーヤーとして中国が参加してきている。中東は新しい列強の時代に入って、お互いに新しいゲームを始めているが、まだ新しいルールはできていない。難しい時期に入った。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

放送大学名誉教授・高橋和夫
イランは実際に核兵器を作るつもりはないと言いながらウラン濃縮の率をどんどん高くしていく。客観的に見て核兵器獲得に近づくということになると、恐らく米国が心配する以上にイスラエルが心配し、何か動くという状況も考えないといけない。確かに米国イラン関係にはイスラエルという影のプレーヤーがいて、イスラエルの支持層が米国トランプ政権に強く働きかけているという構造がある。それでイランがどんどんウラン濃縮を高めていくというところで、今度はイランが我慢できるかという話とイスラエルが我慢できるかという話になっていく。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・元外交官・宮家邦彦
元々この核合意は不完全なものだった。米国としては、本来はこの核合意ではなくてもっとイランに対して厳しい合意を認めさせようということで、再交渉したいというのが本音。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

九州大学准教授・益尾知佐子
中国はイランとは伝統的な友好国だが、どうしても西側と非西側の対立という文脈で見ていて、今回の司令官の殺害も中国の側からすると本来あってはならない行為。これこそ米国が世界の国際秩序を破壊しようとしている。その象徴的な行為であると捉えている。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

北海道大学公共政策大学院教授・鈴木一人
ヨーロッパからすれば、一方ではソレイマニ司令官というのは中東地域を不安定化させるある種の軍事的にはマイナス要因と考えていた。彼の存在がなくなるということは中東地域における安定を期待できる部分もある。ただヨーロッパにとって1番重要なのはイラン核合意をいかに守るかということであり、米国とイランの対立が高まっていけばそうした核合意が守られなくなる懸念もある。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

日本エネルギー経済研究所研究理事・坂梨祥
イランでは11月には非常に大きな抗議行動が起こったばかりだったが、ソレイマニの死をきっかけに、国内の団結というものを国内外にアピールすることができた。報復に関しても非常に抑制的な報復であり、そこでもし終わっていればイランの体制として司令官の死を最大限利用することができた。ただ、そこでウクライナ機の誤射が起こってしまったことによって、国内で抗議行動が広がることになってしまっている。これからこの状態をどうコントロールしていくかが体制にとって問題になっていく。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

放送大学名誉教授・高橋和夫
革命防衛隊というのはイラン革命の後にできた部隊で、軍隊がクーデターを起こさないように軍隊から革命を守るために作った部隊。実質こちらの方がイラン軍より軍事力としては強くなった感じもある。ミサイルも持っているし。もう1つは、対外諜報情報を革命防衛隊が担っているところがある。すでに軍隊という枠を超えていてイラン国内では関連企業すら持っているという巨大な政治的存在でもある。革命防衛隊が育ててきた中東各地のシーア派の民兵組織をおさえられるかということに関しては、実はおさえられるのはソレイマニだった。肝心の重しを米国が外してしまったことのツケが、これから回ってくる可能性がある。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・元外交官・宮家邦彦
イランと米国の戦争はまだ続いている。少なくともイラク戦争以来、十数年続いている。今まではどちらかというと直接戦闘には至らないような代理戦争がずっと戦われてきた。何かのはずみで米国が直接攻撃をしてしまった。それに対してイランも報復をしたが、お互いに自制がきいて、ある意味で抑止がきいたので今はおさまっている。これが次の段階に進むというよりは、元の不正規戦、非対称戦、代理戦争に戻る。イランの目的というのは軍事的に米国と戦うことではなくて、イラクもしくは中東地域から米国のプレゼンスを減らそうとしている。これからも不正規戦は続く。
2020/01/19 NHK総合[日曜討論]

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